THE!対決

PART2 取り回し性能対決

Report/島崎七生人 Photo/奥隅圭之
スズキ ワゴンR
スズキ ワゴンR 縦列駐車
↑スクエアなボディは目標に対し車を合わせやすいため、駐車時には絶大な効果を発揮する
スズキ ワゴンR 駐車 スズキ ワゴンR 後方視界
ダイハツ ムーヴ
ダイハツ ムーヴ 縦列駐車
↑サイドウインドウ下端のラインと駐車枠線に誤差が生じるため、キレイに駐車するにはコツが必要
ダイハツ ムーヴ 駐車 ダイハツ ムーヴ 後方視界

ワゴンRはボディ形状からくる扱いやすさが魅力

全長3395mm×全幅1475mm。軽自動車の規格いっぱいに作られた両車だから、このタテ×ヨコのサイズは変わらない。違うのはホイールベースで、ホイールベースの長さにこだわるダイハツのムーヴカスタムは2490mmと長く、ワゴンRスティングレーはそれより130mmも短い2360mm。最小回転半径はワゴンRのほうが4.4mと小さく、ムーヴは4.7m。これはホイールベースの長さの違いに加え、ワゴンRのタイヤが14インチなのに対し、ムーヴには16インチが奢られているせいもある。

結論、両車のどちらが扱いやすいか?といったら、ここはひとまずワゴンRと答えを出しておこう。ひとまず…などともったいぶったのは、低速でのステアリングフィールもムーヴはなめらかで乗用車然としているのに対し、ワゴンRは電動コミューターのような軽々しさだったりするから、だ。

が、フィールの部分を度外視すると、ワゴンRのほうが扱いやすさでは上といえる。理由は水平基調の箱形ボディが、直線定規で平行線を描くみたいに、路肩や駐車スペースに車を合わせやすいからだ。なので高めの視界から車の周囲を窓越しに眺めながらの駐車などは楽。サイドミラーの視界もワゴンRは広く、大きい。

軽なのに意外に大きな車っぽさがあるムーヴ

対してムーブは、スタイリッシュではあるが、わずかにウェッジを描くサイドウインドウ下端のラインが、車との平行線の認識に多少の誤差を生じさせるため、まっすぐに駐車しよう…と思うと、少々、気が抜けない。ステアリングはなめらかだが、ホイールベースが長い分、車の動きもやや大きな車の感覚があり、ステアリング操作もイメージより常に早めに行なったほうがよさそうだ。

ただし走りの項目でも触れたとおり、ムーヴのインパネシフトの操作感は高級車並。なので、リバースに入れたりとシフト操作がスムースにストレスなく行なえる。これに対してワゴンRは、やや古めかしいコラム式のシフトレバーで、操作感にややデリカシーが欠けるため、慣れないとポジションをオーバーランさせたりすることも。“逆手”でシフト操作する姿も、絵的に昔のトラックを運転しているドライバーのよう。

リヤウインドウは、ワゴンR、ムーヴともに十分に天地に広い視界が確保されている。なので後方視界についての問題はなかった。
今回のまとめ
スタイリッシュな外観はときとして車幅感覚などがつかみにくくなることも。ムーヴも取り回しという場面ではそれが裏目に出てしまった。この章での勝者はワゴンRとするが、ムーヴだって軽自動車サイズならではの扱いやすさは十分にある。勝敗の差はわずかであることを付け加えておこう。
今回のテスト車両


■スズキ ワゴンR
・テスト車両
スティングレーDI(2WD)
149.1万円
・駆動方式
2WD(FF)
・トランスミッション
4AT
・全長×全幅×全高
(mm)
3395×1475×1635
・ホイールベース(mm)
2360
・車両重量(kg)
870
・最小回転半径(m)
4.4
・乗車定員(人)
4
・エンジン種類
直3DOHCターボ
・総排気量(cc)
658
・最高出力
[kW(ps)rpm]
47(64)/6500
・最大トルク
[N・m(kg-m)/rpm]
103(10.5)/3500
・使用燃料
無鉛レギュラー
・燃料タンク容量
30L
・10・15モード燃費
(km/L)
19.4
・タイヤサイズ
165/55R14



■ダイハツ ムーヴ
・テスト車両
カスタムRS(2WD)
155.4万円
・駆動方式
2WF(FF)
・トランスミッション
4AT
・全長×全幅×全高
(mm)
3395×1475×1615
・ホイールベース(mm)
2490
・車両重量(kg)
880
・最小回転半径(m)
4.7
・乗車定員(人)
4
・エンジン種類
直3DOHCターボ
・総排気量(cc)
658
・最高出力
[kW(ps)rpm]
47(64)/6000
・最大トルク
[N・m(kg-m)/rpm]
103(10.5)/3000
・使用燃料
無鉛レギュラー
・燃料タンク容量
36L
・10・15モード燃費
(km/L)
21.5
・タイヤサイズ
165/50R16