トヨタ クラウンアスリート VS 日産 フーガ　PART7：ライフスタイルにピッタリなのはどっち？

あくまでも上級セダンの静粛性を求めるならクラウン

クラウンアスリートGパッケージか、フーガ350GT タイプSか?
この2車のどちらにするかの選択肢は比較的わかりやすい。クラウンがM・ベンツ的、フーガがBMW的と言えば、よりご理解いただけようか?

どちらも上級国産パーソナルセダンとして、実用上の機能は十分に満足している。とくに後席のスペースが何気なくゆったりしているのは、やはりこのクラスならではの特権だ。家族や大切なゲストを乗せる機会が多いユーザーにとって、クラウン、フーガともにニーズに対しての条件は整っている。休日の早朝の高速道路をかっ飛ばしゴルフ場に向かう・・・といったシーンにはおあつらえ向きだろう。

ではもう一歩踏み込み、クルマのキャラを見た場合はどうか?
今回の対決試乗でも浮き彫りになったのは、走りをより磨いたアスリートの走りっぷりが、意外にも同じクラウンのロイヤルとカブって実感されたということだろう。

別項でも触れたとおり、先々代時の登場時、アスリートの画期的に冴えた足回りは感動したもの。そして先代のゼロクラウン、現行型と進化を果たしてきたのだが、新型でいうと、クラウンのベースともいうべきロイヤル系の進化の度合い、センスがさらに磨かれた結果、アスリートとの差異が小さくなったのでは？とも思う。

フーガの気骨あるスポーティネスと比べると、その乗り味は一層鮮明で、もしかするとトヨタはよりスポーティな“スーパーアスリートなど企画検討中かも？？”などと思えるほど。あるいはレクサスに遠慮して、クラウンはここが上限とされたのか？

とはいえ現行型のアスリートがアスリートでなくなったのかというと、そんなことはない。さり気なく速いし、何よりスムーズな乗り味はいいし、神経を逆撫でしない静粛性には目を見張る。

上級なだけでは満足できない人ならフーガ

他方でフーガは、開発途中ですか？と思わせられる車が少なくない今の日産車のなかでは、狙いどおりの完成度の高さが魅力だ。ハンドリングや、アクセルを踏むと室内に響くエンジン音などまるでスポーツカーのよう。まさにユーザー相当のエンジニアが、自分たちで乗りたい車を一途に作った・・・そんな雰囲気が伝わってくる。だから走らせてみると、なるほどと唸らせられ、手応えを実感するのかもしれない。

商品性としてソツなく完璧に仕上げられたクラウンアスリートと、車らしさをこのクラスのサルーンでも実感できるフーガ。さしずめパスタのソースで言ったら、クラウンアスリートが滑らかなクリーム系、フーガはニンニクが効いたトマトソースといったところだろう。