▲RRレイアウトにターボのMTというマニア好みのトゥインゴGT▲RRレイアウトにターボのMTというマニア好みのトゥインゴGT

日本のホットハッチといえば?

なんの変哲もないコンパクトカーをベースに、ホットなエンジンと締め上げられた足回りを与えて、痛快な走りを実現してしまったのが「ホットハッチ」といわれるジャンルです。

ベースが比較的安価なコンパクトカーなので、価格もサイズも手ごろなところがウリ。日本にも過去にはスターレットターボやシビックSiR、ミラージュサイボーグなど、ワクワクするようなホットハッチが多数リリースされていました。

しかし、最近では痛快な国産ホットハッチはトーンダウン。どちらかというと輸入車の方が元気な印象が強いですね。先日もルノーのトゥインゴに「GT」というグレードが追加されて話題となりました。

このトゥインゴGTは、RRレイアウトのベース車の素性の良さを生かし、標準車にはないターボエンジンと5速MTの組み合わせを用意。最高出力こそ109馬力と驚くほどのパワーではありませんが、専用チューニングの足回りと相まってホットな走りを実現しています。

そこで、今回狙いたいのが国産の中古ホットハッチです。といっても前述したスターレットターボやシビックSiRなどは、ほとんどが1990年代のモデル。

今から買うとなると、元気に走る状態にするのに費用がかかってしまう状態なので、もう少し新しいモデルを狙いたいところ。そこで白羽の矢が立ったのがコチラの国産ホットハッチなのです!

日産 マーチ 12SR(3代目)

▲あのオーテックジャパンが手がけたスペシャルチューニングモデル▲あのオーテックジャパンが手がけたスペシャルチューニングモデル

それが先代マーチ(3代目/K12型)に設定されていたグレードの「12SR」。日産のボトムラインを担うベーシックコンパクトカーであるマーチをベースに、日産の特装車などを手がけるオーテックジャパンが技術の粋を余すことなく投入して作り上げた至極のホットハッチです。

搭載されるエンジンは、型式こそベース車と同じCR12DE型ですが、高回転型カムプロフィール、バルブスプリング、専用ピストン、軽量フライホイール、専用チューニングコンピューター(MC後は専用エグゾーストマニホールドやポート研磨も追加)を採用し、ベース車プラス約20馬力の上乗せを実現していました。

▲エアロパーツレス仕様も存在していた。普通のマーチと比べ、外観の違いはグリルとアルミホイール程度▲エアロパーツレス仕様も存在していた。普通のマーチと比べ、外観の違いはグリルとアルミホイール程度

また、専用スポーツチューンドサスペンションや専用ボディ補強、専用エアロパーツなどでハンドリング性能も大幅に向上。タイヤも185/55R15サイズのスポーツタイヤを純正装着し、強化された足回りに見合ったグリップを手にしています。増大する横Gに耐えられるように専用スポーツシートまで純正装着されています。

そんなマーチ12SRは大きく前期と後期に分けられます。これはベース車の変更に準じたものですが、一番違うのはボディタイプ。前期型では3ドアと5ドア、2種類のボディタイプが用意されていましたが、2005年8月のマイナーチェンジで3ドアが廃止されたので、12SRも5ドアのみのラインナップとなっています。

ちなみに一般的に3ドアの方がボディ剛性は高くなりますが、後期型の5ドアは新たにボディ補強を追加したことで、前期3ドアを上回る剛性を手にしているそうです。

▲前期型にのみ存在していた3ドアボディの12SRは今ではやや希少▲前期型にのみ存在していた3ドアボディの12SRは今ではやや希少

気になるマーチ12SRの中古車価格ですが、あれほどの専用パーツを採用しながらも元々新車価格が抑えられていたこともあって、中古車もとても買いやすい価格帯が多くなっています。

記事執筆時点では一番総額が高いものでも115万円ほど。ほとんどの掲載車種が総額100万円以内で狙えるイメージです。そして安いものでは総額30万円程度からというからビックリ。

スポーツモデルの中古車だとカスタマイズがされた個体が多くなりがちですが、12SRについてはノーマル(工場出荷状態)ですでに高いバランスでチューニングされていることもあってか、純正状態の個体が多いのも特徴。社外品が多いと車本来の状態の見極めが難しくなりがちなので、うれしいポイントとも言えるでしょう。

text/小鮒康一
photo/ルノー、日産自動車

▼検索条件

日産 マーチ 12SR(3代目)×総額表示あり×修復歴なし