SAIやHS250hを凌駕するカムリのハイブリッド力ー

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  • トヨタ カムリ インパネ|ニューモデル試乗
カムリは北米を中心に大ヒットを続けるグローバルミドルセダン。だが日本での販売はいまいちなため、FFとなってから8代目となる新型は、ハイブリッド専用車という大胆な車種展開を行った。全幅でクラウンを超えるボディは細部のデザインが作り込まれており、高級車の品格をキープしつつハイブリッド車ならではの先進感をもっている。

注目は新開発の2.5Lエンジン+ハイブリッド(以下HV)システムだ。同クラスのHVセダンには、トヨタブランドのSAIとレクサスブランドのHS250hに搭載された2.4L+HVのシステムがあるが、カムリのシステムはそれらとは違う最新鋭らしい実力が体感できた。

まず驚いたのが静粛性の高さ。SAIとHS250hも静粛性は高く評価されているが、カムリはモーター自体の「キーン」という作動音もしっかり抑えられている点が大きい。全体の遮音性が利いているため、前後シート間での会話も聞き取りやすい。
  • トヨタ カムリ フロントシート|ニューモデル試乗
  • トヨタ カムリ ラゲージ|ニューモデル試乗
燃費性能は10・15モードでSAIより2.5km/L向上。しかも実走燃費で20km/Lを楽に超えた。大柄なボディから考えると、驚きの燃費性能と言える。従来の同クラスHVを凌ぐ実力から、カムリのHVシステムは今後の主力になるであろう。

室内はシンプルな造形で長くつき合えそうだ。インパネ上部を覆うソフトパッドや本革シートも価格に見合った仕上がりと言える。試乗した最上位グレードには新型のHDDカーナビが標準装備されており、同じく標準装備となるステアリングスイッチは4方向に動かすことで大体の機能を手元で操作できて便利だ。

売れ筋は中位グレードのGパッケージ。純正オプションのHDDナビ(33万750円)を付ければ、装備内容は十分と言える。

SPECIFICATIONS

主要諸元のグレード ハイブリッド“レザーパッケージ”
駆動方式 FF
全長×全幅×全高(mm) 4825×1825×1470
ホイールベース(mm) 2755
車両重量(kg) 1550
乗車定員 5人
エンジン種類 直4DOHC+電気モーター
10・15モード燃費 26.5km/L
最高出力[ps/rpm] 118kW(160ps)/5700rpm
最大トルク[kg-m/rpm] 213N・m(21.7kg-m)/4500rpm
車両本体価格 304万~380万円

RATING走行性能だけでは車は語れない。そこで快適装備の充実度や安全性の高さ、環境性能、燃費、バリューの5つのポイントで評価する(※点数は標準車のものです)

総合評価24/ 25
EQUIPMENT(装備)5/ 5
試乗した最上位グレード“レザーパッケージ”には、高速道路などで逆走した場合に注意喚起する最新鋭のHDDナビが標準装備される。手元でナビ類を操作できるステアリングスイッチも使いやすい。
SAFETY(安全性)4/ 5
グレードによる装備差はほとんどなく、ブレーキ、電動パワステ、駆動力を統合制御させるS-VSCも全グレードに標準装備。SRSエアバッグシステムはサイドやカーテンシールドも含め7個装着される。
ECO(環境性能)5/ 5
最新鋭のハイブリッドエンジンらしく、全グレードで平成17年排出ガス75%低減レベル、平成22年度燃費基準+25%を達成。新たな燃費目標基準である2015年度燃費基準も達成している。
MILEAGE(燃費)5/ 5
10・15モードで26.5km/L、JC08モードでも23.4km/L。ちなみにSAIは10・15モードで24.0km/L、JC08モードで21.0km/Lなので、その進化ぶりがうかがえる。都内中心の実走でも22.4km/Lだった。
VALUE(バリュー)5/ 5
トヨタの同クラスのハイブリッドセダンSAIと比較しても価格が安く、燃費では大きくカムリがリード。中古車になっても高い売却価格が期待できる。狙いはGパッケージ+純正HDDナビ付きだ。
写真:尾形和美 文:高山正寛