インディをはじめ、数々のレースで活躍するプロレーシングドライバー・ロジャー安川氏が、北米でしか販売されていない魅力的な車を日本のみなさんに紹介します。

2代目となる今回のモデルはさらにアグレッシブなデザインに

アキュラ TL フロントスタイル|ロジャー安川の米国自動車浪漫 アキュラ TL リアスタイル|ロジャー安川の米国自動車浪漫
↑エクステリアはサイズも一回り大きくなり、ヨーロピアンからアメリカンな雰囲気になった。フロントグリルはアキュラブランド統一のイメージの“パワー・プレナム”グリルと呼ばれるものに
今回紹介するのは、2008年の秋に3度目のフルモデルチェンジを迎えたアキュラの中型セダンTLです。スポーツ性能の重要な部分でもある、走りの安定感を向上するために、ホイールベースを36mm、全長は160mm延ばし、さらに全幅は46mm広げて一回り大きな車に変身しています。これにより、日本のアコードより全長で236mm、全幅で40mm、全高で12mm、インスパイアより全長で26mm、全幅で35mm大きくなっています(全高は23mm低い)。
先代モデルのTLは、スタイリングやパフォーマンスが、ライバルであるBMW 3シリーズやアウディ A4と肩を並べるほどの人気でしたが、新型のTLはよりアグレッシブ&パワフルにグレードアップされています。

アキュラ TL インパネ|ロジャー安川の米国自動車浪漫 アキュラ TL 運転席|ロジャー安川の米国自動車浪漫
↑インテリアの質感はレジェンドも顔負け。スポーティさもあり、外見のアメリカンな雰囲気に対して、インテリアと走りはヨーロピアンなテイストを保っています
ベースモデルには3.5Lエンジンを搭載。SH-AWDモデルにはアキュラブランドのトップモデルであるRL(日本ではレジェンド)に使用している3.7Lエンジンを積み、305psのパワーを生み出します。このことにより、アキュラのラインナップの中でも最もパワフルなエンジンを搭載したモデルとなりました。
インテリアのクォリティやデザインは前モデルよりも上質に見えます。これだけのパフォーマンスと質感を備えてしまうと、現RL(レジェンド)と格差がつかなくなってしまうくらいです。後部座席のスペースは決してゆったりとしているとは言えませんが、競合するヨーロッパ車のセダンと比べると快適だと思います。先代モデルはヨーロッパ寄りのデザインだったことから、大胆にイメチェンを施した新型アキュラTLは、キャデラックCTSなどを好むアメ車好き向けに仕上がっているかもしれません。

アキュラ TL エンジン|ロジャー安川の米国自動車浪漫 アキュラ TL 走り|ロジャー安川の米国自動車浪漫
↑SH-AWDモデルには、レジェンドにも採用されている3.7Lエンジンが搭載。アキュラブランドの中で最もパワフル&スポーティな車になり、BMW3シリーズやキャデラックCTS-Vと真っ向勝負!
3.7Lのパワフルなエンジンに5ATのミッション、パドルシフトも装備されていますが、やはりスポーティ感を出すのには6AT、もしくは7ATくらいは欲しいと感じます。オプションでハイパフォーマンスタイヤを選ぶとMichelin Pilot Sport S2タイヤに19インチのホイールが装備されルックスに豪快さが増します。
ホンダブランドとしては、景気が回復するまでは当面ハイブリッド車をプッシュするのだろうと予想されるなか、新型TLはアキュラブランドで今後もV8エンジンや次期NSXの開発・発表をしていくのではないかという期待を抱かせてくれる内容に仕上がっています。

主要諸元のグレード:TL SH-AWD with Technology Package and High Performance Tire 駆動方式:4WD トランスミッション:5AT 全長×全幅×全高:4966mmX1880mmX1452mm ホイールベース:2775mm 車両重量:1791kg 乗車定員:5名 エンジン種類:SOHC V型 6気筒 VTEC 総排気量:3.7L 最高出力:305ps/6300rpm 最大トルク:37.7kg-m/5000rpm 10・15モード燃費(km/L):- ガソリン種類/容量:無鉛プレミアム/70L 車両本体価格:$43,235(約400万円)

(Tester/ロジャー安川 Photo/竹内英士)