ミツビシなのに左ハンドル!? なオープンカー

国産車メーカーの車は右ハンドルなのが当たり前。しかし、三菱の車なのに左ハンドルのモデルがあったことを知っていますか? 今回は北米三菱自動車で生産され、日本へも逆輸入されて正規ディーラーで販売されていたオープンスポーツカー、エクリプススパイダーの3代目をご紹介します。

1989年に初代が誕生したエクリプス。18世紀にイギリスで18戦18勝の成績を収めた名競走馬が車名の由来です。初代は日本でガルウイング仕様の特別モデルも発売されています。一貫して北米をメインターゲットとして開発され、初代と2代目はクライスラーへ「プリムスレーザー」「イーグルタロン」としてOEM供給もされていましたが、日本でも並行して発売は続けられました。

3代目エクリプスがデビューしたのは1999年7月。スパイダーは2004年10月に車両本体価格315万円で日本導入されました。グレードはGTSの1グレードのみ。カラーバリエーションは銀・黒・赤の3色で、全長4515×全幅1760×全高1355mmと、日本ではちょっと大きめのサイズです。その割に後部座席は狭めで、一応4シーターながら大人4人が乗るにはちょっと窮屈。ですので、2+2と割り切ったほうがいいかもしれません。
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スタイリングはかなり個性的。愛嬌のあるフロントマスクに3本のラインがシェイプされたサイドライン、テールレンズ内にランプを配したリアなど、およそ日本車とはかけ離れたデザインです。一見しただけではどこの車かわからない、新鮮な驚きと鮮烈な印象を周囲に与えます。半面、プラスチックが前面に押し出された黒一色の内装は、実にアメリカ車らしいテイストです。

ドライブトレインは最高出力196psを発揮する、パワフルな3LのV6エンジンを搭載。スポーツモード付きの4ATを組み合わせています。ただ、初代や2代目ほどスパルタンではなく、乗り心地はかなりマイルド。高速クルージングをメインとする、ラグジュアリーカーとしての性格が強くなっています。

あわせて装備もかなり豪華仕様になっています。約30秒で電動開閉できるソフトトップのほか、Infinity製のオーディオ&7スピーカーシステムを標準装備。さらに運転席パワー機構付き本革シート、クルーズコントロール、エンジンイモビライザーも搭載。オプションとしてスポーツペダルなども設定されています。
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クローズ時の静粛性は、ソフトトップとしては最高ランクに近いレベル。一方でオープン時の風の巻き込みは、窓をすべて上げても完全には抑え切れていない印象です。もっとも、クルージングする分には全く問題ないレベルなので、風を感じながら走りたい人には最適かもしれません。意外に使い勝手が良いのがラゲージ。奥行きこそ短めですが、深さと横幅がたっぷり確保されています。

原稿執筆時点でカーセンサーnetに掲載されているエクリプススパイダーの数は6台。このうち3代目はなんと2台のみとなっています。過去には10台ほど存在していたのですが、この激減ぶりには驚かされてしまいます。価格は168万円と185万円。まだ新車時価格の半額を割っていない、高値安定型のモデルといえるでしょう。走行距離も1.9万kmと3.4万kmとかなり短め。修復歴もありませんので、この価格も納得です。

日本への輸入台数が少なく、デザインも個性的なエクリプススパイダーは、人と違った車に乗りたいと思っている人にはまさに最適な一台。これから秋に向かって、オープンエアが気持ちのいい季節となっていきます。9月の連休「シルバーウィーク」に向けて、ぜひリプススパイダーを旅のお供に選んでみてはいかがでしょうか。気になった方は下の検索窓に「エクリプススパイダー」と入力してみてください。


Text/渡瀬基樹