首都高速は9月末まで、中央環状線(C2)山手トンネル内で温度上昇抑制対策としてミスト噴射を実施する。区間は内回り(南行き)が富ヶ谷出口~大橋JCT間(約200m)、外回り(北行き)が西池袋出口~トンネル出口間(約500m)となる。

山手トンネルは開通後からトンネル内に温度計を設置。温度監視を実施してきたが、トンネル延長が長く通行量も多いため、走行車両の廃熱などの影響で夏季にはトンネル内の温度が高くなっていた。これまでも積極的に外気をトンネル内に導入する換気運転を行っていたが、十分に温度は下がらなかった。

ミストの噴霧設備は、微細な水の粒(霧)を発生させ、空気中で水が液体から気体に変わるときに周りから熱を奪う「気化熱」の現象を利用して周囲の気温を下げる。発生した霧はすばやく蒸発するため、肌や服が濡れることはほとんどないとされている。

首都高速では昨年、換気運転と合わせて試験的に内回りでミスト噴射を導入。ドライバーの視界に支障となるような問題はなく、温度低下効果があることが確認されている。そこで今年は新たに外回りにもミスト噴射設備を設置し、本格導入した。

ミスト噴射は、2006年8月に東名高速の上郷SA上り線で導入されて以来、休憩施設では来場者の暑さ対策として数多く導入されているが、本線上で噴霧されるのは山手トンネル以外に例がない。

トンネル上部で噴霧されたミストは風の影響などで路面近くまで降りてくる可能性もあるが、基本的にはすぐに蒸発する

トンネル上部で噴霧されたミストは風の影響などで路面近くまで降りてくる可能性もあるが、基本的にはすぐに蒸発する

噴霧区間は上下線とも、トンネル出口付近の一部区間のみ。トンネル内の温度を約2度下げる効果があるという

噴霧区間は上下線とも、トンネル出口付近の一部区間のみ。トンネル内の温度を約2度下げる効果があるという

山手トンネルは、2007年12月に高松~西新宿JCT間が、2010年3月に西新宿JCT~大橋JCT間が開通。2014年度には大井JCTまで開通する予定だ

山手トンネルは、2007年12月に高松~西新宿JCT間が、2010年3月に西新宿JCT~大橋JCT間が開通。2014年度には大井JCTまで開通する予定だ