▲導入以来、国内のルノー車販売の半数を占める人気モデル。6MTと4ATに加え、新たにデュアルクラッチトランスミッション(EDC6速)搭載モデルが追加設定された ▲導入以来、国内のルノー車販売の半数を占める人気モデル。6MTと4ATに加え、新たにデュアルクラッチトランスミッション(EDC6速)搭載モデルが追加設定された

EDC6速化で史上最も家族円満なカングー

ルノー・ジャポンの基幹モデル!? カングーがついにルーテシア同様、EDC6速でツインクラッチ2ペダル化された。

見た目は変わらず、車重1450kgと軽くはない数値に油断したか、峠の上りでもグイグイ攻め上がれることに、まずもって驚いた。荷室グルマである性質上、ローギアリング気味であることを差し引いても。聞けば今回のEDC6速仕様は日本のために開発されたそうで、直4の1.2LターボTCeは最大トルク発生域を250rpmほど下げ、190Nm/1750rpmに。まさか1.2Lとは思えないほどパワートレイン自体が元気よく、MTモードにせずともDレンジ入れっぱなしで踏み込めば、十分にいける。

かといってフロアMTモードにするともっと速いか? といえば、それも違う。R.S.のようなキレ味系の変速プログラムというより、むしろ滑らかさに重点が置かれているようだ。高回転まで引っ張ってシフトアップすると変速ラグが生じて間延びするので、早めに繋いで踏み込んで、の方が楽しい2ペダルだ。 

乗り心地のフラットさ、コーナーでの姿勢の決めやすさはさすがカングー、バン離れしているというか、屋根の高さとロールの大きさまでエンターテインメントのうち。傾いても怖くないのは15インチのタイヤをきっちりツブしてたわませグリップさせて……という感覚が伝わってくるからこそ。お母さんには通常のAT車でありながら、走り好きのお父さんには史上最も満足できるカングーに相違ないだろう。
 

▲両側スライドドアと観音開きのダブルバックドアも特徴的。ボディ同色バンパーやシルバードアハンドル、ブラックのドアミラーが備わった。ルーフレールはオプションとなる ▲両側スライドドアと観音開きのダブルバックドアも特徴的。ボディ同色バンパーやシルバードアハンドル、ブラックのドアミラーが備わった。ルーフレールはオプションとなる
▲オーバーヘッドコンソールやリア床下収納など収納を多数配して使い勝手もよい ▲オーバーヘッドコンソールやリア床下収納など収納を多数配して使い勝手もよい
▲加速時のトルクや出力、空調などを最適化することで燃費を抑えるECOモードも備えた。JC08モード燃費は14.7km/Lに ▲加速時のトルクや出力、空調などを最適化することで燃費を抑えるECOモードも備えた。JC08モード燃費は14.7km/Lに

【SPECIFICATIONS】
■グレード:ZEN ■乗車定員:5名
■エンジン種類:直4DOHCターボ ■総排気量:1197cc
■最高出力:115/4500[ps/rpm]
■最大トルク:190/1750[n・m/rpm]
■駆動方式:FF ■トランスミッション:6DCT
■全長x全幅x全高:4280x1830x1810(mm) ■ホイールベース:2700mm
■車両価格:259万円

text/南陽一浩
photo/向後一宏