ネオクラシックという、ある種最強の切り札でお金持ちに対抗する!

目黒通り界隈の住宅街は輸入車率95%?

私事で恐縮だがつい先日、目黒通りからほど近い場所にある長屋に転居した。東京以外の人に「目黒通り」といってもいまいちニュアンスが伝わらないだろうが、なぜか高級家具屋さんが星の数ほど立ち並んでいる妙にハイソな通りである。

わたしが住まう貧乏長屋はまったくそうではないが、周囲にはハイソなお宅が多く、当然、それらのガレージには中級ないしは高級なガイシャが収まっている。「輸入車乗りにあらずんば目黒通り住民にあらず!」という不文律でもあるかのようだ。

この界隈や東京の中心部以外にも「輸入車乗りにあらずんば○○住民にあらず!」的なムードが漂うエリアはある。神奈川県でいえば横浜市都筑区のセンター北駅周辺などがそうだろうし、よくは知らぬが東海、近畿地方にもそういった地区はあるはずだ。

そのことの是非はさておき、問題は、幸か不幸かあなたがそういったエリアに住むことになった際、どんな車に乗るべきか? である。

「他人の目なんて気にしない! 俺は俺の乗りたい車に乗るだけさ!」という立派な人もいるだろうが、人間そんなに強い人だけではない。少なくとも筆者は弱い心の持ち主であるため、目黒通り界隈でワゴンRに乗る勇気はなく、メルセデスのCクラスとかを慌てて探すことになるのだろう。

だが問題は、「引っ越しというのは何かとお金がかかる」ということだ。モロモロのお代を精算し、そして家具調度品をあれこれ揃えれば、手元には大した金など残っちゃいない……というのが、筆者を含む経済的パンピーにはよくある話だ。そのときに無理してメルセデスの新車などを買ってしまっては、今流行りの(?)多重債務者になりかねない。危険である。

正体不明のネオクラシックで相手を煙に巻け

そこで中古車の出番となるわけだが、「ハイソなエリア=ベンツとかビーエムを買わなくちゃ!」と思うのはド素人である。いや、引っ越し代ならびに家具調度品代を支払ってなお余りある金をお持ちなら、メルセデスの認定中古車でもなんでもお買いになればよろしい。しかしそうではない場合、中途半端な年式の(元)高級車を中古で買ったところでナメられるだけだ。「ほぉ、ステキなお車ですねぇ(旧型の、しかも前期モデルだけどなwww)」と。

勝負事はなんでもそうだが、相手の土俵で勝負をしてもダメなのだ。自分が得意とするフィールドに敵を引きずり込み、自分の土俵で自分の相撲を取るのが必勝のコツである。

そう考えた場合、妙にハイソなエリアで筆者のようなパンピーが車的勝利を収める方法は、もうおわかりだろう。「なんだかよくわからない、ちょっと古い輸入車を選ぶ」ということである。

よほど車に詳しい人なら別だが、「ちょっと詳しい」程度の者にとって、いわゆるネオクラシック系輸入車の相場などチンプンカンプンである。そこを逆手に取り、完全に堂々たる態度で50万円ぐらいの初代フィアットパンダにでも乗る。そうすれば、「今度越してきた人、よくわかんないけどファッションブランドのオーナーか何かかな……?」と、周囲は勝手に勘違いしてくれるものだ。

ということで今回の伊達セレクションはずばり「高級住宅街に意外と似合う(?)ネオクラシック系輸入車」だ!

1960年代から70年代後半まで活躍したアルファロメオ ジュリア。意外と安いが、知らない人にとってはかなり高価なクラシックカーに見えるかも

1960年代から70年代後半まで活躍したアルファロメオ ジュリア。意外と安いが、知らない人にとってはかなり高価なクラシックカーに見えるかも

ローバーのミニでも素人相手なら十分煙に巻けるが、1960年代のオースチンやモーリ時代のミニならさらに完璧。「趣味に生きる粋人」に見えるはず

ローバーのミニでも素人相手なら十分煙に巻けるが、1960年代のオースチンやモーリス時代のミニならさらに完璧。「趣味に生きる粋人」に見えるはず

ひたすら四角いボルボ240エステート。最近の車では絶対に見られないこの形状と雰囲気は、半端に新しい車では絶対に出せない味わいと存在感

ひたすら四角いボルボ240エステート。最近の車では絶対に見られないこの形状と雰囲気は、半端に新しい車では絶対に出せない味わいと存在感

【伊達軍曹 Sergeant DATE】東京都杉並区出身の輸入中古車研究家。外資系消費財メーカー本社勤務の後、出版業界に。現在は「輸入中古車は、その価格にかかわらず素晴しい!」との見方を核とする輸入中古車研究家として各誌で活躍。雑誌「カーセンサーEDGE」では「中古車相場 威力偵察隊」を連載中

【伊達軍曹 Sergeant DATE】東京都杉並区出身の輸入中古車研究家。外資系消費財メーカー本社勤務の後、出版業界に。現在は「輸入中古車は、その価格にかかわらず素晴しい!」との見方を核とする輸入中古車研究家として各誌で活躍。雑誌「カーセンサーEDGE」では「中古車相場 威力偵察隊」を連載中

文・伊達軍曹 text/Sergeant DATE