ドライバーであれば誰しも一度ぐらいは経験があるであろう運転中に襲ってくる睡魔。車に乗る前は全く眠くなかったのに、なぜか運転していると急に眠気が…、なんて覚えがあるのではないだろうか。

そんな、自分では自覚できない眠気まで検知できる「眠気検知センサー」が開発されたという。発表したのは富士通。10月1日~5日まで幕張メッセで開催されたIT・エレクトロニクス総合展「CEATEC JAPAN 2013」でお披露目された。

これまでも、運転手の顔をモニターし、目が開いているかどうかをウォッチしたり、首の動きを加速度センサーで感知して居眠りの警告を出すといった装置はあったが、富士通が注目したのは心臓の動きである「心拍」だ。

検知方法は、運転手の耳たぶにポケットに入るサイズのクリップ型脈拍センサーを取り付け心拍を測定するだけ。測定された心拍はBluetoothでスマートフォンに送られて独自のアルゴリズムで解析される。

担当者によると「心拍の間隔は長かったり短かったりして一定ではない。この心拍の“揺らぎ”をアルゴリズムにより解析し、急激な眠気の進行や眠気との格闘状態、眠気の進行状況などを検知する」という。

また、「眠気検知センサー」と併せて発表されたのが、体に装着しなくても睡眠状態が記録できる「睡眠センサー」だ。微弱な電波を体に当てることで、睡眠中の心拍、呼吸、体動を測り、睡眠の質を判断するとのこと。

これらの機器を組み合わせれば、例えば、トラックやバスのドライバーが行う乗車前のアルコール検知のように、心拍の測定や前日の眠りの質のデータにより潜在的な眠気を検知し、もしも眠気が検出された場合は、その日の運転を控えるといった使い方も考えられる。

ちなみに、「眠気検知センサー」は眠気以外にも、心拍の上昇なども測定しており、「急激な心拍変動」が多発する地点などは、なにかしらのヒヤリハットが置きやすい地点として認識し、ハザードマップ作成の一助にもなるという。

まさに眠気の可視化ともいえる今回の技術。低価格車にも衝突防止装置が続々と搭載されている昨今だが、近い未来には、居眠り防止システムも搭載されるかもしれない。

CEATEC会場に展示されていた参考出展機。詳細は未定だが2~3年後の実用化を目指しているという

CEATEC会場に展示されていた参考出展機。詳細は未定だが2~3年後の実用化を目指しているという

この技術の活用・適用のイメージ図。まずはトラックやバスのドライバーなどを対象にプロユースでの活用を想定しているようだ

この技術の活用・適用のイメージ図。まずはトラックやバスのドライバーなどを対象にプロユースでの活用を想定しているようだ