背は高いけど実は俊敏な人気者

  • アウディ Q5 走り|ニューモデル試乗
  • アウディ Q5 エンジン|ニューモデル試乗
↑S-lineの外装色は白・黒・3種の銀。専用エアロは正直カッコいい(左)新世代となった2.0直噴ターボ。10・15モード燃費も10.6㎞/Lと優秀(右)
欧州で花盛りのミドルクラスSUVマーケットに遅ればせながらアウディが送りこんだQ5。あまりに巨大だったQ7に比べると、全幅こそ1900㎜とそれでもやや大きいが、全長は4635㎜であり、X3やGLKなどと同等の常識的なサイズになった。クワトロという優れたヨンクシステムをもつアウディがSUVにおいて後手に回った理由は、重心の高さを嫌ったからだと言われている。

それゆえ「俊敏&スタイリッシュSUV」というコンセプトを掲げたQ5には、トレッド拡大やスタビ大径化、変わったところではルーフラックを載せるとESP介入が早くなる制御など、重心対策が念入りに追加されている。

その甲斐あってQ5の走りは非常にスポーティだ。最初に断わっておくと試乗車として用意されていたのは、すべて大径タイヤやスポーツサスペンションが装備されるS-lineパッケージ車である。しかもオプションのアウディドライブセレクトも付いていた。

2.0ターボは山道を3~4速で走る際のリズムの良さが印象的だった。ほんの少しターボラグはあるものの、3.2のV6を凌ぐ低速トルクと7速ツインクラッチATの組み合わせで、車重が1.9t近くあるクルマとはとても思えない走りを披露する。飛ばすと手応えを増すパワステのおかげもあり望外にハナの入りも良い。何よりロールや前後の挙動変化の少ない足回りは、確かにアウディが目指した「俊敏」という領域に達している。もちろん追い込んでいくとやはり重心の高さを隠しきれないが、アウディらしい精緻な走りはQ5にも健在だ。

クラストップの性能が与えられたプレミアムミッドサイズSUV

  • アウディ Q5 インパネ|ニューモデル試乗
  • アウディ Q5 フロントシート|ニューモデル試乗
↑最近のアウディとは異なりメーターナセルがコンパクトなインパネ。純正HDDナビのMMIは新世代となり性能・拡張性とも最新の国産並みに(左)電動シートが全車標準。3分割できるリアシートは100㎜のスライドも可能(右)
一方の3.2LモデルはV6エンジンらしく、イイ音を聞かせながらの息の長い加速が特徴だ。しかし俊敏な足回りとのマッチングは2.0に軍配が上がる。この3.2LモデルにはS-lineパッケージではない足回りで、もう少しゆったりと乗るほうがいいかもしれない。

すでに発売から2カ月経過したQ5の販売状況は極めて好調だ。2.0のS-lineパッケージはすでに在庫がほとんどないと聞く。Q5の集客効果でA4アバントの2.0ターボクワトロ(2.0同士なら50万円安い!)やQ7もよく売れているらしい。もちろんアウディには補助金対象車が数多く揃うこともあるが、おかげで6月のアウディの販売台数は昨対10%増で過去最高を記録している。ハイブリッド一本やりの風潮の中で、クルマ好きにとってはなかなかいい話ではないか。

SPECIFICATIONS

主要諸元のグレード 2.0TFSI Quattro 3.2FSI Quattro
駆動方式 4WD
トランスミッション 7AT
全長×全幅×全高(mm) 4635×1900×1660
ホイールベース(mm) 2810
車両重量(kg) 1870 1930
乗車定員(人) 5
エンジン種類 直4DOHC+ターボ V6DOHC
総排気量(cc) 1984 3196
最高出力[ps/rpm] 211ps/4300~6000rpm 270ps/6500rpm
最大トルク[kg-m/rpm] 35.7kg-m/4200rpm 33.7kg-m/3000~5000rpm
10・15モード燃費(km/L) 10.6km/L 9.1km/L
ガソリン種類/容量(L) 無鉛プレミアムガソリン/75
車両本体価格 569.0万円 660.0万円
(Tester/馬弓良輔 Photo/尾形和美)