Q.お店にお願いして探してもらった車は
     絶対に買わなきゃダメなの?

カーセンサーで気になる車を発見。販売店に見に行きましたが、残念ながら売れていました。悔しがっていると店員さんが「同じような車を探しましょうか?」と一言。 「よろしくお願いします」と即答したものの、僕の感性にヒットしなかった場合、購入を拒むことは可能ですか

A.原則的には「探したから購入しろ」という話にはならないでしょう。

全く同じ車は二台と存在しないのが中古車というもの。もし車種やグレード、色が一緒でも、販売店と客側とでは、細かい個所の妥協や感じ方に相違があるかもしれません。

一般的に考えると、お客様が気に入る車を見つけるのは販売店としての企業努力。商談や契約はあくまで、実物が用意されたあとの話です。客側が商品に納得できなくては、取引は成立しません

ただし、その販売店に存在しない車を探してもらうときに、細かい契約を交わしていたら話は変わってきます。例えば「色は純正の赤」「改造していない車」「年式は○○年式」「走行距離は○○万km以内」「AとBのオプションが付いていること」など細かい条件を指定して、その条件にかなう車を探してもらうといった契約の場合は、一方的な理由での解約については、販売店が車を探すために支出した費用は信義則上、客側が負担しなくてはならない場合があると考えられます。

ほかにも、探してもらったが予算の都合で買えなくなったとか、別の車が欲しくなったなど客側の一方的な理由で契約を反古にする場合は、信頼利益に基づいて、交通費や日当などの実費程度は賠償するべきではないでしょうか。

販売店にお願いして車を探してもらうときには、見つかったあとどうするのか、しっかりとした計画を立てておくことが大切です。
法律相談所
illustration/もりいくすお

■ワンポイント法律用語■

信義則(しんぎそく)
信義則とは信義誠実の原則の略。契約などのときに、お互いが相手方の信頼を裏切らないよう行動すべきであるという法原則。この信義則に基づき、相手に対して契約成立までの間に支出した費用などを請求できる場合がある。
信頼利益の賠償(しんらいりえきのばいしょう)
ある条件で契約が成立しなかった場合でも、特別な場合には、それが有効に成立すると信じて相手方が支出した調査費用や準備費用を賠償しなければならない場合がある。これを信頼利益の賠償という。