アウディ・クワトロ誕生から40年。その魂が宿る新型RS6アバント 【Car as Art !】
カテゴリー: アウディの試乗レポート
2021/04/26
1台ですべてを極め尽くす、ハイエンド・オールマイティモデル
一時は、統一感はあれどラインナップ内で金太郎飴化が進み、モデル間で見分けにくくなっていたアウディのデザインが、近頃は安心して眺められるというか、良くなったと感じないだろうか?
2014年以降、アウディデザインのヘッドとして指揮を執るマーク・リヒテ。彼の方針が、就任して初のコンセプトカーとして発表された「アウディ・プロローグ」に表されたデザイン・ランゲージであり、それが現行モデルの隅々まで行き渡った証左と言える。
それでも、今回新しいRS6アバントがもたらした驚きは、弟分のRS4アバントより過激なアピアランスに仕上がってきたことだ。兄貴分のクセに大人げないと眉をひそめるか、それでこそRS6アバントだともろ手で賛同するかで言えば、筆者は後者のクチだ。
リヒテ世代のデザイン流儀に従って、サルーンやワゴンでは6角形(SUVモデルなら8角形)をとるワイドなシングルフレームグリルに、クワトロ・スポーツに連なるブリスターフェンダー、リアエンドに向かってなだらかに伸びるルーフライン、フラットなCまたはDピラーは、すぐ見てとれる。
だが、RS6アバントを弟分のRS4アバントより過激に見せるのは、フロント両サイドのエアスクープ。LEDヘッドランプとの位置関係を見れば分かるとおり、かなり外側に寄っている。その穴の背後には水冷式インタークーラーが控え、冷却エアはホイールハウス内へ導かれて、10ポッドキャリパーと440mmもの大径カーボンセラミックディスクという、巨大なフロントブレーキを冷やすのだ。
じつはこの強化ブレーキ自体が130万円のオプション装備なのだが、これまたオプション34万円の10.5J×22インチホイールの内側をみっちりと埋めてくれる様は、数寄者にはたまらないものがある。リヒテは、クワトロという駆動方式をデザインで表現するのに、ただワイドなブリスターフェンダーやエッジを効かせるだけでなく、地面への踏んばりを強調するのが肝心と事あるごとに述べているが、このブレーキ&ホイールのオプションは、ずるいことにまさにそれだ。V8ツインターボとクワトロAWDというパワートレインを積んだ2.2トンものボディの、走る・止まる・曲がるのエクストリームなパフォーマンスぶりが、この足元に表されているのだ。
確かに今次のRS6アバントはベースモデルのA6同様、48VのMHEVや気筒休止システムと組み合わされ、紳士的な側面も抜かりなく磨かれている。街乗りでの軽快な乗り心地や高速巡航でのコースティングの利きは、外観とのギャップに拍子抜けするほどだ。
だが、近頃のニューモデルで、かくもジキルとハイドを演じられる1台も珍しく、後者側のキャラクターへの振れ幅は激しい。
そもそも、V8ツインターボは先代からキャリーオーバーどころか、ボア×ストロークとも86mmにスクエア化された、別物だ。低中速域の、ただでさえ滑らかでトルクフルなところに、踏み込んでタービン過給が加わると、それこそロケットかカタパルトじみた二次曲線的な怒涛の加速が、気が遠くなるほどに続く。上り坂でさえ、タコメーターで言えば6000rpm手前のイエローゾーンを維持しづらい、それほどのパワー感なのだ。一輪あたり均等割りなら150ps/200N・m、前後非対称トルク配分によってはそれ以上だが、それでも予測制御をもこなす最新のクワトロAWDシステムや、DRCと組み合わされれたRSスポーツサスペンションプラスには、難しいタスクではないようだ。
通常モデルより手応えは増しているとはいえ、アウディらしく太すぎない握りのステアリングに、軽やかな操舵感でコーナーのRを難なくなぞっては、爆発的な加速で脱出させる。ストッピングパワーも当然盤石で、過度にノーズダイブしない安定感ごと模範的だ。
よくRS6アバントは、過激なスポーツワゴンとかワゴンのカタチをしたスーパーカーと形容されるが、それらは過少評価というものだ。
1台ですべてを欲張りに極めるのはホットハッチあたりも同じだが、欧州Eセグは非ショーファードリブンのドライバーズカーとして頂点であることは言うまでもなく、ハイエンド・エクストリーマーAWDとしてRS6アバントは今も先駆であり、独立峰と言える。
▼検索条件
アウディ RS6アバント × 全国【試乗車 諸元・スペック表】
●アウディ RS6アバント
型式 | 3AA-F2DJPF | 最小回転半径 | 5.2m |
---|---|---|---|
駆動方式 | 4WD | 全長×全幅×全高 | 5m×1.96m×1.49m |
ドア数 | 5 | ホイールベース | 2.93m |
ミッション | 8AT | 前トレッド/後トレッド | 1.67m/1.65m |
AI-SHIFT | - | 室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
4WS | ◯ | 車両重量 | 2200kg |
シート列数 | 2 | 最大積載量 | -kg |
乗車定員 | 5名 | 車両総重量 | -kg |
ミッション位置 | フロア | 最低地上高 | 0.16m |
マニュアルモード | ◯ | ||
標準色 |
ミトスブラックメタリック、グレイシアホワイトメタリック、デイトナグレーパールエフェクト、フロレットシルバーメタリック、ナバーラブルーメタリック、ナルドグレー、セブリングブラッククリスタルエフェクト、タンゴレッドメタリック |
||
オプション色 |
- |
||
掲載コメント |
- |
型式 | 3AA-F2DJPF |
---|---|
駆動方式 | 4WD |
ドア数 | 5 |
ミッション | 8AT |
AI-SHIFT | - |
4WS | ◯ |
標準色 | ミトスブラックメタリック、グレイシアホワイトメタリック、デイトナグレーパールエフェクト、フロレットシルバーメタリック、ナバーラブルーメタリック、ナルドグレー、セブリングブラッククリスタルエフェクト、タンゴレッドメタリック |
オプション色 | - |
シート列数 | 2 |
乗車定員 | 5名 |
ミッション 位置 |
フロア |
マニュアル モード |
◯ |
最小回転半径 | 5.2m |
全長×全幅× 全高 |
5m×1.96m×1.49m |
ホイール ベース |
2.93m |
前トレッド/ 後トレッド |
1.67m/1.65m |
室内(全長×全幅×全高) | -m×-m×-m |
車両重量 | 2200kg |
最大積載量 | -kg |
車両総重量 | -kg |
最低地上高 | 0.16m |
掲載用コメント | - |
エンジン型式 | DJP | 環境対策エンジン | - |
---|---|---|---|
種類 | V型8気筒DOHC | 使用燃料 | ハイオク |
過給器 | ターボ | 燃料タンク容量 | 73リットル |
可変気筒装置 | ◯ | 燃費(10.15モード) | -km/L |
総排気量 | 3996cc | 燃費(WLTCモード) |
7.6km/L
└市街地:5km/L └郊外:7.9km/L └高速:9.5km/L |
燃費基準達成 | - | ||
最高出力 | 600ps | 最大トルク/回転数 n・m(kg・m)/rpm |
800(81.6)/4500 |
エンジン型式 | DJP |
---|---|
種類 | V型8気筒DOHC |
過給器 | ターボ |
可変気筒装置 | ◯ |
総排気量 | 3996cc |
最高出力 | 600ps |
最大トルク/ 回転数n・m(kg・m)/rpm |
800(81.6)/4500 |
環境対策エンジン | - |
使用燃料 | ハイオク |
燃料タンク容量 | 73リットル |
燃費(10.15モード) | -km/L |
燃費(WLTCモード) | 7.6km/L
└市街地:5km/L └郊外: 7.9km/L └高速: 9.5km/L |
燃費基準達成 | - |
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