普段、移動に車いすが必要な親は、子どもに迷惑をかけまいと引きこもりがちになることが多い。だからこそ、子世帯としては、ちょっとでも外の空気に触れさせたいところだが、そのためだけに大きな車を購入するのも躊躇するのではないだろうか。そこでオススメしたいのが普段使いも、車いすを乗せることもできるコンパクトカーだ。トヨタ ラクティスの車いす仕様車はその一例。

ベースであるラクティス(2005年10月~2010年10月)は、全長が4m未満に抑えられた扱いやすいサイズながら、広々とした室内空間をもつコンパクトカー。ライバルは日産キューブなどだ。リアシートは6:4分割可倒式で、収納する際は床面に折りたたむカタチで収まるため、床面の低いラゲージと平らな、広々とした空間を生み出すことができる。この広い空間に車いすごと乗員を乗せられるようにしたのがラクティス車いす仕様車だ。

ラクティス車いす仕様車はタイプⅠとタイプⅡがあり、タイプⅠはリアシートの片方を床に収納することで、車いすを乗せる仕様になっている。このため車いすの人を乗せる場合はその他に3名、合計4名まで乗ることができ、乗せない場合は5名まで乗車可能だ。一方、タイプⅡは後席の一部を取り外しているので、車いすの人を乗せる場合は合計4名、乗せない場合は3名となる。タイプIIは助手席を倒して車いすをさらに前進させ、車いすの人と運転者とのコミュニケーションを密にすることもできる(この場合は車いすの人を含め最大3名まで乗車可能)。

通常は最大で5名まで乗ることができるタイプⅠなら、子世帯だけでのドライブにも便利だし、親の通院などにも使える。またⅠとⅡどちらにも、通常のラクティスにはないエアーサスペンションがリアに備わっている。これによってスロープを使う際に車高を落としスロープの角度を低くしてくれるので、介助する人の負担が軽減される。

原稿執筆時点でカーセンサーnetを見てみるとタイプⅠが44台、タイプⅡが6台見つかった。どちらも100万円以内で十分探すことができるので、希望のボディカラーや装備などでも選びやすいだろう。車いすの親の外出を気軽に増やすことができ、子世帯だけでも使えるコンパクトカー。検討してみてはいかがだろうか。

乗車定員/5名(タイプⅠ)、4名(タイプⅡ)
スロープ角度/9.5度


Text/籠島康弘

1.3Lと1.5LがありいずれもミッションはCVT。2WDのみとなる

1.3Lと1.5LがありいずれもミッションはCVT。2WDのみとなる

タイプⅡで助手席を倒し車いすを前に乗せる場合、室内高が若干低くなるので、購入前には必ず試乗したい

タイプⅡで助手席を倒し車いすを前に乗せる場合、室内高が若干低くなるので、購入前には必ず試乗したい