フォルクスワーゲン ゴルフ▲1974年に登場した初代から、世代を重ねるたびに世界のコンパクトカーの基準として常にベンチマークにされてきたフォルクスワーゲン ゴルフ。7代目では電気自動車をはじめ、このクラスとしては最も多様なパワートレインを搭載したモデルとなった

7代目の輸入車は名車がずらり! 古すぎないから狙いやすい

最近は「第7世代」と呼ばれるお笑いの若手芸人が人気だ。しかし、この“7”という数字には実は意味はなく、そもそもお笑い芸人には明確な世代の線引きもないという。「第7世代」は主に20~30代前半の若手芸人を総称する言葉として、最近よく使われるようになったらしい。

一方で、車の場合はご存じのとおり、フルモデルチェンジすれば世代が替わる。例えばトヨタ クラウンなら現行型で第15世代、トヨタ カローラは第12世代、日産 スカイラインやホンダ シビックは現行型が第10世代となる。国産車は代々続く、いわば“名家”が多く、名家の「第7世代」を中古車で探そうとなると、台数が少ないし、古いため気軽にオススメするのは難しい。

では輸入車はどうかというと、実は今ちょうど現行型前後で「第7世代」を迎える名家が多いのだ。そこで今回は輸入車の第7世代を初代の写真とともに、平均価格の低い順、つまり手頃に狙える順から紹介しよう。

コンパクトカーの“世界基準”の7代目は、バリエーションが豊富
フォルクスワーゲン ゴルフ(現行型)

フォルクスワーゲン ゴルフ▲衝突被害軽減ブレーキやレーンキープアシスト機能を含む先進安全機能は、デビュー時から全車標準装備。2017年5月のマイナーチェンジで自動防眩機能付きのLEDヘッドライトが採用された他、メーターが液晶ディスプレイとなった
フォルクスワーゲン ゴルフ▲コンパクトで手頃な価格なのに、高速道路を安定して走れるなど「走る・曲がる・とまる」という基本性能が優れていた初代ゴルフ

ビートルに代わる新たな“国民車”として開発されたのが、初代ゴルフ。カーデザイン界の巨匠ジウジアーロが手がけたボディをまとい、1974年にデビューした。

FFを採用したことで室内空間が広く、経済的でもあった初代は瞬く間にヒットし、以降歴代のゴルフはすべて、世界中のメーカーにとってコンパクトハッチバックのベンチマークとなっていく。

第7世代となるゴルフ7は2013年4月に登場。フレキシブルにホイールベースなどを替えられる新世代プラットフォームのMQBが同社として初めて採用されたモデルだ。当初搭載されたエンジンは1.2Lターボと1.4Lターボ。これにツインクラッチの7速ATが組み合わされた。

その後も最高出力220ps/最大トルク350N・mの2Lターボを搭載するGTIや、280ps/380N・mの2Lターボ×4WDのRが追加される。当初この2台はいずれもツインクラッチの6速ATだったが、2017年5月のマイナーチェンジで7速化され、同時にGTIの最高出力は230psに、Rは310psとなった。

他にもGTI TCRといった限定車や、電気自動車のe-ゴルフ、プラグインハイブリッドのGTEとバリエーションが次々と増えていった。

デビュー時の車両本体価格は249万~299万円(1.2Lターボと1.4Lターボモデル)。原稿執筆時点で1000台を超える中古車があり、平均価格は186.4万円、支払総額100万円以下から十分見つけられる。

間もなく8代目が日本へ導入される予定だが、これだけのバリエーションが揃うにはまだ時間がかかる(電気自動車はもう設定されないかもしれない)し、そもそもコンパクトカーをリードする存在のゴルフゆえ、多少型落ちしてもその先進性の“賞味期限”が長いという特徴もある。そろそろお気に入りのゴルフ探しを始めてはどうだろう。

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新車時の半額程度から見つかる現行型高級サルーン
BMW 5シリーズ(現行型)

BMW 5シリーズ▲以前から同社が取り組んできた可変ギアレシオシステム(60km/h未満では前後輪が逆位相になって取り回しやすくなり、60km/h以上になると同位相になって俊敏に)はさらに熟成されて搭載された
BMW 5シリーズ▲「スポーティなセダン」というイメージを世の中に印象づけた1500シリーズの購入層より、やや上の層を狙って開発された初代5シリーズ(E12型)

第二次世界大戦後で敗戦国となり、主力工場も東ドイツに編入されたことで、経営が悪化したBMW。その苦境を打破したのが、同社が「ニュー・クラス(ドイツ語でノイエ・クラッセ)」と呼んだ、4ドアセダンの1500シリーズだ。

この成功により、1972年には1500シリーズの後継モデルとして初代5シリーズ(E12型)の520/520iが登場する。以降同社の車は3つの数字で車名が表されるようになっていった。

現行型G30型が日本へ導入されたのは2017年1月。全車に装備された「部分自動運転」と同社がうたうドライビング・アシスト・プラスは、車線中央を走行するようステアリング操作をアシストするだけでなく、隣のレーンを走る車が近づいて衝突の危機が高まるとステアリング操作に介入する。

2020年9月のマイナーチェンジでは「ドライビング・アシスト・プロフェッショナル」へと進化し、渋滞時のハンズオフ機能が備わった。同時に「OK、BMW」と話しかけてから音声でカーナビやエアコンなどの操作ができる機能も装備されている。

当初のラインナップは最高出力184psの直列4気筒2Lターボの523iと、同190psの直列4気筒2Lターボの530i、2Lディーゼルターボの523d、直列6気筒3Lターボの540iと、その4WD版の540i xDrive、2Lターボ+モーターのハイブリッドモデルである530e。2019年7月には523dの4WD版、523d xDriveが追加された。トランスミッションはいずれも8速ATとなる。

デビュー時の車両本体価格は599万~1017万円。中古車平均価格435.9万円で、新車時の半額程度となる支払総額300万円程度から狙える。先述のとおり安心&快適機能はたっぷり備わっていて、BMWらしい走りの楽しさも味わえる高級サルーンも、そろそろ買い時だ。

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走行距離の少ないスポーティセダンがお買い得
BMW 3シリーズ(現行型)

BMW 3シリーズ▲2019年夏以降から渋滞時のハンズオフ機能も備えられた。「OK、BMW」で始める音声認識機能は、「BMW」の部分を任意の“名前”に変更することが可能だ
BMW 3シリーズ▲初代3シリーズは、02シリーズを継承していることを示す2ドアセダンスタイル。その後カブリオレも追加されたが、最後まで2ドアを貫いた。4ドアが登場するのは2代目のE30からとなる

上記5シリーズで紹介した1500シリーズが成功したことで、BMWは同シリーズを用いた2ドアの小型セダンを開発する。これがいわゆる“02シリーズ”だ。特に同シリーズの2002ターボはレースで大活躍して世界中にその名を轟かせた。

この02シリーズの後継として1975年に登場したのが、初代3シリーズ(E21型)である。

そんな由緒正しいスポーティセダンの系譜に連なる7世代目が、2019年1月に登場したG20型3シリーズだ。

直前の50mを自動でバックできるリバース・アシスト機能を含む先進の安全機能を全車標準(320i SEを除く)で搭載し、「OK、BMW」で始められる音声認識技術も用意されている。またデジタルメーターパネルと、タッチ操作も可能なディスプレイを全車標準装備する。

デビュー時に用意されたモデルは、最高出力184psの2Lターボの320iと、同258psの2Lターボの330i。その後2Lディーゼルターボ×4WDの320d xDriveや、直列6気筒3Lターボを搭載するMパフォーマンスモデルの4WD車であるM340i xDrive、2Lターボ+モーターのハイブリッドモデル330e、最高出力156psの2Lターボを搭載する318iが追加されている。トランスミッションはいずれも8速AT。

デビュー時の車両本体価格は452万~632万円。原稿執筆時点で300台ほどあり、そのほとんどが走行距離1万km未満だ。中古車平均価格は463.6万円、支払総額400万円以下から狙うことができる。

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ロングノーズにV8を載せた最後のアメリカンスポーツカー
シボレー コルベット(C7型)

シボレー コルベット▲重量配分は約50:50。カーボンファイバーやアルミニウムなど軽量素材が多数採用された。ウェザー/エコ/ツアー/スポーツ/トラックの5モードで車両特性を変えられるドライバーモードセレクターをはじめ電子制御もふんだんに備わっている
シボレー コルベット▲写真は1957年式の初代C1型。1953年に登場した際のエンジンは直列6気筒だったが、翌1954年にはV8エンジン搭載モデルも加えられた

初代シボレー コルベットが誕生したのは1953年。当時のアメリカでは、スポーツカーといえばMGをはじめとしたイギリス製が主流だったため、念願のメイド・イン・アメリカのスポーツカーということで大いに愛された。 専用設計のシャシーに、当時としては最先端となるFRP製ボディを載せたオープンスポーツカーで、これをベースにレースに参戦する人が相次いだ。初代はC1型と呼ばれ、以降代替わり(フルモデルチェンジ)するごとに数字が増えていく。

第7世代となるC7型は2013年に登場。日本へは2014年からデリバリーが開始された。C6型から、かなりヨーロッパのスポーツカーを意識した車作りが行われるようになり、このC7型でFRスポーツカーとしてひとつの完成形を提示。

2019年に発表された最新型のC8型では、ミッドにV8を搭載するMRスポーツカーに生まれ変わった(日本デリバリーは2021年春に予定されている)。

クーペとコンバーチブルのボディをもつC7型のフロントに搭載されたエンジンは、もちろんV8エンジン。排気量は6.2Lで、最高出力394ps/最大トルク624N・m仕様と、Z51用の466ps/630N・mの2タイプが用意された。 トランスミッションは当初7速MTまたは6速ATだったが、2014年11月にATは8速化された。C7型はレース参戦にも積極的で、そのノウハウを詰め込んだ659ps/881N・mのZ06が2015年10月に、466ps/630N・mのグランスポーツが2016年に追加された。

デビュー時の車両本体価格は929万~1159万円(コンバーチブルを含む)。原稿執筆時点でクーペが22台、コンバーチブルが5台と台数は少ない。中古車平均価格は895.6万円で、支払総額700万円以下から狙える。

ロングノーズ・ショートデッキ、V8というアメリカンスポーツカーのツボを抑えた最後のモデルで、台数が少ないだけに、気になる中古車が見つかったら即行動することをオススメしたい。

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シボレー コルベット/コルベットコンバーチブル(C7型)×全国

すでに自然吸気6気筒の前期モデルが高値安定中!?
ポルシェ 911(旧型)

ポルシェ911▲トランスミッションは、当時世界初となる7速MTと、デュアルクラッチ式の7速AT(PDK)が用意された。ロール抑制システムのPDCCなど、各種電子制御デバイスが用意され、走行性能を高めている
ポルシェ911▲初代911。フランクフルト・モーターショーではコードネームの「901」でお披露目されたが、プジョーが先に中央に0をもつ3ケタのモデル名を商標登録していたため、911となったのは、ポルシェファンなら良く知っているエピソードだ

フェルディナント・ポルシェ博士とその息子フェリー・ポルシェが開発したコンパクトスポーツカーが1950年に登場した356。

同車は博士がかつて設計したフォルクスワーゲン ビートルと同じ水平対向4気筒を搭載していたが、主なマーケットであるアメリカ市場のニーズを受けて、6気筒モデルを開発する。それが1963年のフランクフルト・モーターショーで披露された初代911だ。

7世代目となる991型911の日本導入は、2011年11月に東京モーターショーで発表された。当初は3.4L・350psの水平対向6気筒を搭載するカレラと、3.8L・400psのカレラSの2モデル。カレラSは0-100km/hが4.5秒という俊足だ。

その後も2012年に0-100km/hが4.1秒となるカレラ4、2013年には3.5秒のGT3と3.2秒のターボ、3.1秒のターボS、さらに2014年には4.0秒のGTSという具合にバリエーションが増えていく。

「最新のポルシェが最良のポルシェ」という言葉があるように、同車は絶え間なく改良が施されている。2016年2月にはカレラとカレラSもツインターボ化され、電子制御式可変減衰ダンパーのPASMはカレラシリーズ全モデルに標準装備された。

2017年にはGT3は3.8Lから4Lとなるなど、各モデルは絶えず改良されている。また、オプションも多いので、購入時には年式ごとの違いなどを調べておくといいだろう。

デビュー時のカレラ、カレラSの車両本体価格は1117万~1456万円。原稿執筆時点での中古車平均価格は1451.1万円だが、最安値帯では支払総額700万円以下から見つけることができる。

なお、8代目となる992型は、2019年7月から順次バリエーションが追加されているため、ハッキリとは言えないが、今後911ターボ化はさらに進むとみられている。そのため、自然吸気の水平対向6気筒搭載モデルである前期型の人気が高く、なかなか値落ちが進んでいない。逆に言えば、リセールバリューが高い(911はもともと高いが、さらに高い)と言えるだろう。

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ポルシェ 911(991型)×全国
文/ぴえいる、写真/フォルクスワーゲン、BMW、シボレー、ポルシェ

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。