マツダ アクセラ▲日産や三菱ではコンパクトカークラスのセダンがラインナップされていないなど、今はセダンにとって厳しい時代。しかし、こうした環境がコンパクトセダンに美しさを与えることになったのかもしれない

厳しい時代を美しさで生き抜くコンパクトセダン

ミニバンやSUVにその座を奪われて久しいが、かつてファミリーカーといえばセダンだった。

確かに室内の広さや運転席からの視界の広さでは、ミニバンやSUVと比べれば不利なものの、重心が低いためコーナリングでふらつきにくく走行安定性の面では有利。

また、車重も基本的に軽くなるので、燃費が良いというメリットがある。

ファミリーカーの座を離れてからは、セダンはどんどん減っていき冬の時代へと突入した。

しかし、消え去るセダンも多い一方で、新たに登場したセダンもある。また、生き残ったセダンは厳しい環境をくぐり抜けるために、さらなる魅力を磨き上げてきた。

中でも最近注目されているのが、デザインが美しいコンパクトセダンだ。

全長が短いためデザインの余地が少ないと思われるコンパクトセダンだが、最近ではメルセデス・ベンツのAクラスに初めてセダンが設定されるなど、新たなモデルも登場している。

軽自動車やコンパクトハッチバック、コンパクトミニバンにコンパクトSUVと、とにかくライバルの多いコンパクトセダンだが、そうしたライバルには真似できない美しいスタイルを追求することで、ボクらに再びセダンの魅力を再発見させてくれる。

今回は、日本の狭い道路事情にも適したコンパクトさをもちながら、ファミリーカーとしても十分な室内空間を確保する、いわゆる「Cセグメント」の中で100万円台から狙える美しいセダンを選んでみた。

中には登場してからまだ間もなく、最新のデザイントレンドを押さえているモデルもある。

ぜひ参考にしてセダンの魅力を再発見してみてほしい!

マツダ唯一となるハイブリッドモデルを設定
マツダ アクセラセダン(3代目)

マツダ アクセラ▲2016年のマイナーチェンジでは、スムーズな車両挙動を実現する独自の技術「G-ベクタリングコントロール」を、ハイブリッドを除く全モデルに採用。4WDシステムは、路面状況や天候、ドライバーの意図から車の状況を先読みし、前後輪トルク配分を最適に制御する「i-ACTIV AWD」だ
マツダ アクセラ▲車との一体感を演出するために、ステアリングホイールや単眼メーターとドライバーの体の中心が同軸になるように運転席をレイアウト。また7インチセンターディスプレイ&コマンダーコントロールを、15Cを除く全車に標準装備している(デビュー時)

CX-5、アテンザに続く「魂動デザイン」の第3弾として2013年に登場したのがこのアクセラだ。

魂動デザインによるダイナミックで生命感のある動きの表現に加えて、力強くリズミカルな面の動きを取り入れ、アクセラらしい瞬発感を感じさせるプロポーションを目指したという。

アクセラセダンは自動車学校の教習車としてのニーズが高いこともあり、座れば自然とベストな運転姿勢を整えられるようステアリングやペダルの配置にもこだわられた。

こうした地道な調整が、マツダらしい「人馬一体」の走りを支える基礎にもなっている。

デビュー時に用意されたのは、1.5Lのガソリンエンジンモデルと同社唯一となるハイブリッドモデル。そして、2014年に2.2Lのディーゼル、2017年には1.5Lディーゼルモデルも追加された。

トランスミッションは6速ATと6速MT、ハイブリッドは無段階変速となる。

衝突被害軽減ブレーキは、一部グレードにオプションとして用意されていたが、2017年の改良で全車に標準装備となった。同時に360度ビューモニター、AT誤発進制御抑制などの安心・安全機能も標準となっている。

デビュー時の車両本体価格は171万1500~298万2000円。後継モデルとなるMAZDA3セダンが登場したこともあり、多くの中古車が100万円台から狙える。初期型の1.5Lモデルであれば支払総額約100万円で手にすることが可能だ。

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マツダ アクセラ(3代目)×全国

コンパクトクラスに「4ドアクーペ」を持ち込んだ
メルセデス・ベンツ CLA(初代)

メルセデス・ベンツ CLAクラス▲ボディサイズはほぼCクラスと同じ。CLAはFFだがCクラスはFR、価格はCLAの方がお手頃という違いがある。2016年のマイナーチェンジで、走行状態や天候に応じて配光モードを自動で切り替えるLEDパフォーマンスヘッドライトが全車に標準装備された
メルセデス・ベンツ CLAクラス▲7インチディスプレイは全車標準装備。2016年のマイナーチェンジで8インチへと拡大されるとともに、従来のApple CarPlayに加えGoogleのAndroid Autoにも対応するようになった

2019年7月に現行型AクラスをベースとしたAクラスセダンが初めて登場したが、その1ヵ月後に同じく現行型AクラスをベースとしたCLAが2代目へとフルモデルチェンジした。

今回紹介する初代CLAがデビューしたのは、6年前の2013年のことだ。

CLSで初めて「4ドアクーペ」を開発したメルセデス・ベンツは、コンパクトクラスにもその概念を持ち込んだ。

その名のとおり、4ドアだけどクーペのような流麗なフォルムが持ち味であり、当然CLAも初代からスタイリングにこだわられている。

ハッチバックのAクラスの面影を残しつつ、Aピラーから流れるように描かれたルーフラインがクーペのようなフォルムを演出する。

デビュー時に用意されたエンジンは、1.6Lターボと2Lターボ。いずれも7速ATが組み合わされる。

シフトレバーはセンターコンソールではなく、ステアリングコラムから伸びるタイプだ。

衝突被害軽減ブレーキを含むセーフティパッケージが、オプションで用意されていた。2016年のマイナーチェンジで、コンフォート/スポーツ/エコから走行モードを選べるようになった。

2014年には最高出力360psを発揮する2L直4ターボを搭載したハイパフォーマンスモデル、AMG CLA45も登場した。

デビュー時の車両本体価格は335万~710万円。ハッチバックのAクラスと比べて中古車相場は比較的高く、100万円台の中古車台数はハッチバックよりも圧倒的に少ない。それでも2013年式の1.6Lターボモデルなら支払総額100万円台後半から狙える。

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高品質な内外装と4WDシステムを備える
アウディ A3セダン(現行型)

アウディ A3セダン▲A3に初めて設定されたセダン。1.4Lエンジン搭載車は2種類あり、ノーマルモデルと、走行中に状況に応じて4気筒のうち2気筒を休止させ、低燃費に貢献するシリンダーオンデマンドモデルがラインナップされた
アウディA3セダン▲精緻なつくりと質感の高さなど、アウディお得意のプレミアム感が演出されているインテリア。カーナビ機能付きのアウディコネクトはオプションで用意されている

かつて同じグループのフォルクスワーゲンから、ゴルフのセダン版となるジェッタが開発され、日本にも導入されてきたが、2014年からはアウディ A3セダンに入れ替わった。

庶民的なジェッタとは違い、A3はアウディらしくプレミアム感を強調したコンパクトセダンだ。

クーペ感も漂わせながらも、セダンとしてしっかりと後席の空間を確保し、3ボックススタイルを維持している。

また、ボンネットにアルミを用いるなど、軽量化にもこだわられた。

2014年1月のデビュー時に用意されたのは、1.4L×FFモデルと1.8L×同社自慢の4WD・クワトロモデル。

トランスミッションは1.4Lモデルが7速AT、1.8Lモデルが6速ATとなる。

当初、1.4L車と1.8L車は衝突被害軽減ブレーキ+アダプティブクルーズ機能だが、装着率が高いこともあり、同年8月には標準装備された。

さらに、専用サスペンションで車高を25mm落としたスポーツモデルS3も用意された。こちらは2L×クワトロ×6速ATとなる。

デビュー時の車両本体価格は325万~561万円。シリンダーオンデマンド機能のない1.4Lモデルなら支払総額150万円で狙える。シリンダーオンデマンドモデルや1.8L×クワトロも支払総額100万円台後半から手に入る。

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道幅の狭い日本において、そもそもコンパクトセダンは便利だし、背の高いミニバンやSUVには真似できない美しさはやはり大きな魅力だ。

お手頃な価格になってきた今、ぜひ一度検討してみてほしい。

文/ぴえいる、写真/マツダ、ダイムラー、アウディ

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はルノーのアヴァンタイムと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。