Q.ガードマンの指示に従って事故を起こしてしまった

道路工事の現場で誘導をしていたガードマンの指示に従ったら、事故を起こしてしまいました。原因をつくったのはガードマンなので、責任を負ってほしいのですが、法律的には可能でしょうか?

A.ガードマンの指示に従ったとしても、安全確認を怠った本人に責任があります

ガードマンの指示に従って事故を起こした場合でも、自分に過失がないというのは無理があるでしょう。事故の責任は運転者本人が負うという裁判例もあります。もし、ガードマンが「行ってください」と指示しても、安全は自分で確認しなくてはいけないのです。

とはいえ、ガードマンが全く責を負わないというわけではありません。このケースでは、ガードマンの過失によって事故を起こし、それがあなたに損害を与えたとして、「不法行為」を理由に損害賠償の請求を行うのが現実的だと思われます。このとき、ガードマンだけではなく、ガードマンを雇用している会社にも使用者責任を問うことができる場合があるでしょう。

賠償金額は、起きた事故に対して、ガードマンの指示がどの程度の重要度や関係性があったかで変わってくると思いますが、すべてをガードマンの責任にして、あなたが起こした事故の費用をすべて賠償させるのは難しいと思われます。

今回の回答は、ガードマンの指示に従わなくてもいいということではありません。むしろ、ガードマンの指示に従いながら、最終的な安全確認は自己責任であるということを忘れないようにしてください。また、もし指示を出しているのが警察官ならば、これは信号に優先する効力があることも覚えておきましょう。

第76回:ガードマンの指示通りにして事故を起こしたら!?|渋滞ができる法律相談所
illustration/もりいくすお

■ワンポイント法律用語■

不法行為(ふほうこうい)
故意または過失によって他人の権利を侵害し損害を発生させる行為。加害者はその損害の賠償責任を負う
使用者責任(しようしゃせきにん)
事業のために他人を使用するものは、使用人がその事業に関して第三者に加えた損害を賠償しなければならない。ただし、使用人の選任や監督について相当の注意をしたときなどは免責される