ランドローバー レンジローバー|ニューモデル試乗

問答無用に大人。それが老舗ブランドである。できればビスポークを極めて乗ってみたいもの。シブい色で乗られがちだけれども、こういう車こそリセールなんぞ考えずに派手めのコーディネイトで。モーター1個くらい噛ましてエコ気取りがさらにあればなお良い

最高のダイエットに成功した大スター

ダイエット効果をいきなり実感

そもそも2トンを超える車とはいえ、その約1割にあたる200kg近い減量の成果が、まずは検証のマトだった。スーパーチャージャー付きが本命だろうと、小手調べ的にさほど期待せず乗り込んだ自然吸気(NA)エンジン仕様で驚いた。ダイエットの効果を、いきなり実感することができたからだ。

これまでのレンジローバーには、いかにもクロスカントリー4駆らしい独特の重さ感覚=大きなタイヤがのっそりと動き出すようなフィールがあって、走り出した瞬間からやたらと大きさを感じさせられたもの。ところがこの新型はNAでも、アクセルを踏んだ本人が思わず、「うわあっ」と声を上げてしまうほどに反応よく走り出す。

軽さがそのまま走りの小気味よさに繋がるのはモノの道理なわけだけれども、8速化されたオートマチックの変速に拠るところも大きいはず。ポンポンポーンと軽妙にギアを上げてゆき、車速にのってゆくフィーリングもまた、従来のライドテイストにはなかったものだ。

「金持ちケンカせず」の乗り味

軽快レンジローバー。時代は変わった。

加えて、何と静かなことか! 街中から高速道路まで、まるでシンと静まりかえって走る。下手なプレミアムサルーンより静か、だ。80km/hまでは乗り心地も極上で、その尋常ならざる静けさと相まって、実にゆったりとした気分に浸れる。「金持ちケンカせず」の乗り味をロールスロイスファントム級に実現したあたり、伝統も守った。

スーパーチャージドV8搭載グレードにも試乗してみたが、確かに速かったし、それを一度知ってしまうとNAに物足りなさを覚えるのもまた事実。

けれどもそのために最低でも+260万円が必要になってくるわけで、コストパフォーマンス的に考えれば、スーパーチャージャーって微妙。もっとも、コストパフォーマンスで語っていい車じゃありませんが。

SUVとして世界初のオールアルミニウム製モノコックボディを採用。NAモデルは旧型比で190kg軽量化された

SUVとして世界初のオールアルミニウム製モノコックボディを採用。NAモデルは旧型比で190kg軽量化された

路面状況に応じ各種制御を最適化するテレインレスポンスは2に進化。走行状況により自動で選択するオートも備わった

路面状況に応じ各種制御を最適化するテレインレスポンスは2に進化。走行状況により自動で選択するオートも備わった

伝統の上下分割式のテールゲートを採用。下側は腰掛けたりできるよう頑強な作りとされている

伝統の上下分割式のテールゲートを採用。下側は腰掛けたりできるよう頑強な作りとされている

SPECIFICATIONS

グレード AUTOBIOGRAPHY
駆動方式 4WD
トランスミッション 8AT
全長×全幅×全高(mm) 5005×1985×1865
ホイールベース(mm) 2920
車両重量(kg) 2520
乗車定員(人) 5
エンジン種類 V8DOHCスーパーチャージド
総排気量(cc) 4999
最高出力[ps/rpm] 510/6500
最大トルク[N・m/rpm] 625/2500
車両本体価格(万円) 1670
Tester/西川淳 Photo/向後一宏