いつもと何も変わらない朝、駐車場に行くと愛車が見当たらない。一瞬、「駐車した場所を間違えたかな?」なんて思いがよぎるが、すぐに現実に向き合うことになる。盗まれた…。

自動車盗難や車上荒らしは、いつ自分が被害者になってもおかしくない。自己防衛のためにも、どのような車種が、どういった状況で狙われたのかを知っておきたい。そこで、参考になるのが、一般社団法人日本損害保険協会が今年3月に発表した、「第14回自動車盗難事故実態調査結果発表」だ。

これは、2012年11月1日~30日に保険金を支払った事案を対象に、その実態を調査したもの。盗難発生場所や施錠の有無、盗難発生時間帯、車種名別盗難状況、車上狙いの被害などが報告されている。

期間中の自動車盗難で支払った保険金の件数が全国で512件。1日あたり約17台の車が盗まれている計算になる。都道府県別の構成比を見ると、千葉県(18.2%)、大阪府(17.8%)、埼玉県(11.9%)が上位に来ており、次いで愛知県(11.3%)、神奈川県(6.8%)となっていて、政令指定都市を抱えた人口が多い府県が目立つ。

盗難発生場所は契約駐車場(屋外)が39.6%と最も多く、次いで自宅(屋外)の25.2%、通勤先駐車場の9.2%と続く。その他の場所では路上やコンビニ・スーパー駐車場など。屋外の契約駐車場や自宅駐車場での盗難が合わせて約65%と、基本的に夜間、長時間駐車している場面が危ないようだ。

ちなみにカギをつけっぱなしにして、ちょっと車から離れた隙に盗まれるといったシチュエーションでの盗難は少ないようで、カギをつけたままでドアをロックしていなかった割合は4.5%しかない。94.1%はカギを抜いてドアをしっかりロックしていた。カギだけに頼るのは危険というわけだ。

気になる車両別盗難状況の上位5車種は以下のとおり。
ハイエース 13.1%
クラウン 10.4%
セルシオ 8.8%
プリウス 6.4%
ランドクルーザー 4.9%

ハイエースは2010・2011年に続き、3年連続でワースト1だが、被害件数は前年比-42.7%と大幅に減少している。また、ランドクルーザーの被害件数も前年比-60.3%と大幅に減少。背景には窃盗団の検挙やユーザーの防犯意識の向上などが考えられるととのこと。

自分は大丈夫と思いがちな自動車盗難や車上狙い。他人事とは思わずに、盗まれない工夫を行うことも大切だ。

ハイエースは2012年5月発売モデルから盗難防止装置(イモビライザー)が全車標準装備された

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ランドクルーザーは2013年1月から全モデルで車台番号が外から確認できる仕組みが採用されている

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