Q.購入した車に入っていた品物は、すべて自分のものですか?

購入した車のダッシュボードに指輪がありました。結構、高価そうなものです。これって、販売店に返却する必要はありますか!? 骨董品の仏像を購入して、胎内から高価な巻物などが出てきても返す必要はありませんよね。それでいうと、この指輪込みで車を買ったと考えられませんか!?

A.車に関係のない品物は所有者への返却義務があります

一般常識で考えて、指輪込みで車が販売されたと考えるのはムリがあります。この場合は速やかに返却すべきでしょう。ほかにも、ぬいぐるみや小銭、DVDなど購入した車にある忘れ物は返す義務があると思われます。相手が気づいていないからといって返さないと、法律上は遺失物等横領罪にあたることも考えられます

もちろん、忘れ物なのか付属物なのか判断に迷うものもあります。車を購入した場合、一般的に考えて車にかかわるアイテム、例えばシートカバーやカップホルダー、ETC受信器などは付属物と考えていいでしょう。これは、車全体の価値に寄与しており、販売価格にも関係し、車を選ぶ基準にもなります。

逆に、DVDやぬいぐるみ、小銭などは車の性能とは関係がありません。これをもって付属品と考えるのにはムリがあります。

とはいえ、車を販売店に売却または下取りしてもらう立場から考えると、忘れ物が手元に返ってくる可能性は高くはありません。購入者に「なかった。転売時までに紛失ないし盗まれたのでは!? 」といわれた場合、購入者が自分の物にしたことを証明するのは容易ではないからです。そうならないためにも、売却前には必ず忘れ物がないかを確認する必要があります
第85回:購入した車から思わぬ掘り出し物が!?|渋滞ができる法律相談所
illustration/もりいくすお

■ワンポイント法律用語■

遺失物等横領罪(いしつぶつとうおうりょうざい)
刑法254条。所有者が意図的にではなくうっかり落としたり、置き忘れた物や漂流物、その他占有を離れた他人の物を横領すると、遺失物等横領罪が成立する