日産 スカイラインクーペ▲こちらは先代スカイラインクーペ。現行型はクーペモデルが国内に導入されていないため、いまのところ最終モデルになる

クーペ不在の現行型スカイライン

ハイブリッドモデルにはプロパイロット2.0が搭載され、ガソリンモデルにはハイパフォーマンスターボエンジンを搭載したことで、最近の車業界を盛り上げている日産 スカイライン。

最新のリリースによれば、9月の発売を前に、受注数の約半数がターボエンジン搭載モデルで、さらにパフォーマンスの高い400Rがその半数を占めるという状況のようだ。

しかも、通常50代後半からの支持が高いセダン市場おいて、40代以下のユーザーも3割近くを占めているようで、あらためて「スカイライン」というブランドの影響力の大きさがうかがえる。

今後、人気が低迷しているセダン市場を盛り上げてくれるモデルになるだろう。

日産 スカイラインクーペ ▲2019年7月に発表され、9月に発売となる現行型スカイライン。受注状況は好調のようだが、クーペモデルは存在せずセダンのみとなる


しかし、セダンのスカイラインが日の目を浴びている一方で、クーペのスカイラインがないことに少し寂しさを感じている方もいるのではないだろうか?

「スカイラインといえばセダン? クーペ?」恐らくこの質問の答えは半々くらいに割れると思う。

多くのファンを有するR32~R34世代のスカイラインにはスポーティグレードを中心に、クーペモデルが設定されていたし、V35、V36型にもクーペモデルが存在していた。

現行型となるV37型は、北米ではQ60として販売されているが、残念ながら日本では販売されていない。

そこで、注目したいのが先代のV36型スカイラインクーペだ。

今でも現役バリバリの3.7L V6エンジンを搭載

日産 スカイラインクーペ ▲登場から10年以上たつモデルだが2016年まで生産されていたため、今でもあまり古さは感じない
日産 スカイラインクーペ ▲搭載されるのはいまだに現行型モデルにも搭載されているVQ37VHRエンジン。最高出力333ps、最大トルク363N・mを発揮するハイパフォーマンスエンジンだ


ひとつ前の型となるV36型スカイラインクーペは、2007年10月~2016年1月まで生産された長寿モデルだ。

「超魅惑・超洗練・超高性能」を商品コンセプトに開発されたモデルで、当時の最新技術がしっかりと投入されていた。

特に、搭載される3.7L V6「VQ37VHR」エンジンは、333psを発生、2400回転~7000回転と幅広いレンジで最大トルクの約90%を発揮する力強くも扱いエンジンだ。

このエンジン、実は現在も現役で、同社のフェアレディZに今も搭載されている。

また、インテリアを見てみると、本革巻きステアリングはもちろん、本木目や本アルミのパネルがいたるところに使われ、パドルシフトには剛性感の高いマグネシウムが採用されている。

“本物”の素材をふんだんに使った、優雅で贅沢な雰囲気が漂い、大人が似合うクーペと言ってもよいだろう。


日産 スカイラインクーペ ▲内装には“本物”の素材が多く使われ、まさに大人が似合うように仕立てられている
日産 スカイラインクーペ ▲丸型に光るテールランプは、歴代のスカイラインをイメージさせる


そんなスカイラインクーペ。販売開始から10年以上が経過し、中古車価格もだいぶ落ち着いてきている。

原稿執筆時点(2019年9月13日)では、掲載数約130台のうち、車両価格100万円以下が約40台、150万円以下にすると約100台と7割以上がヒット。乗り出し価格を考えても、100万円台で十分に選べる状態なのだ。

そこで、今回は予算100万円と150万円でV36型スカイラインクーペを狙うとき、ハイバリューな物件はどんなものなのか考えてみよう。

2度のマイナーチェンジを経て「前期」「中期」「後期」モデルが存在


V36型スカイラインクーペは、2回のマイナーチェンジを受けているため、ここでは大きく「前期」「中期「後期」に分類する。ハイバリューな中古車を狙う場合、この辺を理解しておく必要があるため、以下簡単にまとめてみる。

前期型:2007年10月~2008年11月生産モデル
搭載されるエンジンはすべて同一のVQ37VHR型で、組み合わせられるのはフルレンジ電子制御5速ATとショートストローク設計の6MT(タイプS、タイプSPのみ)。オペレーターによるサポートを受けられるカーウイングスナビゲーションシステムをメーカーオプションで設定。


中期型:2008年12月~2009年12月生産モデル
搭載されるエンジンに変更はないものの、組み合わせられるミッションが7速ATになった。より一層走行性能が高まると同時に、燃費性能も向上している。また、ボディのすりキズやひっかきキズを時間とともに修復する「スクラッチシールド」を採用している。インテリアは若干の変更が施されている。


後期型:2010年1月~2016年1月生産モデル
AT車のセンターコンソール部分を中心に、インテリアのデザインが大幅に変更された。また、メーターまわりの色味やデザインも変更されている。エンターテインメント機能が充実化されたカーウイングスナビゲーションシステムが標準装備(Aパッケージ除く)になった。


以上を踏まえて予算ごとのオススメ物件条件を紹介していこう。

①予算100万円の場合
初期型ノーマル低走行物件を狙う

Photo:日産


予算100万円の物件も多くなってきているV36型スカイラインクーペ。この価格帯だと、初期型の2007~2008年式のモデルが中心になり、年式相応に走行距離10万km超えや修復歴ありの物件も目立つ。

しかし、タイミングによっては「2008年式、走行距離4万km台、修復歴なし」といったハイバリューな物件も見つかるので、根気よくチェックしてみよう。

また、スポーティモデルがゆえ、エアロパーツやローダウン、社外マフラー交換などのカスタムを施されている物件も多い。自分の好みに合致していればお買い得度は高くなるが、そうでない場合にはマイナスポイントとなることも……。

「自分好みのカスタムが施されている」という条件を追加すると一気に選択肢は狭められるため、一からカスタムを楽しむことを前提に、程度の良いノーマル物件を狙うのがオススメだ。

▼検索条件

日産 スカイラインクーペ(V36型)×前期型(2007年10月~2008年11月生産モデル)×走行距離10万km未満×総額100万円以内×全国

②予算150万円の場合
7速AT化された中期型モデルかMTモデルが狙い目

Photo:日産


予算を50万円ほど上げて150万円にすると、ミッションが7速AT化された中期型も射程圏内に入ってくる。

走行性能が高まっただけではなく、燃費性能もアップしており、初期型に比べ格段に性能が向上しているといって良いはずだ。

タイミングによっては、スポーティな19インチアルミホイールや四輪アクティブステア(4WS)、四輪アルミキャリパー対抗ピストンブレーキを装備、さらには本革シートまで装備した最上級グレードのタイプSPが見つかることも。こまめにチェックしてみてほしい。

また、全体の2割弱しか台数がないMTモデルも狙えるようになってくる。ただし、走りにこだわるオーナーが多かったのか、カスタムされている物件の割合が高いのも特徴。さらに、走行距離が多めの物件も見られ、玄人向けなのかもしれない。

とはいえ、今は貴重なMT搭載のFRスポーツカー。これが150万円で手に入ることを考えれば、バリューは高いと言えそうだ。

▼検索条件

日産 スカイラインクーペ(V36型)×中期型(2008年12月~2009年12月生産モデル)×AT×総額150万円以内×全国

▼検索条件

日産 スカイラインクーペ(V36型)×MT×総額150万円以内×全国
文/編集部 神崎洋平、写真/日産

▼検索条件

日産 スカイラインクーペ(V36型)×全国
神崎洋平

カーセンサー編集部

神崎洋平

小さい頃から車が好きで、中学生のころからカーセンサーを愛読。若者の車離れに一矢報いたいという動機で、2017年にカーセンサー編集部にやってきた。好きな車はセダンとスポーツカーで、現在の愛車はE90型BMW 3シリーズ。趣味はダム観賞で、休日には全国各地のダムへ足を運んでいる。