足腰が弱ってきた人にとって車に乗り込むというのは難儀なもの。片足を上げる姿勢がつらいのだ。その点、シートの座面が車外に出てくれると足を上げなくてもお尻から座ることができる。こうした回転や回転&車外へスライドするシートを備えた車はコンパクトカーやセダンなどによく用意されている。トヨタ プリウス 助手席回転スライドシート車もその一例だ。

ベースであるプリウス(2003年9月~2009年4月)はハイブリッドカーの代名詞的存在だ。10・15モード燃費で35.5km/Lという低燃費を誇る。市街地などではモーターのみで走ることができたり、スイッチ操作だけで縦列駐車をアシストしてくれるインテリジェントパーキングアシストがオプションで設定されていたり、旧型になった今でも先進的な機能が魅力だ。

このプリウスに回転&車外へスライドする助手席シートを備えた車が助手席回転スライドシート車。グレードは他のプリウス同様SとGがあり、助手席シート以外の装備類はグレードに準じる。燃費は公表されていないが、助手席シートの操作はすべて手動のため、モーターなどを別途備える必要がなく車両重量に大きな差はない。そのため燃費も他のプリウスとほぼ同じはず。別の言い方をすれば、SやGに、助手席回転スライドシートという「オプション」を装備した車といえる。

原稿執筆時点ではカーセンサーnetで3台見つかった。最安値は約70万円、最高値でも約110万円(いずれも車両本体価格)。助手席回転スライドシートという「オプション」が付いていても、中古車価格には影響しないようで、他のプリウスと相場は同じ。先述のように燃費も使い勝手も他のプリウスとほぼ同じ。もし家族の誰かが「最近足腰が痛くて」なんて言っていたら、助手席回転スライドシート車を選んでみてはどうだろう。

乗車定員/5名
シート最低着座面高さ/575mm
シートの車外飛び出し量/115mm
車内シートスライド量/90mm
回転時足元スペース/265mm

Text/籠島康弘

装備類はベース車であるSまたはGに準じる。Gならクルーズコントロールや横滑り防止装置が備わる

装備類はベース車であるSまたはGに準じる。Gならクルーズコントロールや横滑り防止装置が備わる

助手席は背もたれをある程度まで倒せる。ラゲージに車いすを電動で収納する装置も用意されている

助手席は背もたれをある程度まで倒せる。ラゲージに車いすを電動で収納する装置も用意されている