▲写真キャプション:自動車の購入にはクーリング・オフは適用されないので、条件に合った1台を慎重に選びたい
▲自動車の購入にはクーリング・オフは適用されないので、条件に合った1台を慎重に選びたい

長いこと接客されて悪いな……。そんな情にほだされての購入はNG

買い物をするときに、長い時間親身になって接客をしてもらったら、なかなか断りづらいもの。もちろん、中古車は安い買い物ではないので、情にほだされて勢いで購入というケースは少ないだろう。

しかし、売る側としては、できればその日のうちに契約までこぎ着けたいもの。そのために、消費者契約法などに違反しない範囲で、期間限定のサービスや煽るようなトークを行うことは珍しくない。そこに店員さんの親身な姿勢が加わると、「新車と違い条件にこだわり出すとキリがないし、ここらで手を打つか」なんて気持ちになって、契約をすることも……。

もちろん、それ自体は間違った中古車の買い方ではない。親身になってくれて信頼の置ける店員さんから購入することも重要だ。とはいえ「店員さんに申し訳ない」など、気持ちや雰囲気だけで決めるのはNG。心理カウンセラーの五百田達成氏は、「高価な買い物は一度持ち帰り、3日たってもまだ欲しいならば買うという冷静さが必要です」と語る。

体よくその場から逃れるには「人のせいにする」のがいちばん

確かに、一度、自宅に戻るなどして頭を冷やし、しっかりと情報を集めるのは大事なこと。ただ、気が弱い人は、ビシッと断るのが苦手なこともある。

「男性は合理的に判断をする人が多いので、親身に接客してくれた店員さんに悪いから……という理由で購入するケースは少なめ。逆に女性は、相手の気持ちをおもんばかる共感力が高いので、つい情にほだされて購入する人が多いんです。しかし、断るテクニックは簡単。他人のせいにすればいいんです。自分は欲しい、気に入っているけれど、奥さん、または旦那さんに確認しなくては買えない。この一言で十分でしょう」

一方で、中古車のように一点物の買い物には、ある程度の勢いも大事だという。

「お気に入りの一点物に出会えるのはある意味、縁。それに、この人から買いたいという店員さんに会えるのも縁。勢いで買うのはオススメできませんが、購入を決めたらその縁を大事にするのもひとつの考え方ですよ」

車は購入後もアフターケアなどで販売店と付き合うことが多い。車だけでなくサービスも買うという考え方で、親身になってくれた店員さんから購入するのは、ある意味、正しい買い方なのかもしれない。

▲同じ条件の車が2つとない中古車。あまりに条件にこだわりすぎると、せっかくの縁を逃すことにもなる
▲同じ条件の車が2つとない中古車。あまりに条件にこだわりすぎると、せっかくの縁を逃すことにもなる

【取材協力】
五百田達成(いおた たつなり)
作家・心理カウンセラー。「コミュニケーション心理」「社会変化と男女関係」を主なテーマに執筆・講演。最新刊は「アラン先生と不幸な8人」(ワニブックス)。「スッキリ!!」(日本テレビ系)レギュラーコメンテーターをはじめテレビ出演も多数。

▲こちらが五百田達成先生。モットーは「大人でも知らないことを、子どもでもわかる言葉で」。30万部を超える「察しない男 説明しない女」シリーズ他、著書多数 ▲こちらが五百田達成先生。モットーは「大人でも知らないことを、子どもでもわかる言葉で」。30万部を超える「察しない男 説明しない女」シリーズ他、著書多数
text/コージー林田
photo/五百田達成事務所