国土交通省中部地方整備局、NEXCO中日本東京支社、静岡県、静岡市、浜松市で構成される「新東名(静岡県)インパクト調整会議」は、新東名高速道路における開通後1年間の交通状況と整備効果を発表した。10km以上の渋滞が約9割減少するなど、様々な開通効果が判明している。

新東名は昨年4月14日に御殿場JCT~三ヶ日JCT間が開通。静岡県内のほとんどの区間が東名高速とのダブルネットワーク体勢となっている。残る神奈川県側の海老名南JCT~御殿場JCT間は2016年度~2020年度に、愛知県側の浜松いなさJCT~豊田東JCT間は2014年度に開通予定だ。

新東名の平均交通量は1日あたり約4万台で、新東名と東名の合計交通量は開通前に比べて約13%増加した。静岡県内のICを利用する交通量も同様に約13%増加しており、特に休日の利用が増えている。新東名の近隣や県北部の観光施設で観光客が増加するなどの効果も出ているようだ。

また、開通前の東名では10km以上の渋滞が年227回発生していたのに対し、開通後は東名と新東名の合計で18件と、およそ9割減少。事故の件数も3329件から2847件へと約1割減少し、特に人身事故は521件から378件へと約3割減少している。

さらに、静岡県内を通過する交通の約7割は距離の短い新東名を利用する一方、県内移動の約8割は東名を利用しており、役割の違いが明確となっている。また首都圏以東と中京圏以西の長距離交通にも影響を及ぼしており、中央道ルートの交通量が1日あたり約1300台減少するなど、混雑緩和に貢献している。

(社)全国物流ネットワーク協会の調査では、東京~名古屋間の直行便トラックで、新東名を利用すると東名に比べて燃費が約7%向上するという結果も出ている。事故や災害での通行止めや集中工事による規制時にもダブルネットワークが威力を発揮しており、地元にも県外にもいい効果が出ているようだ。

カーブの最小半径が小さく最大勾配の大きい東名に比べ、新東名のほうが平坦でまっすぐな区間が多いため走りやすいのも燃費がよくなりやすい理由だ

カーブの最小半径が小さく最大勾配の大きい東名に比べ、新東名のほうが平坦でまっすぐな区間が多いため走りやすいのも燃費がよくなりやすい理由だ

渋滞の減少で平均速度も上昇し、東名では開通前に比べ約5km/hアップ。一般道でも交通分散効果が出ている(2013年新東名(静岡県)インパクト調整会議調べ)

渋滞の減少で平均速度も上昇し、東名では開通前に比べ約5km/hアップ。一般道でも交通分散効果が出ている(2013年新東名(静岡県)インパクト調整会議調べ)