Q.なんとなく調子が悪いのを理由に返金してもらえますか?

修理に出した車が戻ってきたのですが、なんとなく調子が良くありません乗り心地や加速が悪くなった気がします。修理をし直してもらうか、修理代金を返してもらうことはできるでしょうか?

A.合理的な説明ができない場合は、返金してもらえません

修理などのあとにこれまでと比べて調子が悪くなったと感じることはあるかもしれません。

しかし、法律上は感覚的な調子の悪さだけを根拠に、修理のやり直しや代金の返金を求めることは難しいと思われます。なぜなら、それらを請求するには合理的な説明が必要になるためです。例えば、加速が悪くなっているのならば、実際のエンジン出力などを計測して、同じ車のエンジン出力と比較する。乗り心地が悪化したのならば、サスペンションなどに不具合がないかを調べるなどになります。そこで、修理の手抜きなどが見つかれば、当然、改めて修理を求めたり、修理代金の返金を求めることはできます

ここで注意しなくてはいけないのは、修理完了後に、修理内容に不具合があったことを調べて立証する責任は、販売店ではなく車の所有者にあるということです。

民事裁判では、原則として権利関係の発生、変更、消滅等の法律効果を主張する当事者が証明責任を負い、裁判において事実の真偽がわからない場合、その当事者が不利益を被るといった原則があります。つまり、買い主が販売店に対して損害賠償を請求するというケースでは、買い主が立証責任を負担することになるのです。

もし、修理後に調子が悪いなと感じたら、まずは、原因を解明することからはじめましょう。もちろん、このような事態に備えて、日頃から多少なりとも車に対する予備知識を蓄えておくことも忘れないようにしてください。



第72回:修理後になんとなく車の調子が悪化したら!?|渋滞ができる法律相談所
illustration/もりいくすお

■ワンポイント法律用語■

民事裁判(みんじさいばん)
民事訴訟法に基づいた裁判。当事者同士の話し合いで解決しない争いごとを解決する、最終的な方法の一つ。訴えられた側は被告と呼ばれるが、これは法律上の呼び名にすぎず、被告側が悪いという判断を含むものではない