絶滅危惧車のE34型5シリーズは、ユニークなスポーティさを持つ高級ミドルセダンだった!
2018/03/27
今ではほとんど見ることがなくなった
“あんなにたくさん売れて、あんなにたくさん日本で走っていたのに……”と思わざるを得ない車が、BMW 5シリーズである。
まぁ、一言に「5シリーズ」と言っても、3代目の5シリーズで今となっては旧々々々型にあたる、4世代も前のE34型と呼ばれるものの話だが……。 1988年にデビューしたE34型5シリーズは、スポーティセダンの代名詞的存在だった。
同時期のライバルであるメルセデス・ベンツ Eクラスが、2速発進でトルク重視の走りをしていた頃、気持ちよくエンジンをブンブン回せるのがこの5シリーズだった。
日本ではバブル景気真っ只中とあって、BMW 3シリーズが“六本木のカローラ”と呼ばれていた頃、5シリーズもやっぱり、それなりによく見かけたものだ。
ひと目で「BMW」だとわかるキドニーグリルが特徴的で、いかにも空気の流れが良さそうな丸みを帯びたデザインとなった。事実、空力特性はCd値0.30と先代モデルから0.6も改善されていた。
めちゃくちゃ多くのテストを経て作られた
テスト車両の総走行距離は700万kmに及び、実に120台のプロトタイプが生産され、生産前のテスト車両は500台が存在していたという。とにかくお金のかかった車であった、というのがBMWの当時のウリ文句。
ダッシュボードは運転席からの操作がしやすいようなレイアウトになっており、“エルゴノミクス”(人間工学)が強調されていたことが記憶に残っている。
また、急ブレーキをかけた際、乗っている人がシートに沈む“サブマリン現象”を防ぐ構造になっていた、というのも斬新だった。
個人的には、いわゆる前期モデルに(1988年6月~1991年8月生産)搭載されていたSOHCエンジンが好みだった。“シルキーシックス”と呼ばれた6気筒エンジンだが、今となってはそこまでスムーズな雰囲気はない。
しかし、シリンダーあたりの排気量が大きなことを感じさせるパワフルさを、アクセルペダルの踏み込み量に応じてダイレクトに感じることができる。
こればかりは数値とは違う感性の話で、恐らくエグゾースト音も影響を及ぼしているのだろう。
昨今、スポーティセダンを銘打つ車は数多く存在する。そういう意味でE34型5シリーズのスポーティさはもはや現役ではなく、ネオ・クラシックカーの部類に入るだろう。
それでもホールド性に優れたシート、コックピットの雰囲気、高級ミドルクラスセダンながら今では考えられないNVH(騒音、振動、ハーシュネス)対策の低さ(!?)など、当該5シリーズのスポーティさはユニークだった。
カーセンサー掲載物件は10台未満となり、中古車販売店によって値付けも様々になってきた。低走行、程度の良いものは、数年前の相場と比べると値上がりしている傾向すら漂う。
今後、市場に登場する機会も減るゆえに100万円未満でも狙えるのは今がまさにラストチャンスかもしれない。ちょっとでも気になる方は、掲載物件をチェックされたい!
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