▲骨格造りはスポーツカーの素性を決定づける最も有効な手段だが、新型コペンではこのあたりも旧型より考慮されている ▲骨格造りはスポーツカーの素性を決定づける最も有効な手段だが、新型コペンではこのあたりも旧型より考慮されている

軽オープン「スポーツカー」に生まれ変わった新型コペン

かわいらしい旧型から、グッと引き締まったスポーティなデザインとなった新型コペン。新型では基本骨格の剛性のみで勝負できるスポーツタイプの車造りがされている。カットモデルを見る限り、キャビンのバイブレーション抑制と捻れ剛性の向上が図られており、FFであってもFRのような乗り味になるよう工夫されている。

剛性を高めたことで重量は増加してしまったが、それが軽自動車という“枠”を超えた付加価値を与えているはずだ。そのあたりも確認したい。

やはりオープンあってのコペンだ

今回、試乗したのは5速MTと7速スーパーアクティブシフト付CVTの2モデルだ。

まずはMTから。シートの着座位置は低めに設定されている。目線が低いとスピード感を演出することができるし、低重心化することによってコーナリング性能も高められる。シートとペダルの位置が良くて、無理な姿勢をとる必要もなく、シフトレバーとの兼ね合いも良好だ。

さっそくクラッチを踏み、すぐにギヤを1速に入れる。スポーツカーのように走りにはキレがあり、フィールも程よい。ヒール&トゥでの操作性も良い。

静粛性は良好で、シャシー剛性の高さを物語っている。サスペンションは積極的に働き、乗り心地が良く、シフトフィールも素晴らしい。658ccのエンジンであってもターボラグを感じさせず、粘り強いトルクを発生させている。

ルーフオープン時とクローズド時では、オープン時の方が走りがスポーツカーらしく気分を高揚させる。クローズド時に感じたキャビンの振動が、オープン時にはない。ルーフが収納されることで前後のバランスが良くなり、それが乗り心地にも影響しているのだ。

CVTでも、うまくMTを扱ったときのような感覚が味わえる

次にCVT。通常の「Dモード」には特筆すべき点はなかったが、7速仕様の有段自動変速となる「Sモード」にすると豹変。気持ちよくステップアップしながらシフトを繰り返す。シフトの切れも非常に良い。まるでMTのようなフィーリングだ。

▲CVTの方が20kgほど重いが、それがプラスに働き、直線時もコーナリング時も安定していた ▲CVTの方が20kgほど重いが、それがプラスに働き、直線時もコーナリング時も安定していた

もちろんマニュアル操作もでき、エンジンの回転数と車速を合わせて、うまくMTを扱ったときのような感覚を味わえる。

結論を言うと、CVT仕様の方が乗り心地が上質で、直線時もコーナリング時も安定していた。加速した状態でもブレが少ない。MTに比べて車両重量が20kgほど重いが、それがプラスに働いているのだ。

MTを上手に扱える人からするとCVTはもどかしいかもしれない。しかし、シフト付CVTの精度が高まったことで、CVTでも“走りの楽しさ”を体感できるようになった。技術立国である日本のお家芸を新型コペンから感じずにいられない。軽自動車をここまで進化させたのは、軽自動車を造り続けてきたからこそなのである。

【SPECIFICATIONS】
■乗車定員:2名
■エンジン種類:直3DOHCターボ ■総排気量:658cc
■最高出力:64/6400[ps/rpm] ■最大トルク:92/3200[N・m/rpm]
■駆動方式:FF ■トランスミッション:MT
■全長×全幅×全高:3395×1475×1280(mm) ■ホイールベース:2230mm
■車両重量:850kg
■車両本体価格:181万9800円(税込)

■乗車定員:2名
■エンジン種類:直3DOHCターボ ■総排気量:658cc
■最高出力:64/6400[ps/rpm] ■最大トルク:92/3200[N・m/rpm]
■駆動方式:FF ■トランスミッション:CVT
■全長×全幅×全高:3395×1475×1280(mm) ■ホイールベース:2230mm
■車両重量:870kg
■車両本体価格:179万8200円(税込)

text/松本英雄 photo/尾形和美