自社製にこだわらない外部調達がトレンドになった自動車業界
2017/01/18
フランス、ヴァレオ製の電動過給器を初めて実用化したのはアウディ
フランスのヴァレオが開発した、電動スーパーチャージャーを最初に購入&市販化することにしたのは、アウディだ。
同社がSQ7に用いる電動スーパーチャージャーとは、エンジンの排気を利用して、大量の空気を吸い込むターボチャージャーに、小型電動モーターを組み合わせたものだ。空気を吸い込む側には、風車のようなコンプレッサーが付いているが、これを回すエネルギーに、エンジンからの排気ではなく、電動モーターを使う構造になっている。
基幹技術でもアウトソーシングが進行中
このヴァレオ社による、電動スーパーチャージャーを、韓国のヒュンダイ/起亜グループが採用し、北米で販売する大型セダンとSUVに採用するとの情報を得た。エンジン排気量を小さく抑えて、電動スーパーチャージャーとターボによる、ツイン過給ユニットに仕立てられる予定だ。
また、ヒュンダイは、トラックやバスなどの大型商用車部門で、ドイツのZF-TRWから次世代トランスミッションや、超低床EVバスに用いる技術も購入するようだ。
自動車先進国たるドイツの自動車メーカーでも、技術をすべて自前でまかなっているところは皆無だ。例えばアウディのハイブリッドシステム「e-tron」は、AVLという企業が開発したもの。
BMWもATは、ほぼすべてZF-TRW製で、トヨタと共同開発している新生スープラ/次期Z5にも、同社の8速ATが搭載される計画だ。さらに、ダイムラーやポルシェも、大手サプライヤーやエンジニアリング会社から技術を買っている。
製品のコンセプトを描き、それに合致するシステムを自社開発だけでなく、広く社外からも調達する。これが現在 、欧米の自動車メーカーの間で広まっている考え方だ。
欧州で進められている、自動運転システムの開発も、中心になっているのは、ボッシュ、コンチネンタル、ZF-TRW、すなわちドイツのビッグスリーサプライヤーである。また、先端研究には、大学やエンジニアリング会社が協力している。これがドイツの強みだ。
外部リソースの活用で成長を遂げたヒュンダイ
外部とのコラボレーションを進めながら、自社の技術に取り込んでいこうという戦術は、ヒュンダイが三菱からエンジン供給を受けていた、1970年代まで遡ることができる。韓国初の国産車として発売された、初代ポニー(1975年)に、三菱のエンジンが用いられた後、80年代には高級車グレンジャーを共同開発。じつは、このセダンは日本国内で三菱 デボネアとして販売されていた車の兄弟車だ。
いまや世界第5位の生産台数を誇る、巨大自動車グループになったヒュンダイは、世界各地の優秀な研究所に、先端研究を委託して最新の技術を購入するようになった。ただし、技術の購入には資金が必要だ。車が売れている間は問題ないが、なにかの原因で生産が止まると、利益が激減する懸念もある。
※2017年1月18日現在における予測記事です
日刊カーセンサーの厳選情報をSNSで受け取る
あわせて読みたい
- SUVじゃなくていいじゃない! この夏、「キャンピングGT」に乗ろう!【カーセンサー8月号】
- 5年落ち以内が車両本体価格200万円以下から狙える! スタイリッシュな輸入車SUV4選
- 植田圭輔さんが、真っ赤なポルシェで緑の中を駆け抜ける!
- 9年連続エンジン・オブ・ザ・イヤー2.0~2.5L部門賞を受賞した「2.5L直列5気筒TFSIエンジン」搭載の狙い目モデル3選
- ドア開閉音からも分かる卓越したビルドクオリティ、空冷時代だからこそ生きたポルシェの技術力
- 【試乗】新型 アウディ A4 アバント│実用性の高いアバントボディがクアトロらしい俊敏な走りとマッチし、絶妙にバランスがとれた逸品
- 現代自動車が日本市場に復活
- 小沢コージが自動車界の勇者・救世主を探すべく「激レア変態車」の取引現場、白金の魔窟を直撃!【カーセンサーニッチ】
- 本場ドイツの名門レース「DTM」が、再び注目を集めるワケ!【EDGE MOTORSPORTS】
- 元教習指導員オススメ! 総額100万円以内で買える“脱ペーパードライバー”にぴったりなモデル【SUV編】