BMW 7▲走りもデザインも乗り味もすべてが上質に磨き上げられ、ドライビングマシンとしてのポテンシャルを色濃く強調させた、ドライビング・ラグジュアリー・セダン

重厚なパワーと滑らかさはV12だけがなせる技

エンジンはV12ツインターボという贅沢さ。実はV12エンジンはいまやプレミアムブランドでも絶滅危惧種で、もはやこのM760Liとメルセデス・ベンツ S600ロングくらいしか搭載例がない。あとはロールスロイスやベントレーといった、ラグジュアリーブランドとスーパースポーツカーが採用するのみだ。

M760Li用V12は、同じグループのロールスロイスで使われているものとエンジンブロックは共通。ボア×ストロークを変えることで、ロールスロイスは6.75L、BMWは6.6Lと微妙に差をつけてブランドの差別化を図っているらしい。いずれにしても、なんとも贅沢な話である。

これだけ贅沢なパワープラントを使っているのだから、車全体がこのV12エンジンに最適化されていたとしても不思議ではない。事実、M760Liのハンドリングや乗り心地は、V12エンジンのよさを最大限引き出すようにチューニングされているような気がしてならなかった。
 

BMW 7▲ボディ骨格にカーボンを使用したカーボン・コアを採用し、軽量化に成功しながらも高い剛性を実現。スポーツ性能面が格段に進化した
BMW 7▲細く水平に設計されたリアライトは、クローム加飾されたガーニッシュとともに優雅さを演出
BMW 7▲約40%大型化されたキドニーグリルは、ヘッドライトとつながるようデザインされている
BMW 7▲ラゲージ容量は515Lを確保

M760Liの主役であるV12エンジンがどんな性格の持ち主かといえば、静かで回転フィールが滑らかなことはいうまでもない。しかし、サルーン用V12の多くがそうであるように、N74B66Cと名付けられたこのパワーユニットも回転上昇のスピードは穏やかで、シュンと素早く立ち上がるというよりは、もっとゆったりとしていて息の長い加速感が続くイメージ。そして気がつけば強大なパワーの奔流にのみ込まれているというキャラクターなのだ。

エンジンのラグジュアリーさを際立たせるために、乗り心地は極めて快適に仕上げられている。全般的には柔らかめの足回りで路面からのゴツゴツ感は完全にシャットアウト。しかも、急峻なショックを受けても振動が一切尾を引かないあたり、ボディの剛性というか制振特性にもかなり注意を払って開発されていると見た。

ソフトなサスペンションゆえに、ハードコーナリングを試せばロールもするが、ボディの傾きが際限なく続くかと思えばそうでもなく、節度あるロール感で不安は抱かない。また、同じ理由により左右に素早く切り返すようなS字コーナーでももたつくことなく、テンポよくノーズの向きを変える身軽さを備えていることにも驚かされた。

したがって、快適性とスポーツ性のどちらに主軸が置かれたシャシーかといえば僅差で快適性となるが、スポーツ性にも十分配慮されている仕立てなのだ。その意味で、7シリーズのMパフォーマンスモデルに相応しい設定といえる。
 

BMW 7▲高性能のプロセッサーと3つのカメラ、レーダーを搭載することで、アクティブ・クルーズ・コントロールを含む先進機能の精度が向上した
BMW 7▲装備されるアンビエント・エア・パッケージは、7シリーズのために調香された8つの香りから、2つの香りを楽しむことができる
BMW 7▲Bowers & Wilkinsのサウンドシステムやドリンククーラーを装備するなど、後席でのエンターテインメント機能を充実させている
BMW 7▲センターに設置されているモニターは取り外してタブレットのように使え、車両設定やインフォメントシステムのコントロールが可能

同様のことはキャビンのしつらえについても当てはまる。最上級のレザーを用いたシートの手触りは恐ろしくソフトで、ホワイト系の染色も鮮やか。それでいて、そこはかとないスポーツ性も感じさせるこのインテリア・デザインこそ、M760Liの一方の白眉かもしれない。

いずれにせよ、M760Liが多彩な魅力を備えたラグジュアリー・スポーツサルーンであることは間違いないだろう。
 

文/大谷達也、写真/尾形和美

【試乗車 諸元・スペック表】
●M760Li xドライブ 4WD

型式 3BA-7U66 最小回転半径 6.1m
駆動方式 4WD 全長×全幅×全高 5.27m×1.9m×1.49m
ドア数 4 ホイールベース 3.21m
ミッション 8AT 前トレッド/後トレッド 1.62m/1.62m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
4WS 車両重量 2320kg
シート列数 2 最大積載量 -kg
乗車定員 5名 車両総重量 2595kg
ミッション位置 フロア 最低地上高 0.14m
マニュアルモード
標準色

アルピン・ホワイトIII

オプション色

ブラック・サファイアメタリック、ソフィストグレーブリリアントエフェクト、ミネラル・ホワイトメタリック、ブリリアント・ホワイトメタリック、ピュア・メタル・シルバーメタリック、アヴェンチュリン・レッドメタリック、ベルニーナ・グレー・アンバーエフェクトM、タンザナイト・ブルーメタリック、ドラバイト・グレーメタリック、フローズン・ダーク・シルバーメタリック、フローズン・ブリリアント・ホワイトM、フローズン・カシミヤ・シルバーメタリック

掲載コメント

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型式 3BA-7U66
駆動方式 4WD
ドア数 4
ミッション 8AT
AI-SHIFT -
4WS
標準色 アルピン・ホワイトIII
オプション色 ブラック・サファイアメタリック、ソフィストグレーブリリアントエフェクト、ミネラル・ホワイトメタリック、ブリリアント・ホワイトメタリック、ピュア・メタル・シルバーメタリック、アヴェンチュリン・レッドメタリック、ベルニーナ・グレー・アンバーエフェクトM、タンザナイト・ブルーメタリック、ドラバイト・グレーメタリック、フローズン・ダーク・シルバーメタリック、フローズン・ブリリアント・ホワイトM、フローズン・カシミヤ・シルバーメタリック
シート列数 2
乗車定員 5名
ミッション
位置
フロア
マニュアル
モード
最小回転半径 6.1m
全長×全幅×
全高
5.27m×1.9m×1.49m
ホイール
ベース
3.21m
前トレッド/
後トレッド
1.62m/1.62m
室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
車両重量 2320kg
最大積載量 -kg
車両総重量 2595kg
最低地上高 0.14m
掲載用コメント -
エンジン型式 N74B66C 環境対策エンジン -
種類 V型12気筒DOHC 使用燃料 ハイオク
過給器 ターボ 燃料タンク容量 78リットル
可変気筒装置 - 燃費(JC08モード) 6.9km/L
総排気量 6591cc 燃費(WLTCモード) 6.7km/L
└市街地:4km/L
└郊外:7km/L
└高速:8.9km/L
燃費基準達成 -
最高出力 609ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
850(86.7)/5000
エンジン型式 N74B66C
種類 V型12気筒DOHC
過給器 ターボ
可変気筒装置 -
総排気量 6591cc
最高出力 609ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
850(86.7)/5000
環境対策エンジン -
使用燃料 ハイオク
燃料タンク容量 78リットル
燃費(JC08モード) 6.9km/L
燃費(WLTCモード) 6.7km/L
└市街地:4km/L
└郊外: 7km/L
└高速: 8.9km/L
燃費基準達成 -