LAND ROVER DEFENDER 110 S▲【LAND ROVER DEFENDER 110 S|写真=郡 大二郎】ランドローバーのアイコンであるディフェンダーのルーツは1948年に登場したランドローバー シリーズ。1990年からディフェンダーを名乗り、モダンな現代風なスタイルの最新型に生まれ変わっても、やはり自然の中を走り抜ける姿が似合う

70年の歴史を経て、
新しい「DEFENDER」の世界がここにある

メルセデス・ベンツGクラス、ジープ ラングラーに肩を並べる、世界的に人気の本格オフローダーがランドローバー ディフェンダーだ。

ディフェンダーのルーツは1948年に誕生した「ランドローバー シリーズI」にある。そもそもランドローバーといえばこの車を意味するものだったが、その後に登場した、レンジローバーやディスカバリーと区別するため1990年代にディフェンダーという名称がつけられた。

長年Gクラス、ジープ、そしてディフェンダーの3車に共通する特徴が、フレームの上に別体のボディを架装するフレーム型のボディ構造だった。

Gクラスとジープは幾度もモデルチェンジを繰り返しながら現在もその伝統を受けついでいる。一方、ディフェンダーは最新の衝突安全性や排ガス規制をクリアすることができず、2015年をもっていったん歴史に幕を閉じた。

復活待望論が高まる中、2019年のフランクフルトモーターショーで初公開されたのが、この新型ディフェンダーだった。

まず、初代の特徴を捉えたどこか愛らしいシルエットで注目を浴びたが、実はクロカンを愛好するコアなファンの間では、その中身がフレーム構造と別れをつげ、軽量アルミニウムのモノコック構造を採用し、四輪独立懸架式の足回りになったことが話題になった。

要は硬派なクロカン4WDであるべきディフェンダーが、いまどきのSUVに成り下がってしまったのではないかという懸念だ。

そういう意味では、何をもって現代のオフローダーと考えるのかがポイントとなる。紛争地域など、生きるか死ぬかを問われるような究極の状況で、いま最も活躍しているのは、実はトヨタの70などのランドクルーザーだ。

流通量が多くタフで、構造がシンプルゆえに修理が簡単。精製状態の良くないガソリンでもエンジンが壊れることなく走り続ける。

Gクラスもジープも軍事車両をルーツとするだけに、そういう役割を担ってきた側面もあってフレーム構造を守り続けている。しかし、新型ディフェンダーは、そこはスパッと割り切ったというわけだ。
 

LAND ROVER DEFENDER 110 S▲ランドローバー史上最も頑丈なボディ構造という新型ディフェンダー。軽量アルミニウムのモノコック構造で全く新しいアーキテクチャー「D7x」を採用し、従来のラダーフレーム構造と比較して3倍のねじり剛性を確保しているという
LAND ROVER DEFENDER 110 S▲ボディサイズは、スペアタイヤまでを含む全長は5018mm、ミラー格納時の全幅は2008mm、全高1967mm(すべて欧州仕様車値)。5ドアの110は5名乗車と7名乗車が選べる
LAND ROVER DEFENDER 110 S▲搭載するエンジンは、2Lの直列4気筒ターボエンジン。巨大なボディサイズに対して2Lで足りるのか?と思うが、最高出力は300psを発生するため、物足りなさはない

ボディタイプは先代同様にロングボディで5ドアの「110」と、ショートボディで3ドアの「90」の2種類。

パワートレインは最高出力300ps、最大トルク400N・mを発生する2L4気筒ガソリンターボ。トランスミッションは8速ATで、ハイ&ローレンジの副変速機はもちろん標準装備だ。

ディーゼルやマイルドハイブリッドなど電動化モデルもラインナップされるようだが、日本市場への導入はいまのところ未定だ。

インテリアは、液晶メーターとインパネ中央に大型タッチスクリーンを配したシンプルながらも、収納やグラブバーなどが上手に配置されておりとてもセンスがいい。そしてこのスクリーンに実に様々な機能が集約されている。

レンジローバーではお馴染みのオフロード走行モード切り替え機構「テレインレスポンス」に加え、地形に応じて最適な車両設定を自動選択する「テレインレスポンス2」、オンロード、オフロード用に最適化されたカメラや車高調整機能、さらに川や池などの水深を測る水中走行検知機能などまで備えている。

また、この110ではエアサスを標準装備しており、渡河性能は最大水深900立方mmにも及ぶ。

分厚く容量たっぷりの座面をもつシートの座り心地も良好だった。

片道200kmのドライブに出かけてみたが、初代のトラック然とした乗り心地とはまったく別物で、ノイズもうまく抑えこまれており、エアサスによるたおやかさもあって、長距離もまったく苦ではない。

気になる燃費は、高速道路をメインに約450kmほど走行して、メーター表示は約9.3km/Lだった。全長約5m、全幅約2m、車両重量2360kgという巨体だけにそこは致し方ないところか。

オフロードに関しては今回試すことができなかったが、従来のフレーム構造と比較して3倍のねじり剛性を確保し、ランドローバー史上最も頑丈なボディ構造とうたっており、へたな想像などとうてい及ばぬほどの性能を有していることは間違いない。

果たせるかな、ディフェンダーは“クロカン”に現代的解釈を加えた実にモダンなオフローダーだった。

110のベースモデルの車両本体価格は663万円となかなかにリーズナブルな設定で、多彩なオプションパーツを選べば自分なりのモデルが創作可能な点もうれしい。

都市生活者には、全長約5m×全幅約2m×全高約2mという容量たっぷりのサイズはいささか大きすぎる気もするが、それが気にならない人にとってはかなり魅力的だと思う。

個人的には全長の短い90の、ディーゼルかマイルドハイブリッドあたりが上陸すれば、大いに心揺さぶられる気がする。
 

LAND ROVER DEFENDER 110 S▲悪路走行時に車体の角度が把握しやすい伝統的な水平基調のインパネは、生粋なオフローダーの証し。かといって無骨さはなく、モダンな雰囲気にまとめられている。インフォテインメント・システムには最新の「Pivi Pro」を採用する
LAND ROVER DEFENDER 110 S▲厚みのあるシートは座り心地がよく快適。ファブリックとレザーを設定しており、ファブリックシートはリクライニング調整が電動となる2ウェイ電動+6ウェイマニュアル仕様。レザーシートはリクライニングの他、前後位置、クッション高さなどが電動となる12ウェイ電動+2ウェイマニュアル仕様となる
LAND ROVER DEFENDER 110 S▲リアシートは40:20:40の分割可倒式。7名乗車仕様を選ぶと後席は60:40の分割可倒式となり、マニュアル3列目シートが備わる。写真は3列シートを備えた7名乗車仕様
LAND ROVER DEFENDER 110 S▲3列目シートを格納すれば十分な広さがあるラゲージルーム。3列目シート使用時にはラゲージの奥行きが少なくなるため、大きな荷物を載せることはできないが、3列目シートをエマージェンシー用と考えれば不足はない
LAND ROVER DEFENDER▲旧型のディフェンダーは2015年に生産終了したが、オフローダー然とした独特の存在感と優れた悪路走破性でいまだ人気が高い。写真は2018年にランドローバー70周年を記念した限定モデルのディフェンダー ワークスV8(150台限定)
文/藤野太一、写真/郡 大二郎

【試乗車 諸元・スペック表】
●110 S 2.0L P300 4WD

型式 3BA-LE72XAA 最小回転半径 6.4m
駆動方式 4WD 全長×全幅×全高 5.02m×2.01m×1.97m
ドア数 5 ホイールベース 3.02m
ミッション 8AT 前トレッド/後トレッド 1.7m/1.7m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
4WS - 車両重量 2243kg
シート列数 3 最大積載量 -kg
乗車定員 7名 車両総重量 -kg
ミッション位置 インパネ 最低地上高 0.23m
マニュアルモード
標準色

フジ・ホワイト

オプション色

サントリーニ・ブラックメタリック、インダス・シルバーメタリック、アイガー・グレイメタリック、パンゲアグリーンメタリック、ゴンドワナストーンメタリック、タスマンブルーメタリック

掲載コメント

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型式 3BA-LE72XAA
駆動方式 4WD
ドア数 5
ミッション 8AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 フジ・ホワイト
オプション色 サントリーニ・ブラックメタリック、インダス・シルバーメタリック、アイガー・グレイメタリック、パンゲアグリーンメタリック、ゴンドワナストーンメタリック、タスマンブルーメタリック
シート列数 3
乗車定員 7名
ミッション
位置
インパネ
マニュアル
モード
最小回転半径 6.4m
全長×全幅×
全高
5.02m×2.01m×1.97m
ホイール
ベース
3.02m
前トレッド/
後トレッド
1.7m/1.7m
室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
車両重量 2243kg
最大積載量 -kg
車両総重量 -kg
最低地上高 0.23m
掲載用コメント -
エンジン型式 PT204 環境対策エンジン -
種類 直列4気筒DOHC 使用燃料 ハイオク
過給器 ターボ 燃料タンク容量 88リットル
可変気筒装置 - 燃費(10.15モード) -km/L
総排気量 1997cc 燃費(WLTCモード) -
燃費基準達成 -
最高出力 300ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
400(40.8)/4000
エンジン型式 PT204
種類 直列4気筒DOHC
過給器 ターボ
可変気筒装置 -
総排気量 1997cc
最高出力 300ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
400(40.8)/4000
環境対策エンジン -
使用燃料 ハイオク
燃料タンク容量 88リットル
燃費(10.15モード) -km/L
燃費(WLTCモード) -km/L
燃費基準達成 -