日本では2000年4月から使用が義務化されているチャイルドシート。法令では6歳未満の子供に使うとなっているが、大人用に作られている後部座席のシートベルトが正しく使えるようになる(おおむね身長140cm)までは、チャイルドシートを使うことを自動車メーカー、チャイルドシートメーカーなどは推奨している。そんななか、VOLVO CAR JAPANは新しい考え方で設計されたチャイルドシート「インフレータブルチャイルドシート」のコンセプトモデルを発表した。

万が一の事故の際に子供を衝撃から守るため、チャイルドシートは大きく重い構造になっているものがほとんど。そのため、車に搭載するとき、自宅から車へ運ぶときなどに苦労している人も多いはず。安全の代名詞的に呼ばれることも多いボルボが開発したコンセプトモデルは、文字どおりインフレータブル=空気注入式構造になっているため、いままでの常識では考えられなかった使い方ができるようだ。

最大の特徴は、空気を抜くとコンパクトに折りたためること。チャイルドシートに静かで効率的なポンプシステムが搭載されているため、40秒以内でシートを膨らませることができるという。しかも総重量は5kg以下。近年のチャイルドシートと比べても半分以下と軽いので、気軽に持ち運べるのが特徴。さらにBluetoothが搭載されており、リモコンで膨らませることもできる。

このチャイルドシートが実用化されれば、車への積み降ろしが簡単になるだけでなく、折り畳んで持ち歩くことで、旅先でのレンタカー使用時や、タクシーやバスなどの交通機関でも、さっと膨らませて使うことができる。

使用時、子供は後ろ向きに座るよう設計。考案者であるボルボ・モニタリング・アンド・コンセプト・センターのデザインマネージャー、ローレンス・アベレ氏によると「本来なら乗員全員が後ろ向きに座るのがよいが、現在の車の構造ではそれは無理。しかし幼い子供たちは後ろ向きに座らせることができるし、できるだけ大きくなるまでそうすることが必要」だという。

コンセプトモデルのため正式な発売時期などは未定だが、子供たちのより一層の安全の確保のためにも登場が楽しみだ。

ドロップステッチ・ファブリックと呼ばれる特別な素材を使用し、ボート業界で使われる技術を活用して開発された

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デザイン性にも優れており、折りたためばバッグにしまうこともできる。使用の幅が広がるアイデアだ

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