Q. 納車が遅れたことで旅行に行けなかった。こんな場合の慰謝料、請求できますか?

販売店の都合で納車予定日が延びてしまい、車で行く旅行の計画が台無しに。こんな場合、慰謝料の請求は可能でしょうか?

A. 実害分の損害賠償は請求可能。ただし、旅行が楽しめなかったという理由で慰謝料まで請求するのは難しい。

納車日というのは、契約でいう「期限の約束」にあたります。この約束が守られない場合は、販売店の履行遅滞による契約違反となります。

今回のケースでは、特に「旅行に使う」という目的があったわけですから、車が使えないことによって、別途かかってしまった金額、例えばレンタカー代などは、損害賠償として請求できると考えられます。しかし、車がなかったことにより旅を楽しめなかったので精神的苦痛を味わったという理由では、慰謝料が発生するかといえば、それは発生しません。慰謝料とは、その事象に起因するケガや病気などによる精神的苦痛に対して認められます。

なので、車の売買契約という経済行為に関する違反として、経済的損害の賠償は可能ですが、精神的苦痛についての賠償までは困難でしょう。

ここがポイント!

損害賠償と慰謝料は別のもの。売買におけるトラブルで、慰謝料にまで発展するケースはあまり多くない。

■使える法律用語■

契約遅滞(けいやくちたい)
債務不履行の一種で、債務者が債務を履行できるにもかかわらず期日が来ても履行しないこと。債権者は、期限に遅れたことによって生じた損害の賠償請求が認められている。