「あしたのジョー」を通じて知る、高年式輸入車の素晴らしさ
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2014/10/10
「昔は良かった」は本当か?
過日、練馬区立美術館に「あしたのジョー、の時代展」を見に行った。ご承知のとおり「あしたのジョー」とは1967年から1973年にかけて少年マガジン誌上で連載された高森朝雄(梶原一騎)原作、ちばてつや画によるボクシング漫画というか青春物語。その後、TVアニメ化や劇場版アニメ化もされ、世代を超えて大人気を博した歴史的名作だ。
今回の展覧会では、100点以上におよぶ原画や、アニメ&レコードなど同時代の関連資料から作品自体の広がりを紹介するとともに、時代の空気を共有した当時の芸術家たちの活動をたどることで、「あしたのジョー」をキーワードにその時代を振り返ってみる…というような内容だった。
ちばてつや先生渾身の原画をはじめとした「作品自体の広がりを紹介する」という部分については素直に感動し、昭和熱血アニメばりの大粒の涙を流した筆者だった。しかし「あしたのジョーをキーワードにその時代を振り返ってみる」という部分に関しては多少首を傾げるというか、いろいろと思うところがあった。
当時の日本人芸術家たちのことを悪く言うわけでは決してないが、率直に言って昔はやはり発展途上だったんだなというか、2014年を生きる現代の芸術家らが生み出す作品の方がレベルは高いのだなと、個人的には思ったのである。
これに関しては異論反論もあるだろうし、芸術分野の専門家ではなく素人にすぎない筆者が間違っている可能性も大いにある。また単に「時代が違うから見え方や感じ方が違う」という部分もデカいだろう。しかしとにかく、1960~1970年代の日本のモダンアートを見て率直に思ったのは「拙い」ということだった。
長かった戦争と、直後の混乱期が終わり、やっとこさ再び西洋文化がドドっと流れ込んできた1960年代。当時の若者らがそれに大いに触発され、様々な西洋風アートやポップを自身の和の心と融合させ、新たなアートおよびポップを創造しようとしたことは想像に難くなく、また今回の展示からもその「熱気」のようなものは見て取れた。「熱気」に関してだけは、たしかに当時の方が圧倒的に上だったのかもしれない。
しかし、作品のクオリティそれ自体は、その後の成熟期と各種の技術革新を経たのちに誕生した現代の日本人アーティストが生み出しているモノの方が、実はレベルは高いのではないかと筆者は思うのである。それはあたかも、銀座とかにある超老舗の洋食店(値段もたいてい超高い)が提供する擬似イタリア料理よりも、無名の若手料理人がイタリア修行を経て提供する2014年型イタリア料理の方が実は断然美味い、ということに似ている。情報量が圧倒的に少なかった時代の一流は、必ずしも現代の一流にはあらず…ということだ。
それと同様のことが中古車にも言える。国産、輸入車を問わず「旧車」と呼ばれる年代のモデルを専門に扱うショップは多く、それを愛好する人間の数も多い。かく言う筆者もその1人である。しかし、やはり旧車は旧車でしかないのだ。
そのデザインや風情などは確かに素晴らしいが、機能としては当然ながら「現代の一流」とは比べ物にならないのだ。そこを承知のうえで、風情を楽しむ意味で旧車を愛でるのはステキな趣味のひとつではある。実際、筆者もランチアデルタというド旧車に続いてまたもや別のド旧車を買ってしまう可能性は高い。しかし、もしも「機能」を求めるならば、なるたけ設計年次が新しいモデルを選ぶに限るのだ。
極端なことを言えば、今のところ最も新しい「2014年に発表されたモデル」を買うのがいちばんだが、そういったモデルの中古車はまだ流通量が少なく、新車との価格差も小さいため、あえて中古車として狙う意味はあまりない。中古車ならではの価格的利点を生かしつつ、なおかつ最新世代の機械ならではの恩恵を受けるには、筆者が考えるに2012年~2013年式がベストだ。
現行型M・ベンツAクラスやBMW3シリーズなど、近年の新機軸を打ち立てたモデルが登場したのが2012年であり、世界の大定番であるVWゴルフの現行モデルが登場したのが2013年。このあたりに登場したモデルを狙えば、味わいや趣きではなく「機能」については、まず不満を感じることはないだろう。また、例えば2012年式だとVWゴルフの場合は旧型になってしまうわけだが、様々な小改良を経て熟成された旧型末期モデルというのは、ゴルフに限らず実はかなりの狙い目である場合が多い。
ということで今回のわたくしからのオススメは、2012年~2013年式の狙い目輸入車だ。