都市圏ほど公共交通が充実していない地方では、通勤やレジャー、買い物に車は欠かせない。なかには、居酒屋でも駐車場を完備しているケースもある。ネット上では、「駐車場のある居酒屋は飲酒運転を助長している」などといった意見も散見されるが、地方の住民的には「駐車場がないと居酒屋まで行けない」という声もあり、必要とされている場合も少なくない。しかし、飲酒したあと、駐車場に停めた車はどうするのだろうか。

ひとつは、仲間同士や飲食店の協力を得て、飲まない人を「ハンドルキーパー」と決め、その人は酒を飲まず、仲間を自宅まで送りとどけるといった方法での帰宅。これは「ハンドルキーパー運動」として全国で広く行われている。

もうひとつは、運転代行の活用だ。なかには、一定金額の飲食をした客に、運転代行のサービスチケットを渡すサービスを行っている居酒屋も存在する。しかし、必ずしも健全な運転代行業者ばかりかといえば、そうではないようだ。なかには、支払いや随伴車の事故などのトラブルも報告されている。

そんな状況を打破するため、昨年3月、国土交通省は、トラブル回避のための具体的な方策を盛り込んだ、標準約款の改正を行っている。ここでは、利用料金について明確にし、利用者の保護を図るために「領収証を発行する」、「料金の概算額を口頭により明確に利用者に伝える」などが定められた。

そして、昨年11月には運転代行の業界団体の代表者と外部有識者で組織された「優良運転代行業者評価認定委員会」により優良運転代行業者評価制度が制定された。全国運転代行協会のホームページで、認定された全国488業者を公開している。

優良運転代行業者になるには、随伴車の任意保険の加入や、過去2年に飲酒運転等悪質な違反がない等の要件が盛り込まれており、利用者や飲食店などが安全・安心な運転代行業者を選択する際の参考にできるだろう。

昨年11月には、悪質運転による死傷事故の罰則を強化する新法「自動車運転死傷行為処罰法」が成立したばかり。飲酒運転が決して許されるべきでないことは、今更語るまでもないだろう。公共交通機関が充実しておらず、居酒屋に車で出かけるときには、ハンドルキーパーか運転代行を忘れずに!

優良運転代行業者に認定された事業者には認定証とステッカーが交付される。有効期限は2年間で、以降は2年毎の申請が必要となる

優良運転代行業者に認定された事業者には認定証とステッカーが交付される。有効期限は2年間で、以降は2年毎の申請が必要となる

公共交通網が充実している一都三県だが、埼玉県は優良運転代行業者が18と多い。ちなみに全国で最も多いのは長野県の27だった

公共交通網が充実している一都三県だが、埼玉県は優良運転代行業者が18と多い。ちなみに全国で最も多いのは長野県の27だった