車いすを使うほどでもないが、普段は杖を使うなど足腰が弱ってきた人にとって、片足を上げて車に乗り込むという姿勢は相応に苦痛になる。そういう人と一緒に買い物などへ出かける時に便利な車が、乗り降りの際に助手席のシートが外へ向いてくれるタイプ。トヨタヴィッツの助手席回転スライドシート車や助手席リフトアップシート車はそんな便利な1台だ。

ベースであるヴィッツ(2005年2月~2010年11月)はコンパクトカーの代表格。小回りがきいてキビキビと走り、ラゲージもそこそこあって低燃費なのもうれしい。買い物や子どもの送り迎えなど日常の様々な用事をこれ1台でたいてい済ますことができる。このヴィッツの助手席が外に向かって回転しスライドするのが回転スライドシート車で、シートが下降しながら外へ出てくれるのがリフトアップシート車だ。

どちらもお尻から座れるので、片足を上げて乗り込む姿勢を取る必要がなくなる。回転スライドシート車の場合、シートは下降しないので、もしシート高が少し高くて浅くしか腰掛けられないというのであれば、シートが下がってくれるリフトアップシート車のほうが座りやすいだろう。なお回転スライドシート車は手動で、リフトアップシート車はすべて電動となる。どちらもラゲージに電動式の車いす収納装置を備えたモデルも用意されていた。車いすを使わないという人は、この装置がないモデルのほうがラゲージを広く使える。

カーセンサーnetを見ると、原稿執筆時点で回転スライドシート車が1台、リフトアップシート車が7台掲載されていた。いずれも総額100万円以下だ。2010年式で走行距離わずか1.4万kmの助手席リフトアップシート車がトヨタ系ディーラーで販売されているケースも確認できた。便利なシートが付いていても他のノーマルモデルとの価格差はない。比較的お手頃な価格だけに、膝が痛いと家族が言い始めたら積極的に選んでみてはどうだろうか。

乗車定員/5名
シート最低着座面高さ/575mm(回転スライドシート車)、430mm(リフトアップシート車)※いずれも2WD
シートの車外飛び出し量/75mm(回転スライドシート車)、805mm(リフトアップシート車)
回転時足元スペース/255mm(回転スライドシート車)、340mm(リフトアップシート車)
車内でのスライド量/90mm(回転スライドシート車、リフトアップシート車)

Text/籠島康弘

助手席回転スライドシート車。車いすの収納装置が備わっていると諸費用が免税される

助手席回転スライドシート車。車いすの収納装置が備わっていると消費税が免税される

助手席リフトアップシート車。こちらは車いす収納装置の有無に関わらず消費税が免税される

助手席リフトアップシート車。こちらは車いす収納装置の有無に関わらず消費税が免税される