THE!対決

PART1 走行性能が優れているのはどっち?

日産 キューブ
日産 キューブ 走り|THE!対決
↑十分な低速トルクを発揮するエンジンと制御マナーが秀逸なCVTの組み合わせにより、スムーズかつ力強い加速を実現。乗り心地も先代の突っ張った感が緩和され、質感も高い
日産 キューブ ドライビングポジション|THE!対決 日産 キューブ リアシート|THE!対決
トヨタ bB
トヨタ bB 走り|THE!対決
↑bBの走りは“スポーティ”という言葉とは無縁のタプッとしたもので、ボディの揺れも鷹揚なピッチングを許すほどだが、キューブと比べると乗り味はガサガサと粗い印象を受ける
トヨタ bB ドライビングポジション|THE!対決 トヨタ bB リアシート|THE!対決

癒し系コンパクトとして独特の存在感を発する新型キューブ

自然の中には優しいデザインがあふれている…のCMのセリフには「地球上に生物が誕生して以来ずっとそうなんですけど」と、少々だけツッコミを入れさせていただきたい(余談だが、止まっていてもいかにも走り出しそうなイメージで…のムラーノのCMも「昔からすべての車のデザインとはそういうものです」と言いたい)。

が、“リラックス感あふれる世界観”のキャラは自他共に認めるところ。その2世代目として登場したのが、新型キューブだ。先代は国内専用車だったが、新型は北米、欧州にも投入予定とのこと。

心が広い人ならキープコンセプトと言うだろうが、最近の日産車の傾向で、焼き直し…に、リポーターには見えてならない。

が、ともかく癒し系コンパクトとして独特の存在感があることは認めよう。とくに“走り”で言えば、先代より乗り心地がかなり改善されたのはポイントだ。停止直前にわずかに上下のヒョコヒョコした揺れがまだ残ってはいるが、先代のアノ突っ張った感のあった乗り味は大分良くなった。今回の対抗車のbBと比べても、乗り味の質は高いと感じられる。ステアリングフィールがしっとりとしているのも好印象だ。

動力性能もCVTの制御マナーが非常に秀逸なため、よくできたトルコン式ATのように、スムーズな加減速が可能。エンジン自体も低速で十分なトルクを発揮してくれるので力強く、そのままスムーズに加速する。ただ、古式ゆかしいコラムシフトの操作感は、スイッチ感覚のインパネシフトが増えた今では、操作時に力加減の調節が必要で、慣れないとやりにくいかもしれない。

フル乗車での感想は、真っ先に後席乗員が指摘したのが天井の“波紋”。「ゆらぎを表現したのだろうが微妙」「いや、癒される」と、スタッフ間でも賛否両論。また後席については「普通のセダンより床が平らでいい」「ドアのアームレストに腕が楽に置けて疲れなさそう」などと比較的好評。

シートは「運転しなければやわらかでシアワセ」「人の形をしていない中央は苦手」「座面が短い」といった声が。フォトフレームを意識したという窓は「視界が広い」「景色が刻まれやすいと思う」と評判が良かった。

乗り味は「旧型はただ揺られているだけだったが、乗り心地に芯ができた」「大人数で乗ると乗り心地がいい」。前席では「普通」とのことだった。

走りの質もキャラのイメージも“まったり系”のbB

一方のbBだが、今の世の中なにが起こるかわからないもので、ダイハツ クーに加え、現状ではスバル デックスが加わり3兄弟になった。参考までにデックスは1.3Lのみの設定で1.5Lはない。

今回の対抗車のbBは、2008年10月のマイナーチェンジの際に登場した、ちょっとおとなしい顔つきのほうのグレード。隈取りのメイクを落とした歌舞伎役者の素顔のように見え、コチラの顔つきのほうがホッとするのはリポーターだけか? 

とはいえ走りは、bBのキャラクターのイメージどおりの“まったり系”だ。ボディの揺れも鷹揚なピッチングを許すほどで、タオッとしたもの。要するにスポーティにガチガチに固めていないということだ。ただキューブと比べるとやや乗り味がガサガサと粗い印象ももつ。エンジン性能も3000rpm程度回していれば実用上十分な印象。ただし1名乗車では発進時にATの飛び出し感があるが、これは初代bB以来のこの車の特徴でもある。

フル乗車試乗では、bBは「インテリアが暗い色で窓が天地に狭いので閉塞感がある」との感想。だが後席は「キューブよりゆったりしている」「シートはベンチ風だが嫌じゃない」と評価された半面、「個室な感じはするけど、前席より低く隠れた感じで前が見えない」「景色に目がいかないから家族で乗ったらイライラしそう」との指摘も。

インテリアに凝ったハズの車だが、女性スタッフからは「メーターとかもかわいくない」「キューブのように見てて楽しい感じがしない」「キューブの室内はまーるいやさしい感じだけど、bBは完全に四角い箱形」といった感想も挙がった。

乗り心地は「キューブよりゴツゴツしている」の指摘。後席では「後ろから音が入ってくる」とのこと。
今回のまとめ
キープコンセプトの話はともかく、キューブのほうが先代に対し乗り心地が良くなった。なのでここではキューブを評価しておく。
今回のテスト車両
日産 キューブ フロント|THE!対決
日産 キューブ リア|THE!対決
日産 キューブ インパネ|THE!対決          
日産 キューブ
テスト車両 15X Vセレクション
170.1万円
駆動方式 2WD
トランスミッション CVT
全長×全幅×全高(mm) 3890×1695×1650
ホイールベース(mm) 2530
車両重量(kg) 1180
最小回転半径(m) 4.6
乗車定員(人) 5
エンジン種類 直4DOHC
総排気量(cc) 1498
最高出力
[kW(ps)/rpm]
80(109)/6000
最大トルク
[N・m(kg-m)/rpm]
148(15.1)/4400
使用燃料 無鉛レギュラー
燃料タンク容量 45L
10・15モード燃費
(km/L)
19.2
実用燃費 (km/L)
e燃費提供
現在調査中
タイヤサイズ 175/65R15
※実用燃費のデータはe燃費の提供です
トヨタ bB フロント|THE!対決
トヨタ bB リア|THE!対決
トヨタ bB インパネ|THE!対決
トヨタ bB
テスト車両 Z“Lパッケージ”
157.0万円
駆動方式 2WD
トランスミッション 4AT
全長×全幅×全高(mm) 3795×1690×1635
ホイールベース(mm) 2540
車両重量(kg) 1050
最小回転半径(m) 4.9
乗車定員(人) 5
エンジン種類 直4DOHC
総排気量(cc) 1495
最高出力
[kW(ps)/rpm]
80(109)/6000
最大トルク
[N・m(kg-m)/rpm]
141(14.4)/4400
使用燃料 無鉛レギュラー
燃料タンク容量 40L
10・15モード燃費
(km/L)
16.0
実用燃費 (km/L)
e燃費提供
現在調査中
タイヤサイズ 185/55R15
※実用燃費のデータはe燃費の提供です
Report/島崎七生人 Photo/森山良雄