「車を見に行っても、どこをどう見たらいいのか……」

そんな方々の悩みを解消すべく、実際に販売店で実車を見ながらチェックポイントを解説。これを参考に、気になる車に会いに行こう!
 

▲マツダ CX-5 ▲今回見てきたのは2013年式のマツダ CX-5(初代)。すでに代替わりを果たしているが、そのデザインに古くささは一切感じられない。広い車内と大きすぎないサイズ感は、ファミリー層から広く支持されている

特有のチェックポイントがあるディーゼルエンジン車

アクティブファミリー層を中心に人気のマツダ CX-5。

現行型にフルモデルチェンジしてから3年程度経過し、初代の流通量は1200台超と選択肢は豊富だ。

走行距離5万㎞以下が半数以上を占め、状態のいい物件が多い。

そこで選び方のポイントになるのが、駆動方式とエンジンタイプ。

4WDと2WD、ディーゼルとガソリンがあり、見た目は同じだが4つのタイプが存在するのだ。

「中でも人気は、4WDのディーゼルモデルです」と言うのは関東マツダの星さん。

「4WDはアウトドアが趣味の人や、普段あまり運転しないので、走りに安心感が欲しいという人に人気です」

しかし、4WDは燃費が悪いというイメージがある。

そこで、低燃費なディーゼルエンジンとの組み合わせが支持されているという。

この「ディーゼル×4WD」の組み合わせ。新車時には、2WDより4WD、ガソリンよりディーゼルの方が価格は高かったため最も高額な組み合わせとなる。

だが、中古車市場では新車時ほどの差はなく、お得度が高い。

ただ、初めてディーゼル車に乗る人は、特有のチェックポイントや維持方法などは理解しておいた方がいいという星さん。

実車を例に教えてもらった。
 

マツダ CX-5

今回見た車

マツダ CX-5

2012年に登場したCX-5は、「魂動デザイン」や「スカイアクティブ・テクノロジー」といったマツダの新しいコンセプトや機能を搭載。ガソリンエンジンに加え2.2Lディーゼルターボエンジンも用意された。人気の4WD+ディーゼルの流通量は全体の3割程度
●本体価格/161.9万円(税込)
●総額/172.2万円(税込)
●年式/2013年式
●走行距離/4.6万km
●修復歴/なし
●乗車人数/5人
●エンジン/2.2L ディーゼル

CHECK POINT 1
エンジンオイルの量と汚れをオイルレベルゲージで確認

構造上、エンジン内部にススが発生しやすいディーゼルエンジン。

そのため、オイルが汚れている状態で放置すると、エンジンが洗浄されず故障につながることも。

オイル交換をサボりがちだった物件は、茶色のオイルが黒く汚れているだけでなく、発生したススによってオイルの量が増加(厳密にはススの分のかさ増し)している場合もある。

このあたりのオイルの色や量は、レベルゲージを抜いてチェックしておきたい。
 

▲マツダ CX-5 エンジンルーム ▲確認する際は販売店の人に依頼をしチェックしよう

CHECK POINT 2
樹脂モールの劣化はサイドミラー下部をチェック

SUV系のモデルに装着されている、ボディ下部の樹脂モール。

黒々としていると車両が引き締まって見える。

しかし中には経年劣化などで、白っぽくなってきている物件も。走行性能には影響のない部分だが、気になる人は未塗装樹脂専用のケミカルでケアするという方法もある。

今回取材した関東マツダでは、1万円弱でこの部分をコーティングするサービスを提供しているそうだ。

自分でケアするのが面倒という人にはオススメ。
 

▲マツダ CX-5 樹脂モール ▲雨水などの通り道になりやすい箇所は劣化が進みやすい

CHECK POINT 3
運転席真後ろのシートのヘタレ具合を確認……

リアシートにチャイルドシートを固定していた物件は、そこの座面だけがヘタっていることもあるそうだ。

運転席と併せて、チャイルドシートが装着されやすい運転席真後ろのシートの状態も確認しておきたい。

また、キャンプ用具などリアシートを倒して長尺物を積んでいた場合は、運転席背面にキズがついている可能性もある。

あとで気づいてガッカリしないためにも、忘れずに確認したい。
 

▲マツダ CX-5 後部座席 ▲アクティブに使われていた可能性が高い4WD。シートやその周辺のチェックは抜かりなくしておきたい

CHECK POINT 4
裏面に付着するサビは広がり具合で判断を

4WDモデルは、その特徴から降雪地帯や、マリンスポーツで使われていたものもある。

そこで気をつけたいのが、ボディ裏側のサビだ。

融雪剤や潮の影響で下まわりにサビが広がっていないかを確認したい。

チェックするのはマフラーや足回り、フロアパネルなど車体後部からのぞいて見える部分。

一部にサビが浮いている程度なら問題ないが、広範囲にわたって発生している物件は避けた方がいいだろう。
 

▲マツダ CX-5 足回り ▲広がっているサビを放置すると故障の原因になる。写真のようにほとんど付着が見られない物件がオススメ
星 隼人さん

取材協力

関東マツダ 中原店 星 隼人さん

これまでマツダのディーラーで、新車・中古車問わず多くの車種を販売してきた。手がけたCX-5は数知れず。

住所:神奈川県川崎市中原区下新城1-2-16
電話:044-797-0611

販売店がよく受ける質問ベスト3

★第3位
4WD・ディーゼルならではの整備はありますか?

星さん
星さん

4WD特有の整備はありません。ただ、ディーゼルエンジンはガソリンエンジンに比べ、オイルの交換頻度が高くなります。半年もしくは5000㎞に1回のオイル交換を推奨しています。

★第2位
4WDはどれほど燃費が悪くなりますか?

星さん
星さん

4WDは燃費が悪いイメージがあるかもしれません。乗り方によって変わりますが、カタログ数値では、その差はガソリン車で0.6㎞/L、ディーゼル車で0.4 ㎞/Lとほとんど差がありません。

★第1位
大きな車が初めて、運転しにくいのでは?

星さん
星さん

小型車からの乗り替えが多く、よく受ける質問です。視点が高くて見切りも良好なため、「運転がしやすい」という声をいただきます。後退時もバックモニターがあるので安心です。

今回取り上げたCX-5のように、パワフルな4WDであっても新車時ほど2WDとの価格差がないモデルが多くある。

10月19日発売のカーセンサーでは、そんな“4WD車”を紹介しているので、こちらも合わせてチェックしてみてほしい。
 

文/小鮒康一(フナタン)、写真/三浦孝明

※雑誌版カーセンサー 2019年12月号(2019年10月19日発売)の記事「気になるクルマに会いに行こう」をWEB用に再構成して掲載しています。

小鮒康一(こぶなこういち)

訪問した人

小鮒康一(フナタン)

スキマ産業系自動車ライター。元大手自動車関連企業から急転直下でフリーランスライターに。中古車販売店勤務経験もあり、実用車からマニアックな車両まで広く浅く網羅。プライベートはマイナー旧車道一直線かと思ったら、いきなり電気自動車を買ってしまう暴挙に出る。愛車は日産 リーフ、初代パルサー、NAロードスター。