2000年(平成12年)4月1日から使用が義務化されたチャイルドシート。何歳までの使用が義務となっているご存じだろうか。答えは5歳まで。道路交通法で「6歳未満の幼児」と定められていて、違反した場合の違反点数は1点だ。

では、義務ではなくなる6歳になったらチャイルドシートは使わなくていいのか。法律上の義務はなくなるが、そうとは言い切れない。車のシートベルトは大人が装着することを前提に設計されており、適合身長は140cm前後以上となっている。適合身長に満たない子どもがそのままシートベルトを使うと、肩ベルトが首にかかったり、腰ベルトがお腹にかかってしまう。その状態で万が一事故に合うと首や内臓を損傷してしまう可能性があり危険だ。

子どもの体格には個人差があるが、小学校6年生の平均身長が約146cm(平成23年文部科学省調べ)。つまり小学校に通っている間は学童用チャイルドシート(ジュニアシート)を使う方が安全と考えるべきだろう。

一方で、JAF(一般社団法人日本自動車連盟)が、小学生(6歳~12歳)を乗せて運転する機会のある自動車ユーザーを対象にアンケート調査を行ったところ、ジュニアシートを使っていたのは21.9%。5人に一人しか使っていなかった。逆に小学生までにチャイルドシートを使うのをやめてしまった人は75%に達する。

なぜここまで少ないのか。もちろん法律で6歳になると使用義務がなくなることは大きいが、別の理由も見えてくる。チャイルドシートは幼児用からジュニアシートに切り替わるタイミングで使用率がぐんと下がってしまうのだ。

JAFの別の調査によると使用率は「1歳未満:81.2%」「1歳~4歳:62.1%」「5歳:38.1%」(いずれも2013年JAF調べ)となっている。4歳~5歳は学童用に切り替わる頃。「新しいのを買ってもどうせ1年くらいしか使わないし、もったいないから使わなくてもいいや」という意識が働くのだろう。今回のアンケートでも6歳になる前に使用をやめた人、6歳になった時点で使用をやめた人のどちらも「子どもの体格が大きくなったから」という回答がトップになっている。

ジュニアシートの多くは体重36kgまで使えるため「1年で使わなくなくなるからもったいない」という事もないはず。道路交通法で定める最低限の期間を義務とするのではなく、子どもの安全の確保を「親の義務」として考えたい。

ジュニアシートの適合は体重での表記となる。小5男子の平均体重が33.8kg、小6男子が38.0kgなので、おおむね小6まで使えると考えていいだろう

ジュニアシートの適合は体重での表記となる。小5男子の平均体重が33.8kg、小6男子が38.0kgなので、おおむね小6まで使えると考えていいだろう

ジュニアシートの使用効果とシートベルトの不適切な着用による被害を検証する動画がJAFによって公開されている(JAFチャンネル)

ジュニアシートの使用効果とシートベルトの不適切な着用による被害を検証する動画がJAFによって公開されている(JAFチャンネル)