精悍な顔と、大幅に上がった「動的質感」

  • ボルボ C30 走り|ニューモデル試乗
  • ボルボ C30 インパネ|ニューモデル試乗
↑フロント部分を中心に意匠を変更。リア回りではバンパーがカラー化された(左)新しいボルボの象徴とされるシンプルかつ洗練さ れたセンターコンソール。トランスミッションは湿式の6速デュアルクラッチ「パワーシフト」を搭載(右)
格好いいエンプティ・ネスターズ(子離れ夫婦)向けのコンパクトスペシャリティがマイナーチェンジ(MC)した。

新型シロッコにすっかりそのお株を奪われてしまったものの、C30のほうが登場はずっと“前”。よく見れば両者のプロポーションだってそっくりだ。

インテリアなどボルボのほうが色気はあると思うのだが、それでも後から出たシロッコに力負けしてしまった。ならば! ということで、3年めの定例MC の今回、顔に大掛かりな整形手術を施しての再登場、となったわけ。見た目に眠たげな表情から、精悍な顔つきに。シロッコとゴルフの関係同様、ベースモデル(S40/V50)とはまるで異なるマスクを手に入れている。XC60系やコンセプトカーのにおいもぷんぷんしていて、よく目立つ。個人的には、リアはほとんど変わっていないし、そのぶん前に“とってつけた感”があってまだしっくりときていないが、これが新しいボルボ顔のトレンドということだろう。もう少したてば、見慣れるだろうか。

装備と走り、ともに充実

  • ボルボ C30 リアシート|ニューモデル試乗
  • ボルボ C30 ホイール|ニューモデル試乗
↑他メーカーには真似できない、ボルボらしいビビッドなオレンジとホワイトの配色(左)タイヤは205/50R17(ラグジュアリー パッケージ)。通常では16インチを装着(右)
走りのほうは明確にグレードアップした。C30初導入となるRデザインのT5(5気筒ターボ+5AT)に目もいきがちで、確かに迫力のスタイリング以外にも新しいスポーツシャーシなど見所もたくさんあるけれども、ここはあえてノンターボ4発の2.0eアクティブに注目したい。

ポイントは新しい6速デュアルクラッチトランスミッション搭載だ。これを採用したことにより、パワートレイン系の野暮ったさがかなりスッキリと解消され、なかなか上質な走り味を見せてくれるようになった。ノーマルC30用としてはスポーティすぎるタイヤが玉にきず。ソリッドなライドフィールはある意味、柔軟性に優れるシロッコよりも硬派で身が詰まっている。そこにボルボの安全を感じる人もいるはずだ。

アップテンポの小気味よい加速は、デュアルクラッチシステムならでは。シロッコほどハンドリングを楽しみたくなる車じゃないが、落ち着きのある走りもまたボルボのイメージに合っている。キビキビ走るボルボって、別にあってもいいけど、オヤジのローライズみたい。同様に、あまりにカラフルな内装やRデザインの武闘派スタイリングもどうかと思うけど。昔ながらのスカンジナビアンデザインの範疇にとどめておいたほうが美しい、と思うのはボクだけ?

パンパンな張りのスポーツタイヤを除き、動的質感は大幅に上がったC30。走りや燃費重視なら新型を、薄化粧が好きなら中古車をどうぞ。

SPECIFICATIONS

主要諸元のグレード 2.0e アクティブ
全長×全幅×全高(mm) 4265×1780×1430
車両重量(kg) 1380
エンジン種類 直4DOHC
総排気量(cc) 1998
最高出力[ps/rpm] 145ps/6000rpm
最大トルク[kg-m/rpm] 18.9kg-m/4500rpm
車両本体価格 295万円
Tester/西川 淳 Photo/向後一宏