▲フルサイズのモーターホームから軽トラックを架装したものまで、大小様々なキャンピングカーが展示されていました。日常利用も考えると、大きさはハイエースクラスまでがベスト! ▲フルサイズのモーターホームから軽トラックを架装したものまで、大小様々なキャンピングカーが展示されていました。日常利用も考えると、大きさはハイエースクラスまでがベスト!

軽キャンピング~バンコンが日常利用との併用に向いている

アウトドアブームの再来に伴い、キャンピングカー人気も高まっています。複数台の車を所持できるなら大きなキャンピングカーと日常で使う車を分けることもできますが、1台しか車を持てない人にとってキャンピングカーは夢物語に近いはず。でもちょっと待って。本当に諦めないといけないのでしょうか。7月に東京ビッグサイトで開催された「東京キャンピングカーショー2016」で、いろいろ考えてみました。

編集部ゆきだるま(以下、ゆきだるま):満さんは「キャンピングカーが欲しい」とぼやいていますよね。たしかにキャンピングカーがあれば休日が楽しくなると思いますが、1台しか所有できないとなると、なかなか大変じゃないですか?

ライター満(以下、満):キャンピングカーの快適さって大きさに比例するところがあるからね。大きければ当然室内が広くなりいろいろな装備が付けられる。でもその分値段は高くなるし、走れる道も限られちゃう。どこで折り合いをつけるかが本当に難しいと思うんだ。

ゆきだるま:キャンピングカーとしての快適性以外に日常の使い勝手も重要ですもんね。私、大きい車を運転するのはいまだに苦手ですし……。

:キャンピングカーにはいろいろなタイプがあるんだ。ここで代表的なものを紹介しよう。

■キャブコンバージョン
運転台(キャブ)の付いたシャシーに居住スペースを付けたキャンピングカー。簡単に言うとトラックベースで広い居住スペースを持つのが特徴。リビングとベッドが完全に独立していたりトイレやシャワールームが付いているものもある。

■バンコンバージョン
1BOXカーなどをベースにしたキャンピングカー。乗用車に近いので旅先での移動も楽。

■軽キャンピングカー
軽トラックや軽1BOXをベースにしたキャンピングカー。最大の魅力はそのコンパクトさ。狭い道でもすいすい入っていける。一方で居住スペースはミニマムサイズに。

ゆきだるま:会場を見渡すと本当にいろいろなキャンピングカーがありますね。豪華なキャンピングカーもいっぱい!

:キャンピングカーは道路運送車両法で構造要件が決められているんだ。でも最近はキャンピングカーとは違う“車中泊車”と呼ばれるタイプも人気なんだよね。

ゆきだるま:何が違うんですか?

:キャンピングカーに備わっている炊事設備と水道設備は市販されているキャンプ道具で賄うこともできるよね。だからあえてそれらを付けなかったり、簡易型のものにして車内は寝ることに特化した作りにしたものを車中泊車なんて呼んだりするの。車中泊車はカーセンサーnetで多くの人が選んでいるモデルもあるから、遊び以外でも便利に使えるんだよ。これらを踏まえて普段使いにも便利なキャンピングカーや車中泊車を探していこう!

軽トラックにキャブコンの快適さをビルトイン

▲マツダ スクラムトラックをベースにした「ラクーン・ベンチタイプ」。運転席の上にはバンクベッドと呼ばれる就寝スペースを設置。ベースが軽自動車なのでバンクベッドの幅は1540mm。しかしチャイルドベッドとしては十分な広さ! ▲マツダ スクラムトラックをベースにした「ラクーン・ベンチタイプ」。運転席の上にはバンクベッドと呼ばれる就寝スペースを設置。ベースが軽自動車なのでバンクベッドの幅は1540mm。しかしチャイルドベッドとしては十分な広さ!


ゆきだるま:私がイメージするキャンピングカーってこのカタチです。

:このモデルは横幅を広げて一般的な軽キャンパーより居住性を高めているんだ。だから黄色いナンバーではなく8ナンバーの普通車登録になる。軽ベースだからこそちょうどいいサイズになるっておもしろいよね。

▲「ラクーン・ベンチタイプ」のキャビンはベンチシートになっていて大人2人が快適に過ごせるようになっている。テーブルを外せば1900mm×1300mmのベッドに ▲「ラクーン・ベンチタイプ」のキャビンはベンチシートになっていて大人2人が快適に過ごせるようになっている。テーブルを外せば1900mm×1300mmのベッドに

「ラクーン・ベンチタイプ」(AZ-MAX)
http://www.az-max.co.jp/

日本のお茶の間文化を体現した軽キャンピングカー

▲ダイハツ ハイゼットをベースにした「テントむし Fタイプ」。小さくても給配水タンクやキッチンを設けてキャンピングカーとして8ナンバー登録できる ▲ダイハツ ハイゼットをベースにした「テントむし Fタイプ」。小さくても給配水タンクやキッチンを設けてキャンピングカーとして8ナンバー登録できる


ゆきだるま:ルーフにテントがついていて可愛い!

:これはポップアップルーフと呼ばれる人気装備。ここに2人寝れてリビングにも2人乗りのベッドを作れるから定員全員の就寝スペースが確保されているんだ。軽自動車でも広く使える工夫がたくさん。同じ部屋でご飯を食べて、テレビを見て、布団を敷いて寝る。日本のお茶の間文化を体現しているキャンピングカーだね。

▲「テントむし Fタイプ」の室内をリアから見たところ。対面式のリビングになっている ▲「テントむし Fタイプ」の室内をリアから見たところ。対面式のリビングになっている
▲「テントむし Fタイプ」のリア、そしてサイドのドアを開ければ開放的な雰囲気を楽しめる。ポップアップルーフはメッシュで通気性抜群 ▲「テントむし Fタイプ」のリア、そしてサイドのドアを開ければ開放的な雰囲気を楽しめる。ポップアップルーフはメッシュで通気性抜群

「テントむし Fタイプ」(バンショップミカミ)
http://catalog.vs-mikami.com/

5ナンバーサイズに収まる本格キャンパー

▲5ナンバーサイズのNV200をベースにした「リゾートデュオユーロ」。キャンピングカーとしての性能はもちろん、街中での使いやすさにもこだわりたい人にオススメ! ▲5ナンバーサイズのNV200をベースにした「リゾートデュオユーロ」。キャンピングカーとしての性能はもちろん、街中での使いやすさにもこだわりたい人にオススメ!


:ファミリーカーとしても人気の高い5ナンバースライドドア車。NV200は2列シートだけどミニバン的に使えるモデルだよね。そこにシンク、ギャレー、電子レンジなどを設置。広さと運転のしやすさを両立させたい人にとってベストサイズだと思うな。

ゆきだるま:ルーフのテントがなかったらキャンピングカーだと思わないですね。これくらいのサイズなら運転に自信のない人でも安心できそう。

▲「リゾートデュオユーロ」の室内。横向きに設置されたベンチシートになっている ▲「リゾートデュオユーロ」の室内。横向きに設置されたベンチシートになっている

「リゾートデュオユーロ」(Stage21)
http://www.stage21.co.jp/top.html

リビングスペースが2段ベッドの就寝スペースに早変わり

▲ボディバリエーションが豊富なハイエースは、キャンピングカーのベース車両としても人気。「銀河」は2段ベッドを備え、就寝人数は3人に ▲ボディバリエーションが豊富なハイエースは、キャンピングカーのベース車両としても人気。「銀河」は2段ベッドを備え、就寝人数は3人に


ゆきだるま:ハイエースはバンコンバージョンのベース車両として一番人気。圧倒的な室内の広さを使って多くのビルダーがいろいろなキャンピングカーを作っていますね。

:そうだね。このモデルは就寝人数を3人に抑えてその分室内でリラックスできる空間を広げたり、トイレや収納を広く取るなどの工夫をしている。ハイエースベースは本当に種類が豊富なので、どういう使い方をしたいかじっくり考えて選んでみましょう!

▲「銀河」の室内。普段は横向きのソファ。向かい合わせの1人掛け席も付いています ▲「銀河」の室内。普段は横向きのソファ。向かい合わせの1人掛け席も付いています
▲「銀河」のソファの背もたれを上に設置しテーブルをどかすと3人が寝られるスペースが現れます。時間にしてわずか1分ほど ▲「銀河」のソファの背もたれを上に設置しテーブルをどかすと3人が寝られるスペースが現れます。時間にしてわずか1分ほど

「銀河」(OMC)
http://www.omc-camper.co.jp/

釣りに特化した車中泊ハイエース

▲趣味を楽しむために特化した「フィッシング 釣りエース」。釣りを楽しむ人にとって待望の車中泊車 ▲趣味を楽しむために特化した「フィッシング 釣りエース」。釣りを楽しむ人にとって待望の車中泊車


ゆきだるま:すごい! キャンプじゃなくて釣りに的を絞ったモデルもあるんですね。

:釣りを楽しむ人は早朝に釣り場に着いて仮眠をしたりするでしょう。そんなときに便利なのがこれ。荷室も釣りに使う道具が積みやすく工夫されている。趣味車として最高だよね。

▲たくさんの道具をスッキリ収納できるよう工夫された「フィッシング 釣りエース」の荷室 ▲たくさんの道具をスッキリ収納できるよう工夫された「フィッシング 釣りエース」の荷室

「フィッシング 釣りエース」(ダイレクトカーズ)
http://cars-drt.com/

【番外編】どんな車もあっという間に車中泊車に!

▲ルーフトップテントの「コロンブス」。テントを使うときははしごでアクセス。乗降時ははしごから落ちないよう注意 ▲ルーフトップテントの「コロンブス」。テントを使うときははしごでアクセス。乗降時ははしごから落ちないよう注意


ゆきだるま:あっ、キャストのキャンピングカーじゃないですか! 可愛い!!

:よく見てごらん。実はこれ、ルーフキャリアを使って屋根の上に付けられるテントなんだ。これならどんな車もすぐ車中泊車にできるってわけ。ルーフトップテントは眺めが良くて子供にとっては秘密基地のようなもの。形やサイズも豊富なので予算と使い方に応じて選んで!

▲ルーフトップテントは展開や収納が簡単なのも魅力 ▲ルーフトップテントは展開や収納が簡単なのも魅力

「コロンブス」(AUTOHOME)
http://ziferjapan.com/


ゆきだるま:キャンピングカーっていうとトラックみたいに大きいイメージがあったんですが、意外とコンパクトな車もあるんですね。ここで紹介した車なら日常使いもできそう。

:最近はいろんなタイプのキャンピングカーがあるからね。ただしコンパクトなモデルはその分車内も狭くなるから就寝人数などに差が出てくるのは忘れないで。キャンピングカーを夢物語なんて思わずに、自分に合った車を見つけてアウトドアを楽しんでほしいな。

text/高橋 満(BRIDGEMAN)
photo/高橋 満(BRIDGEMAN)