▲筆者が過日購入した全幅1850mmの11年式ルノー メガーヌRSモナコGP。車幅制限1850mmの立体駐車場に何とか入れることはできるが、駐車する際はかなり神経を使い、正直疲れる ▲筆者が過日購入した全幅1850mmの11年式ルノー メガーヌRSモナコGP。車幅制限1850mmの立体駐車場に何とか入れることはできるが、駐車する際はかなり神経を使い、正直疲れる

最近の輸入車の全幅はほとんどが1800mm以上になってしまいました……

過日購入した11年式ルノー メガーヌRSモナコGPに関して、早くも大苦戦している。いや中古車としてのコンディション自体はすこぶる良好で、たぶん何の問題もない。……「たぶん」というのは納車後まだ1回しか運転していないからで、なぜそれしか乗っていないかというと、メガーヌRSという車の全幅があまりにも広すぎるからだ。

WEBカタログなどを見ていただければわかるとおり、メガーヌRSの全幅は1850mm。率直に申し上げて、それはセミロングボディのいすゞエルフと似たような数字だ(エルフは1890mm)。それを横幅制限1850mmの立体駐車場に入れたりするのだから、その緊張感たるや半端なものではない。そして「またあの緊張感を味わわなければいけないのか……」と思うと、どうしてもメガーヌを出動させるのが億劫になり、「ま、今日のところは電車で行くとしますか」という結論になりがちなのが、筆者のここ数日なのだ。

もちろんこの問題における責任の所在はメガーヌRSにあるわけではなく、「筆者の自宅付近では残念ながらこの立体駐車場しか空いていなかった」というのが問題の根本である。一刻も早くどこかの平置き駐車場へと愛機格納庫を移転させる必要があるわけだが、そんな個人的な話はどうでもいい。真の問題は「メガーヌRSに限らず、最近の車はとにかく全幅が広いものが多い」ということだ。

例えば現行M・ベンツEクラスとフォルクスワーゲンCCは1855mmで、同じセグメントである現行BMW5シリーズは1860mm。意外なところではプジョーRCZもスリムに見えて1845mmもあり、ボルボV70に至っては1890mmと、前出のいすゞエルフ(セミロングボディ)とまったく同じ全幅である。

▲現行ボルボV70の全幅はいすゞエルフと同じだった!(写真はイメージです) ▲現行ボルボV70の全幅はいすゞエルフと同じだった!(写真はイメージです)

これらのどれもこれもが一般的な立体駐車場には入らない(またはかなり入れにくい)わけだが、問題はそこだけではなく、ここまで車の幅が広くなってくると、車というものの持ち味の一つである「機動性」がかなりスポイルされてしまうということである。

いまだにあちこちで引用されるJR東海の名作コピー「そうだ 京都、行こう。」ではないが、車というものの本質的魅力の一つは「そうだ」と思い立ったときにパッと出かけ、またパッと帰ってこれるという機動性の良さだ。新幹線で指定席を予約するような手間をかけることもなく、飛行機に乗るために空港まで何らかの手段でわざわざ出かけていく必要も、車にはない。

しかし、あまりにも全幅がワイドだと「あそこの名所の細い道ですれ違うの、ちょっと大変だしなぁ……」などの理由で「今回は出かけるのやめて家でまったりするか」的なことにもなりかねない。また単純に「いわゆるデブな車は運転してもあまり楽しくない→だから乗りたくない」というのもある。まぁ、このあたりは車種によりけりで、「一見デブだけど運動神経バツグン」という車も最近は多いが、傾向としては言える話だろう。

そこで今、平成の世にあえて望まれるのが「5ナンバーサイズ・オリエンテッドな車選び」だ。

▲近年ではめずらしい5ナンバーサイズの輸入車である現行ルノー トゥインゴ。写真はGTリミテッド ▲近年ではめずらしい5ナンバーサイズの輸入車である現行ルノー トゥインゴ。写真はGTリミテッド

5ナンバーの条件である「排気量2000cc以下」とか「高さ2.0m以下」あたりはこの際どうでもよく、とにかくこだわりたいのが「幅1.7m以下」というポイントである。

全幅1.7m以下の車はとにかく軽い。軽いというか、存在が軽やかだ。過日かなり久しぶりに964型ポルシェ911(全幅1660mm)を運転した際に痛感したのが、「そういえば車ってちょっと前までこうだったよな!」ということと、車幅の狭さが必然的にもたらす圧倒的な軽快感、そしてその結果による抜群の機動力だった。この車幅であればどこへだってスルリと行けそうであり、また「行きたい!」と思わされたのだ。ついでに言えば、助手席に乗る者との距離も極端に近い。その近さが平成の今、あまりにも新鮮だ。

もちろん近年の車の全幅が広くなったのは、主に受動安全性を中心とする正当な理由があるゆえ、むやみやたらとそれを忌避するのは明らかに間違っている。しかし「どれもこれもが全幅1800mmオーバー」という世の中に若干の嫌気がさしたならば、5ナンバーサイズの車が与えてくれる「軽やかさ」に注目してみる価値はある。昔の5ナンバー車は別として最近のモデルであれば、受動安全性にも十分気を使っているわけだからして。

ということで今回のわたくしからのオススメは「最近の5ナンバーサイズ輸入車」だ。

text/伊達軍曹