ホンダ N-BOX(2代目)vs スズキ スペーシア(2代目)、内装や燃費などを徹底比較!
2019/07/08
新車でも中古車でも人気の軽トールワゴン。中でも近年ヒットしているのが軽スーパーハイトワゴンと呼ばれる、とりわけ背の高い軽自動車です。その代表格がホンダ N-BOX。乗用車も含めた、車名別販売台数でトップを飾ったことがある大人気モデルです。
でも、「本当に軽スーパーハイトワゴンのベストはN-BOXなの?」と疑問を抱いている人もいるのでは。そこで、現行型である2代目N-BOXのデザインや居住性、燃費や走りなどをライバル車であるスズキ スペーシア(2代目)と比べてみました。ぜひ車選びの参考に。
【概要】誕生日まで近い、まさにライバル同士
2017年に登場したN-BOXは2代目にあたるモデル。初代のコンセプトを引き継ぎながら、設計のほぼすべてが刷新されています。助手席スーパースライドシート、安全運転支援システム「ホンダセンシング」などを新たに装備した上で、初代比で約80kgも現象。大幅に軽量化されているのが特徴です。
スペーシアも2代目で、デビュー時期も2代目N-BOXの登場から約4ヵ月後と、明らかにライバルを意識したタイミングでフルモデルチェンジしました。2代目スペーシアの特徴はなんといっても全車マイルドハイブリッドになったこと。並みいるライバルたちとの車内スペース競争だけでなく、燃費競争でも有利に立つべく設計されています。
【バリエーション】ラインナップが多彩なのはN-BOX
N-BOXもスペーシアもベースモデルに加えて、個性的な外観を与えた「カスタム」が設定されています。両車とも、まだマイナーチェンジを受けておらず、デビュー時のラインナップそのまま。まず、そのバリエーションと価格帯を見比べてみましょう。
N-BOXは下から段階的に「G ホンダセンシング」「G・L ホンダセンシング」「G・EX ホンダセンシング」と3つのグレードを基本とし、それぞれのグレードにFFと4WDが設定されています。また、G・L ホンダセンシングとG・EX ホンダセンシングにはNAエンジンに加え、ターボも用意。全16モデルの多彩な展開になっています。N-BOXカスタムもこれに準じたラインナップですが、G ホンダセンシングはありません。
スペーシアは「ハイブリッドG」「ハイブリッドX」の2グレードが基本。それぞれに衝突被害軽減ブレーキ装着車と非装着車を用意し、各グレードにFFと4WDを揃えています。
一方で、スペーシアカスタムは「ハイブリッドGS」と「ハイブリッドXS」の2グレード構成。ハイブリッドXSにはNAエンジンに加えてターボが設定されています。
購入時のポイントは、ずばりターボエンジンの設定。N-BOXが全グレードでNAエンジンorターボエンジンを選べるのに対し、スペーシアではカスタムでしかターボエンジンを選べません。
この設定の違いは、新車の価格帯にも影響しています。N-BOXが138万5640~188万280円。N-BOXカスタムが169万8840~208万80円(2019年7月1日現在)。スペーシアは127万4440~158万9760円で、スペーシアカスタムが151万7400~190万8360円となっています。この価格差はターボエンジン車の有無によって生まれています。
全体的にスペーシアの方が安価ですが、パワフルな走りを望むならN-BOXの方がラインナップが多彩な分、選びやすくなっています。
【外装】N-BOXは質感で勝負、スペーシアが可愛らしさがウリ
N-BOXのボディサイズは全長3395mm×全幅1475mm×全高1790mm(4WDモデルは1815mm)。スペーシアの全長3395mm×全幅1475mm×全高1785mm(2トーンルーフパッケージ車は1800mm)と、2車ともほとんど変わりません。軽自動車の規格内で、最大の車内空間を確保するスーパーハイトワゴンなのでサイズが近いのは必然でしょうそのため、デザインも似かよっています。
N-BOXはメーカー曰く「(初代)N-BOXの印象を保ちながら、洗練と上質をまとったデザイン」とのこと。男性も意識した、凛々しい雰囲気に仕上がっています。対するスペーシアは「スーツケースをモチーフに、『ワクワク感』を想いながら、遊び心があり愛着のもてるデザイン」だそう。こちらは女性をメインターゲットとしている分、可愛らしさを感じさせるルックスとなっています。
では、細かな部分にも目を向けてみましょう。N-BOXはルーフ部の溶接をレーザーブレーズという特殊な方式で行っており、溶接のつなぎ目を隠す樹脂製モールがありません。ヘッドライトも、スペーシアの標準装備がハロゲン式であるのに対して、N-BOXはLED式(スペーシアではメーカーオプション設定)。彫りの深い表情を演出するのに貢献しています。
さらにN-BOXカスタムではシーケンシャルターンシグナルランプなど、軽自動車ではまだ採用例の少ない装備も標準採用。質感にこだわる人にオススメです。
全体のデザインワークは好みによって意見が分かれるところですが、細かな部分まで含めた上質感ではN-BOXに軍配が上がります。価格帯の違いが反映された結果と言えるでしょう。
【内装】落ち着いた印象のN-BOX、遊び心のスペーシア
N-BOXのインテリアはベージュを基調とした、落ち着いたカラーリング。インパネの上下で色を塗り分け、空間の広がりと高級感を感じさせますが、デザインそのものはオーソドックスです。一方でスペーシアは、とってもユニーク。エクステリア同様、旅の道具を詰め込むスーツケースをモチーフに、可愛らしいデザインとなっています。
共通なのは、両車ともインパネシフトとして前席の足もとにゆとりを確保していること。小物入れの数など使い勝手も良い勝負です。N-BOXのインパネは助手席側がトレーになっていて、小物や軽食などをサッと置いておくのに便利。スペーシアのグローブボックスは上下二分割構造で、手帳やモバイルバッテリーをしまうのに重宝します。
さらにディテールを見ると、N-BOXでは助手席側のドリンクホルダーが500mlの紙パック飲料も置けるようになっていたり、ドアハンドル上のほんのちょっとしたスペースにもポケットが追加されていたりします。スペーシアで特長的なのは、助手席座面下に備わるシートアンダーボックスでしょう。車外に出るとき、ハイヒールに履き替えたりする女性にとって便利な装備です。
これらの違いは日々の快適さに直結します。どちらが自分のライフスタイルに合っているか、きちんと確認しておきましょう。
【走り】シッカリ感で選ぶか、加速のスムーズさで選ぶか
軽スーパーハイトワゴンにとって難題なのが走り。箱を大きくするとどうしても重くなり、重心が高くなってしまうからです。さらに四角い形はボディ剛性、走りのシッカリ感を確保する上でも不利なのです。
しかし、そんな中でもN-BOXは走りに定評があります。ホンダ独自の高効率フロアフレーム構造や高張力鋼板の積極的な採用、新たな接合技術を採り入れることで、軽量化しつつボディ剛性も高められています。
スペーシアも新プラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)」を採用するなど最新の技術を投入。ことシッカリ感においてはN-BOXに譲るものの、スペーシアのアドバンテージもあります。それは軽さ。NAエンジン搭載車・FFで比較すると、N-BOXがベンチシート仕様で890kg、スーパースライド仕様でも930kgなのに対して、スペーシアはハイブリッド Gで850kg、ハイブリッド Gで870kg(2トーンルーフパッケージ車で880kg)。大型乗用車ならともかく、軽自動車において40~80kgの差は無視できません。
この車重の差は、乗り味にもはっきり表れています。ドッシリ感があるN-BOXに対して、スペーシアの走りは軽快。スペーシアの方が軽やかです。乗り心地についても好みがありますので「走りが落ち着いている」ほうが好きならN-BOX、「キビキビと走る」ほうが望みならスペーシアが良いでしょう。
また、パワーやトルクをNAエンジン同士で比べると、i-VTEC搭載のN-BOXの方が有利。ただ車重の関係で、体感的にはスペーシアもまずまず力強く感じられます。
これはスペーシアに搭載されるマイルドハイブリッドによる恩恵でもあります。マイルドハイブリッドでは発電に使うモーターをエンジンのアシストにも用いるので、燃費だけでなく、加速も滑らかにしてくれます。発進後約10秒間はモーターのみで走るというのも強みで、豊かな低速トルクで登坂路なども得意です。
それでも走りに物足らなさを感じるなら、選ぶべきはターボ車でしょう。これはN-BOXにもスペーシアにも共通して言えることです。
【居住性】スペースは同等でも使い勝手に違い
室内の広さについては正直2台とも大差ありません。ボディ寸法がほぼ同じなのですから当然でしょう。カタログ値ではスペーシアはN-BOXよりも室内長が約10cm短くなっていますが、助手席側インパネが少し手前に突き出しているためで、実用に差異はないでしょう。
ただし、居住性や使い勝手には違いがあります。N-BOXではG・EXホンダセンシングとG・EXターボ ホンダセンシングの2グレードで採用する助手席スーパースライド機構が便利。後席と前席の間を行き来したり、運転席から助手席を通って車から降りたり、助手席の足もとに荷物を置いたりする時に活躍します。後席に乗せている赤ちゃんを助手席からケアできるので、乳幼児がいるご家庭は大助かりでしょう。
また最近の軽トールワゴンはリアシートをリクライニング&スライドできるのが当たり前ですが、N-BOXのリアシートはさらにチップアップ機構も採用。座面を跳ね上げて荷物を置くことができます。
車内の居住性については甲乙つけがたいですが、アレンジ面の自由度ではN-BOXが有利と言えるでしょう。
【積載性】キャパシティも積みやすさもN-BOXの圧勝
リアゲートを開いた時の荷室床面地上高は、N-BOXが470mm、スペーシアが510mm。さらにN-BOXは開口部も広くなっているので、荷物の積み降ろしがスペーシアよりも楽チンです。
荷室容量でもN-BOXが有利で、スペーシアよりも幅で約50mm、奥行きで130mm(後席を最前にスライドした時)も広くなっています。スペーシアも優秀なのですが、N-BOXの荷室容量はスーパーハイトワゴンの中でも突出。燃料タンクを後席下ではなく車体中央下に配置する「センタータンクレイアウト」の賜物でしょう。
ただし、スペーシアは後席を折り畳む時のアクションが秀逸です。荷室側からストラップを引くだけで後席をスライドさせたり、折り畳めたりするワンタッチフォールディング機構を装備。N-BOXが容量の大きさで勝負するなら、スペーシアは手軽さと使いやすさで勝負といったところでしょう。
【燃費性能】燃費ではスペーシアに軍配!
燃費性能については、全車でマイルドハイブリッドを搭載するスペーシアが優れています。JC08モードで30km/L(FF)というトールワゴントップの燃費性能を実現しています(2019年7月1日現在)。マイルドハイブリッドはスペーシアカスタムのターボ車にも採用され、25.6km/L(FF)とターボ車としては良好な数値となっています。
そうは言ってもN-BOXもNA車で27.0km/L(FF)と、決して燃費が悪いわけではありません。走行距離の少ない方にとってはN-BOXもスペーシアも大差ない燃料コストとなるでしょう。
【安全性能】軽とは思えない充実した安全装備のN-BOX
N-BOXには、全車に予防安全パッケージ「ホンダ センシング」が採用されています。これは衝突軽減ブレーキ、誤発進抑制機能、アダプティブ・クルーズ・コントロール、車線維持支援システム、路外逸脱抑制機能、標識認識機能、後方誤発進抑制機能、オートハイビームなどが盛り込まれ、普通車の予防安全システムと比べても決して見劣りしません。
加えてN-BOXは予防安全だけでなく、衝突安全性能にも優れています。平成29年度自動車アセスメント(JNCAP)で最高評価の5つ星を獲得しています。
対するスペーシアも「スズキ セーフティ サポート」が全車に採用されています。これは衝突被害軽減ブレーキ「デュアルセンサーブレーキサポート(DSBS)」、誤発進抑制機能、車線逸脱警報機能、ふらつき警報機能、先行車発進お知らせ機能、ハイビームアシストなどをパッケージしたもの。ただ、N-BOXのようなクルーズ・コントロールは用意されていません。また、標識認識機能もヘッドアップディスプレイとのセットオプションとなります。
そのため、総合的な安全性能を重視する人にはN-BOXの方がオススメです。
【中古車価格】人気の2台だけに両車ともいい勝負
最後に2台の中古車平均価格を見比べてみましょう。まず前述したようにN-BOXの方がスペーシアよりも新車価格が高いことを忘れてはなりません。N-BOXの新車価格は131万5440円~で、スペーシアは127万4400円~となっています(デビュー当時の価格)。N-BOXの最廉価グレードはサイドエアバッグやパワースライドドアなどの装備が省かれた仕様であり、実質的にはスペーシアよりも10万円ほど高い設定となっています。
それを前提とした上で、カーセンサー掲載車両の平均車両価格を見てみるとN-BOXは155.4万円、スペーシアは144.6万円(2019年7月1日現在)。新車価格の差をほぼそのまま反映した結果となっています。
ともにデビューから間もないモデルですから、中古車相場も高めを維持。経年とともに価格は下がるものですが、両車ともに中古車としても超人気だけに直近で大きく値崩れすることはないでしょう。
掲載台数はN-BOXが1790台、スペーシアが2171台。スペーシアの方が相場が安い上に選択肢が豊富なので、中古車市場では狙いやすくなっています。
居住性や安全性、乗り心地などを総合するとN-BOXが魅力に思えますが、コストパフォーマンスや燃費の良さではスペーシアも負けていません。両車とも優れた軽スーパーハイトワゴンですので、どちらを選んでも後悔はないと思います。
▼検索条件
ホンダ N-BOX(2代目) × スズキ スペーシア(2代目) × 修復歴なしこの記事で紹介している物件
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