日本の乗用車の場合、エンジンの排気量やボディの大きさによって、5ナンバーサイズと3ナンバーサイズに分けられますが、たいていの車は、排気量が5ナンバー枠ならボディもその枠内です。しかし、今回ご紹介するトヨタのプログレは、ボディは5ナンバー枠なのに、排気量は3ナンバー枠というちょっと珍しい車です。

その理由は、コンセプトである“小さな高級車”にあります。通常、高級感はクラスや車格によって異なり、例えばカローラ→カムリ→クラウンのように、車格や搭載するエンジンの排気量、そして高級感も比例して大きく高くなっていきます。

しかし、プログレの場合は、日本の道路事情を鑑みれば5ナンバーサイズで十分、けれども排気量や質感は高いものを、ということで、3ナンバー扱いになる2.5Lエンジンを搭載しているのです。これが“小さな高級車”の由縁です。

エンジンは、先の2.5Lのほかに、3Lもラインナップ。ポイントは直4でもV6でもない直6という点にあります。現在直6エンジンは絶滅の危機にあり、しかしBMWのそれは“シルキーシックス”といわれるほど滑らかなフィーリングを備えているのです。

ミッションは、デビュー当初は4ATでしたが、2001年4月のマイナーチェンジで5AT化。さらにグリルやリアコンビネーションランプのデザインを変更し、より高級感を高めたエクステリアとなっています。

さて、そんなプログレも生産中止となって間もなく6年。いい状態で乗っておくにはそろそろ考えたほうがいいかもしれません。流通している中古車の程度と相場を考えると、そろそろ底値といえる状況になってきています。

相場的には20万円~40万円台がボリュームゾーンで、流通台数は200台前後。これならグレードやボディカラーなどは十分選べるでしょう。

具体的には、3Lエンジンを搭載した300NCの走行距離4.3万km+修復歴なしの中古車が、なんと9.8万円です(4月2日現在)。このグレードの新車時価格は350万円なので、驚愕の340.2万円引き。これだから中古車探しはやめられません!

Text/金子剛士

エクステリアは、グリルの左右にある丸型のライトが特徴。トヨタのエンブレムは付いておらず、プログレの“P”をモデルにしたエンブレムを備える

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インテリアは、ウォールナットの本木目パネルを採用するなど、当時のフラッグシップモデル、セルシオに勝るとも劣らない高級感を備える

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5ナンバーサイズながら、ホイールベースが長いため、ゆったりくつろげる空間を確保。革シートなどの採用で内装の質感も高い

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