家族全員でゆったりと旅行に出かけたいという人には、やはり大きなミニバンが便利だろう。その際、ご両親を乗せることもあるだろうが「最近、親の足腰が弱ってきたな」と感じることはないだろうか。あるいは「年齢を考えるとこれから先が心配だ」という人もいると思う。そういった人に今回オススメしたいのが、トヨタアルファード(02年5月~08年4月)の助手席またはサイドリフトアップシート車だ。

アルファードといえばトヨタ車で最大&最高級のミニバン。大きなボディを生かした広々とした空間が自慢。高級車としてのしつらえは見た目にも装備にも、そして静粛性の高さなどは走りの質感にも現れている。それゆえ人気の1台なのだが、さらに足腰の弱い方にも優しい機能を備えたのが、助手席またはサイドリフトアップシート車だ。

助手席リフトアップシート車は、電動で助手席が車外に出てくることで、足腰の弱い人が「よっこらしょ」と乗り込む必要がなくなる。ミニバンは、乗り込む際にシートまでの高さが障害になるだけでなく、ドア下の敷居(サイドシル)をまたぐ際に、片足を大きく上げ不安定な姿勢になることも多い。しかし車外までシートが出てきてくれば、そのまま座れるので楽だし安心できる。

サイドリフトアップシート車は、2列目の助手席側シートが同様の動きをする。さらにシートをそのまま外して車いすとして利用できるタイプもある。こちらは普段から車いすをよく利用するという人に便利だ。いずれもシートの乗降はスイッチひとつで行うことができる。車内に乗ってしまえば他のシートと同じだから、福祉車両という感覚は薄い。

両タイプとも、乗降する助手席または2列目シートも、車内では前後スライドやリクライニングが可能。なにより普通のシートだからドライブ中に疲れにくい。また助手席リフトアップシート車の2列目シートは、他のアルファード同様にセパレートタイプ(7人乗り)とベンチタイプ(8人乗り)が選べる。サイドリフトアップシート車は2列目がセパレートとなるので7人乗りのみとなる。

どちらにも3Lと2.4L車が用意され、それぞれ2WDと4WDがあるなど、予算や用途などに合わせて選ぶことができる。また3L車は2グレードあり、装備の違いでも選べる。さらに車いすを電動でラゲージに収納できる装置がオプションで用意されているので、車いすを使う方はこちらを探してみるのもいいだろう。

特別に福祉車両と意識せず、高齢のご両親も喜んでくれる機能が付いたトヨタの最大&最高級ミニバンで、家族と一緒にドライブを楽しみたいという用途にも適している。

乗車定員/7名または8名(助手席リフトアップシート車)、7名(サイドリフトアップシート車)
リフト能力/いずれも100kg(シートを除く)
シート下降時最低着座面高さ/470mm(助手席リフトアップシート車)、515mm(サイドリフトアップシート車)
シートスライド量/いずれも前100mm後50mm

Text/籠島康弘

助手席リフトアップシート車。3L車はアルミホイールや電動カーテンなどを装備したMZと、装備を簡易にしたMX Lエディションがある。2.4L車はAX Lエディションのみ。7人乗りは3L車のみの設定

助手席リフトアップシート車。3L車はアルミホイールや電動カーテンなどを装備したMZと、装備を簡易にしたMX Lエディションがある。2.4L車はAX Lエディションのみ。7人乗りは3L車のみの設定

サイドリフトアップシート車の脱着タイプ。脱着シートはシートが車外に下降する際に自動的に車輪が出る。このシートには、介助者の負担を軽減する電動アシスト機能や、自走式シートなどのオプションも用意されていた

サイドリフトアップシート車の脱着タイプ。脱着シートはシートが車外に下降する際に自動的に車輪が出る。このシートには、介助者の負担を軽減する電動アシスト機能や、自走式シートなどのオプションも用意されていた