自動車メーカーが手がけるロボットの中でも抜群の知名度を誇るホンダのASIMO。10年以上前に初めて見たときは、よちよちとゆっくりと歩いていた彼(あえて彼と呼ぼう)だったが、その後めざましい進化を遂げていた。

まず、小走りや旋回などもこなし、アイカメラによる対人認識により、上手にすれ違ったり道を譲ったりできるようになった歩行能力がすごい。そして音楽に合わせてパラパラダンスを踊ることもできる手や腕の関節の進化。この関節に用いられた技術は東京電力福島第一原子力発電所の線量などを調査するロボットにも応用されている。

また、複数のASIMOをネットワークで結び、作業状態を共有し、効率良く分担するなどの共同作業も可能なのだとか。

最新のASIMOは、世界で初めて自律行動制御技術を搭載。これまでのASIMOはプログラムにより動作を決めていたが、最新型は自律性が高まり、人が操作しなくても連続して動き続けることが可能となった。

実は、この最新型ASIMOと触れあえる機会がある。現在、東京都江東区の日本科学未来館では、ASIMO自身に備わっている機能を自ら身振りを交えながら説明してくれるデモンストレーションを公開中。その際、どの機能を説明してほしいかを来館者に問いかけて、挙手が最も多かった選択肢を判断して話してくれる。ほかにも、最も挙手が早い人を判断して回答を促すなど、人とASIMOの間でインタラクティブなやりとりができる。

ちなみに、このデモンストレーションはASIMOの自律機能の価値を高める実証実験。ロボットの強みである記憶能力を生かして、様々な説明内容をあらかじめ蓄積し、複数のセンサーから来館者のニーズを推定して、わかりやすく伝えることのできる「自律型説明ロボット」の価値を実証している。

また、人や環境の状況が常に変化するなかで、人とASIMOがインタラクティブなやりとりを行うことによって生まれる様々なデータを収集、今後の研究開発にフィードバックすることも狙っているという。

実験は8月2日(金)までの平日、日本科学未来館 3階「未来をつくる」ロボットステージで実施(土曜・日曜と7月29日月は除く)。ロボットの進化を間近に感じられる貴重な機会、夏休みの自由研究にもピッタリだ。

挙手で示された来館者の意向を瞬時に認識するASIMO。人の生活空間で人をアシストする「コミュニケーションロボット」に分類される

挙手で示された来館者の意向を瞬時に認識するASIMO。人の生活空間で人をアシストする「コミュニケーションロボット」に分類される

ASIMOの技術が生かされた調査用ロボット。アームの先端にはズームカメラやレーザーレンジファインダー、線量計が設置されている

ASIMOの技術が生かされた調査用ロボット。アームの先端にはズームカメラやレーザーレンジファインダー、線量計が設置されている