▲これから迎える年末年始の連休やゴールデンウイークなど、特に下り線で渋滞しがちな猿橋バス停。バス停の写真をパチリ ▲これから迎える年末年始の連休やゴールデンウイークなど、特に下り線で渋滞しがちな猿橋バス停。バス停の写真をパチリ

日本三大奇橋のひとつ「猿橋」はなかなかの観光スポット

大型連休に入ると、テレビやラジオから「中央道下り線は、猿橋バス停付近を先頭に○○kmの渋滞です」という渋滞情報を良く耳にします。そんな「猿橋バス停」。何度も繰り返し聞かされるものだから、記憶に残っている人も多いでしょう。筆者も以前から、「猿橋」とはどんな場所なのかがすごーく気になっていました。そこで今回、中央道を利用するついでに、ぶらり途中で高速道路を降りる旅に出かけてみたのです。

東京都内から出発して件の「猿橋」までは約1時間30分。昭和7年には、付近の大断崖と植生を含めて、国により名勝に指定されているようです。到着して判明したのですが、「猿橋」は、なんと「日本三奇橋」のひとつなのだとか。気になって「日本三奇橋」を調べてみましたが、まず山梨県の「猿橋」、そして栃木県の「神橋」、山口県の「錦帯橋」と徳島県の「かずら橋」、それに長野県の「木曽の桟(かけはし)」と諸説あるようでした……。

驚いたのは観光客の多さ。バスツアーで訪れていた若い女性客をはじめとして、リタイヤ世代のご夫婦など、橋周辺をひっきりなしに人が行き交っています。

猿橋は下から見上げるのがツウ?

猿橋ではボランティアガイドの根岸光子さんが猿橋の由来を説明する紙芝居を上演中。要約すると「推古天皇の時代に百済からやって来た志羅呼(シラコ)さんが橋を架けようとしたのですが、川が氾濫して橋脚が何度も流されてしまった。うまくいかずに途方に暮れていたときに、猿同士がつながって体を橋として、対岸に渡る姿に遭遇。その姿をヒントに、橋脚を使わない猿橋を架けるのに成功しました。めでたし、めでたし」といったもの。

実は「猿橋」、その歴史はものすごく古く、最初に架けられたのは推古天皇の時代、7世紀頃と伝わっているようです。江戸時代には甲州街道の要衝として、幕府直轄での工事が行われ、9回の架け替えと十数回に及ぶ修理が行われました。ちなみに、昭和初期は橋の幅が今よりも広く、車が行き交っていたそうです。戦時中は、戦車が通ったこともあるとのこと。なんて丈夫なんでしょうか。

根岸さんはボランティアガイドをしながら観光客にお手製のぬか漬けを振る舞っているそうで、私もごちそうになりました。これがまた本当に美味なのでした!

そんな根岸さんに「橋を下から眺めてごらんなさい」と言われたので、早速行ってみると、なるほど「三大奇橋」と呼ばれていることに納得。崖の両岸から張り出した四層のはねぎがテコの原理で橋を支えています。この建築方法は刎橋(はねばし)と呼ばれ、木造で現存しているのはここだけなのだとか。1400年以上も前にこんなことを思いつくなんて、人間ってスゴい!

軽い気持ちで寄ってみた「猿橋」、実はなかなか充実した観光スポットでした。ちょっと寄り道できるのもドライブの楽しみのひとつ。中央道の渋滞でイライラしたら、途中で降りて立ち寄ってみてはいかがでしょう。

▲「猿橋」の住所は、山梨県大月市猿橋町猿橋。大月インターチェンジで降りて10分程度の場所にあります ▲「猿橋」の住所は、山梨県大月市猿橋町猿橋。大月インターチェンジで降りて10分程度の場所にあります
▲猿橋は「名勝」にして「日本三大奇橋」にも数えられるほど、なかなかの観光スポット ▲猿橋は「名勝」にして「日本三大奇橋」にも数えられるほど、なかなかの観光スポット
▲高さは30m、長さは30.9m、幅は3.3m。やたらと「3」にゆかりがあり、長嶋茂雄ファンは、ぜひ訪れてみるといいでしょう(笑)。特に11月上旬はカエデ、ケヤキ、イチョウが見ごろを迎えており、紅葉狩りに訪れる人も多いようです ▲高さは30m、長さは30.9m、幅は3.3m。やたらと「3」にゆかりがあり、長嶋茂雄ファンは、ぜひ訪れてみるといいでしょう(笑)。特に11月上旬はカエデ、ケヤキ、イチョウが見ごろを迎えており、紅葉狩りに訪れる人も多いようです
▲現在の「猿橋」は、昭和59年(1984年)に架け替えられたもので、ほぼ江戸時代の姿なのだとか ▲現在の「猿橋」は、昭和59年(1984年)に架け替えられたもので、ほぼ江戸時代の姿なのだとか
▲手前に見える橋は「八ツ沢発電所施設 第一号水路橋」。「猿橋」に負けず劣らずの貴重な橋です。この水路橋をはじめとして、「八ツ沢発電所施設」は重要文化財に指定されています ▲手前に見える橋は「八ツ沢発電所施設 第一号水路橋」。「猿橋」に負けず劣らずの貴重な橋です。この水路橋をはじめとして、「八ツ沢発電所施設」は重要文化財に指定されています
▲猿橋の下を流れる川は「桂川」。山中湖を源流としており、世界遺産「忍野八海」で知られる忍野村を経て、猿橋町を経て、相模川へと流れていきます。深い緑の水面はとっても美しく一見の価値ありですよ! ▲猿橋の下を流れる川は「桂川」。山中湖を源流としており、世界遺産「忍野八海」で知られる忍野村を経て、猿橋町を経て、相模川へと流れていきます。深い緑の水面はとっても美しく一見の価値ありですよ!
▲猿橋の由来を紙芝居でわかりやすく教えてくれるボランティアガイドの根岸さんいわく「橋を下から眺めると、仕組みがよく分かりますよ」とのこと ▲猿橋の由来を紙芝居でわかりやすく教えてくれるボランティアガイドの根岸さんいわく「橋を下から眺めると、仕組みがよく分かりますよ」とのこと
▲根岸さんお手製のぬか漬けのご相伴にあずかりました。ダイコン、キュウリ、ハヤトウリ、ニンジンなどがよく漬かっていて美味です。猿橋の隠れグルメかも ▲根岸さんお手製のぬか漬けのご相伴にあずかりました。ダイコン、キュウリ、ハヤトウリ、ニンジンなどがよく漬かっていて美味です。猿橋の隠れグルメかも
▲「猿橋」は下から見るべき! 四層のはねぎがテコの原理で橋を支えている。なかなかの大迫力で圧巻! ▲「猿橋」は下から見るべき! 四層のはねぎがテコの原理で橋を支えている。なかなかの大迫力で圧巻!
▲「猿橋」を堪能し、昼食。「猿橋」が甲州街道の要衝だったとき、この周辺は旅籠が多かったそうですが「大黒屋」さんの前身はその旅籠。なんと、「赤城の山も今宵限り……」のセリフで有名な国定忠治の定宿だったのだとか ▲「猿橋」を堪能し、昼食。「猿橋」が甲州街道の要衝だったとき、この周辺は旅籠が多かったそうですが「大黒屋」さんの前身はその旅籠。なんと、「赤城の山も今宵限り……」のセリフで有名な国定忠治の定宿だったのだとか
▲「大黒屋」さんは日本を代表する総合電機メーカー「日立製作所」創業の打ち合わせが行われた場所。今でも日立製作所の社員が公私を問わずに訪れることがあるそうです ▲「大黒屋」さんは日本を代表する総合電機メーカー「日立製作所」創業の打ち合わせが行われた場所。今でも日立製作所の社員が公私を問わずに訪れることがあるそうです
▲頂いたのは名物「忠治そば」。山梨の名物である馬肉の竜田揚と七三そばのセットです。そばつゆはほどよい甘みで美味。三葉・白髪ねぎ・大根おろし・わさび・鷹の爪と薬味が多く、いろんな味が楽しめます。七三そばの喉越しも抜群でした ▲頂いたのは名物「忠治そば」。山梨の名物である馬肉の竜田揚と七三そばのセットです。そばつゆはほどよい甘みで美味。三葉・白髪ねぎ・大根おろし・わさび・鷹の爪と薬味が多く、いろんな味が楽しめます。七三そばの喉越しも抜群でした
▲「猿橋」を満喫したので帰路につこうとしたところ、地図上に「出世大神宮」なる神社を発見! サラリーマンにとっては、たまらない名前。取材に付き合ってくれた編集Aくんのためにも立ち寄りましょう。これで、偉くなってくれるといいな~ ▲「猿橋」を満喫したので帰路につこうとしたところ、地図上に「出世大神宮」なる神社を発見! サラリーマンにとっては、たまらない名前。取材に付き合ってくれた編集Aくんのためにも立ち寄りましょう。これで、偉くなってくれるといいな~
text&photo/コージー林田