▲試乗会用に集められたマツダの車たち。並んでみるとデザインの良さが際立って感じられる ▲試乗会用に集められたマツダの車たち。並んでみるとデザインの良さが際立って感じられる

デザインとエンジンだけじゃない! 実は安全技術にも力を入れているマツダ

2月2日に発売された新型『CX-5』。すでにカーセンサーnetでも試乗記を掲載しているが、高い質感の内外装や進化した走行性能は高い評価を得ている。

マツダといえば、第6世代と呼ばれるラインナップから採用された「魂動デザイン」と「SKYACTIVエンジン」で、デザイン性の高さと走りの良さが定着しつつある。しかし、実は安全性にも力を入れ、実積を残していることはあまり知られていない。

そういった安全技術も含めて、ユーザーに新型『CX-5』の良さを知ってほしいと2月22日に湘南マツダが開催したのが、『CX-5 先進安全技術体感試乗会』だ。場所は大磯ロングビーチ。損保会社や自動車教習所、部品サプライヤーなど、普段から車との関係が深い業界関係者が招かれた。
 

高齢者の事故もあり、お客様は安全性能を重視して車を選んでいる

湘南マツダの小林茂樹社長は、今回のイベントを開催した理由について「マツダは先進安全技術にも力を入れていることをしっかりと伝えたかった」と語る。小林社長が言うとおり、マツダの先進安全技術『i-ACTIVSENSE』を装備した『アクセラ』は、予防安全性能を評価するJNCAP(自動車アセスメント)で最高ランク『ASV++』を獲得している。しかし、現場ではそれが一般ユーザーに浸透していないと感じていた。
 

▲今回の体験試乗会の発起人である湘南マツダの小林茂樹社長。日々接しているお客様の安全性を重視する声が増えていることから、今回のイベント実施に踏み切った
▲今回の体験試乗会の発起人である湘南マツダの小林茂樹社長。日々接しているお客様の安全性を重視する声が増えていることから、今回のイベント実施に踏み切った

「昨今増加している、高齢者の運転ミスによる事故もあり、弊社にいらっしゃるお客様からも、自動ブレーキなどの安全性を重視する声が多く聞かれるようになりました。しかし、残念ながら、安全性能といえば最初に想起されるのは別のメーカー。そこで、弊社と取引があるお客様のなかでも、車との関係が深く、インフルエンサーとしてマツダの安全性能の高さをいろいろなところで広めて頂けそうな方々をお招きししたのが、今回の試乗会です」と小林社長。

そのために、進化した『i-ACTIVSENSE』を搭載した新型『CX-5』を準備。また、広島のマツダ本社から安全技術を担当する研究員を呼んだことからも、その本気度がうかがえる。

イベントは3部構成。まず、研究員による『i-ACTIVSENSE』の説明と新しい『CX-5』の特徴についての座学が50分。続いて、安全技術を体感する試乗。昼食を挟んで、希望者は新旧『CX-5』の乗り比べや第6世代の『デミオ』『CX-3』『アテンザ』『ロードスター』『ロードスターRF』の試乗が設けられた。
 

▲試乗できる車のラインナップ。右から2番目のデミオも昨年秋にマイナーチェンジしたばかりだ
▲試乗できる車のラインナップ。右から2番目のデミオも昨年秋にマイナーチェンジしたばかりだ
▲こちらも試乗が可能。左から3、4番目は昨年末に新たに発売されたばかりのロードスターRF
▲こちらも試乗が可能。左から3、4番目は昨年末に新たに発売されたばかりのロードスターRF

広島本社から研究員を呼んで、マツダの安全性能を伝える

▲『i-ACTIVSENSE』技術説明に登壇したのは、統合制御システム開発本部 上席研究員の大村氏
▲『i-ACTIVSENSE』技術説明に登壇したのは、統合制御システム開発本部 上席研究員の大村氏

「マツダの安全への考え方の基本は、ドライバー優先であること。最先端の安全技術は、人を手助けしてヒューマンエラーを少なくするものです。そもそも、マツダの車作りは、人を尊重し、運転操作を通して心と体を活性化させることを目指しています。これは、運転を楽しむということ。運転が楽しいと感じるのは、車を思いどおりにコントロールできているから。そして、それは安全運転につながる重要な要素のひとつです」と語るのは、マツダ統合制御システム開発本部 上席研究員の大村氏。

現在のマツダのブランドエッセンスは「走る歓び」。「Be a driver.」というメッセージも有名だ。大村氏の言葉からは、これらのこだわりは、安全性能の追求の上に成り立っていることがわかる。それを示すひとつが、被害リスクの考え方だ。

マツダでは、被害のリスクに応じて4段階に状態を分けている。被害リスクが高い順に「事故が起きてしまった状態」「避けられない状態」「リスクが迫っている状態」、そして被害リスクが最も低いのが「正しい認知→判断→操作により、安全に安心して運転している状態」だ。

「正しい認知→判断→操作により、安全に安心して運転している状態」は、まさに運転を楽しんでいる状態。『i-ACTIVSENSE』は、「リスクが迫っている状態」を「運転を楽しんでいる状態」に戻すための技術だという。
 

マツダの先進安全技術『i-ACTIVSENSE』とは?

試乗に先駆けて行われた座学では、具体的な『i-ACTIVSENSE』の説明も行われた。そもそも、『i-ACTIVSENSE』は、ドライバーの認知支援や衝突回避、衝突被害の軽減を図る先進安全技術の総称で、9つの技術が集合したもの。その機能には、「追突事故被害の軽減」「衝突回避支援」「夜間の運転リスク軽減」「車線逸脱リスクの低減」「後退時のリスク軽減」「危険認知支援」などがある。

今回の試乗では、『MRCC(マツダ・レーザー・クルーズ・コントロール)』と『BSM(ブラインド・スポット・モニタリング)』、そして、『i-ACTIVSENSE』には含まれないが、安全運転の手助けという意味では外せない技術『GVC(G-ベクタリングコントロール)』を体験する。特に『MRCC』は、新型『CX-5』からさらに進化。0~100km/hまでの速度域で追従走行できるようになった。

実際の試乗の様子は、中編でお伝えしよう。
 

▲普段直接話を聞くことができない開発者からの話に興味津々の参加者たち。最新技術の説明を受け、「そんなことまでできるのか……」と深くうなずいている様子が印象的だった
▲普段直接話を聞くことができない開発者からの話に興味津々の参加者たち。最新技術の説明を受け、「そんなことまでできるのか……」と深くうなずいている様子が印象的だった
text/コージー林田
photo/篠原晃一