モーターショーより効果的? 自動車メーカーはCESに意欲
2017/02/14
他業者と手を組むことで、新たな技術を導入
2017年1月5日から8日にかけて、アメリカ、ラスベガスで開催されたCES(コンシューマーズ・エレクトリック・ショー)が、自動車の話題をさらった。同時期に開催された世界に名だたる自動車ショーである、デトロイトショーよりもCES関連のニュースの方が目立ったほどだ。
今回のCESで、各社がテーマに掲げてアピールしたのは案の定、自動運転技術に関するものだった。
NASAの技術を活用し、遠隔操作を可能にした日産
CESで日産のカルロス・ゴーンCEOは、新技術の「SAM」を含めた、ゼロエミッション&ゼロフェイタリティ(=死亡者ゼロ)に向けた技術とパートナーシップに関する基調講演を行って注目を集めた。
SAMとは、NASAの技術を使い、完全自動運転車のAI(人口知能)学習を遠隔操作によって支援するというもの。自動運転車は、機械的に障害物を認識して危険回避のために止まることはできるものの、周りの状況(車や歩行者)に配慮しながら、それらを避けて通るといった判断はできない。
そういった人間の判断が必要な状況において、指令センターから遠隔で指示し、さらには他の自動運転車にも広く共有して学習を深めていくシステムだ。NASAが無人惑星探査車に導入している遠隔操作技術を応用したものだという。
ホンダは、グーグルとタッグを組む
ホンダは、CES開催直前の2016年12月22日、アメリカのグーグル社から分離独立した、自動運転関連の開発会社、ウェイモとの提携を発表した。ホンダが提供する車両にウェイモのセンサー類とソフトウェアが搭載され、自動運転に必要な車両制御技術の開発が進められていく。
ウェイモは、すでにFCA(フィアット・クライスラー)と手を組んでいて、クライスラー パシフィカを使った自動運転車を2017年内にも発表するといわれている。
ホンダは、CESで感情エンジン搭載の自動運転EVコミューター、「NeuV」と自立する二輪車、「ライディングアシスト」を公開した。前者はドライバーの表情や声のトーンからストレス状況を判断して安全運転をサポートする他、ライフスタイルを学習して、ドライバーの嗜好に合わせたコミュニケーションも可能だという。
ライディングアシストには、アシモで培われたバランス制御技術が織り込まれているため、ライダーの有無を問わず、絶えず自立。バランスを崩して転倒しそうになると、バイクがバランスを取ってくれる点が興味深い。
アウディやBMWなども精力的に出展
CESでは、欧州メーカーも強力にアピールを行った。例えばアウディは、巨大部品メーカーのZR-TRW、ボッシュとともに、アメリカの半導体メーカーであるNVIDIA(エヌビディア)とAIの共同開発を行っていくと発表した。余談ながら、アウディが実用化しているバーチャルコックピットや、コネクト技術はNVIDIAとともに開発されたものだ。
BMWは、インテルおよびモービルアイと共同で、自動運転車用のソフトウェアと、マイクロプロセッサーを開発している。2021年に発表予定の次世代iモデルで、自動運転技術を本格導入し、その後、採用モデルを増やしていく計画だという。
モービルアイは、イスラエルの企業だ。日産がセレナに採用しているプロパイロットには、モービルアイの制御ICチップが使われており、先進運転補助システムや自動運転技術においては侮れない実力の持ち主だ。
自動車業界の目はCESに向いているのかもしれない。いよいよ完全自動運転に向けて、世界が動き始めたといえそうだ。
※2017年2月14日現在における予測記事です
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