Q.購入した車が1週間で半額の価値になってしまったんだけど…

事情があって、購入後1週間で購入した中古車を手放すことになりました。販売店が「売却時も面倒をみるよ」と言ってくれていたので相談したところ、買い取り価格は100万円とのこと。しかし、購入時の金額は車両本体価格200万円でした。これっていくらなんでもひどくないでしょうか?

A.まずはその車の買い取り査定額の相場を調べましょう

このようなケースは法律的には問題はありません。よって、買い取り価格の設定が低いからと、相手を訴えることはできないでしょう。「売却時も面倒をみるよ」の言葉も、それによって高値で買い取るとの約束が交わされたとは見なされないでしょう。

また、もし買い取り価格の相場が100万円だった場合、相談者はこう思うかもしれません。「200万円で売るのはズルいのではないか!? 」。気持ちはわかりますが、これも法律上は問題ありません。納得がいかなければ買わなければ良いのですから。

知っておいてほしいのは「新車を購入した場合でも、登録をした瞬間に中古車になり、価値が落ちる」という事実です。簡単に言うと、ゼロオーナーがワンーオーナーになるということです。これは、所有者履歴が増えるという意味で中古車でも同様です。

それでは、200万円の車が1週間で100万円まで値落ちするのか!? これは判断が難しいところで「ない」とは言い切れません。しかし、ただ泣き寝入りをするのかというと、そんなことはありません。車を売る値段に相場があるように、買い取る値段にも相場があります

相談のケースでは、ほかの買い取り専門店に持って行けばいいのです。100万円以上で買い取ってくれる買取専門店を見つけて、売れば解決する話です。逆に、どこでも100万円でしか買い取れないようであれば、それが相場と思って諦めるしかありません。

ただし、極端な例ですが、購入時に車を売るときに、相場よりも高い理由を「特別なチューンがしてある車で日本に数台しかない」「以前は有名人が乗っていた」などと、事実ではない偽った話をされていた場合には詐欺罪にあたる可能性があります。その場合には、そもそも契約の解除を申し出ることができるでしょう。

このようなトラブルにあわないためには、車を購入するときには、買うときの相場はもちろんのこと、リセールバリューと呼ばれる売るときの相場まで考えること。そうすれば、次の乗り替えまで視野に入れた、よりよい買い物ができるのではないでしょうか。

第71回:購入した車が短期間で急激に値落ちしてしまったら!?|渋滞ができる法律相談所
illustration/もりいくすお

■ワンポイント法律用語■

詐欺罪(さぎざい)
人を欺いて財物を交付させ、または財産上、不法の利益を得る行為のこと。成立要件には、故意に相手を欺くこと、それによって相手が錯誤に陥って処分行為をおこない、その結果欺いた本人ないし第三者が財産または財産上不法の利益を得ることなどが必要