アストンマーティン V12ヴァンテージS

これから価値が上がっていくだろうネオクラシックカーの魅力に迫るカーセンサーEDGEの企画【名車への道】

クラシックカー予備軍たちの登場背景や歴史的価値、製法や素材の素晴らしさを自動車テクノロジーライター・松本英雄さんと探っていく!

松本英雄(まつもとひでお)

自動車テクノロジーライター

松本英雄

自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。「クルマは50万円以下で買いなさい」など著書も多数。趣味は乗馬。

滑らかでパワフルなV12をコンパクトスポーツで体感する

——この連載で松本さんの好きなハイパワーモデルや英国車を何度か取り上げていますが、今回もニューモデルではめったに乗ることができなくなってきた大排気量エンジン搭載モデルにしたいと思っているんですよ。

松本 それはいいね。大排気量エンジンは悪のように思われがちだから、今後は8気筒以上のモデルはなかなか登場しなくなるだろうしね。古き良き時代のパワーユニットとして、これからは中古車がメインになっていくんじゃないかな。

——中古車で流通している中で特別感のあるモデルはありますか?

松本 前回のメルセデス・ベンツ 450SEL 6.9はV8の大排気量エンジンで良かったけど、量産エンジンの延長という事実は否めないんだよね。対して、特別感でいうとジャガーのV8スーパーチャージャーなどはハイパワー専用に作った感じがしてバリュー的にかなり高かった。アストンマーティンだって、今はメルセデスAMG製のエンジンを搭載しているけど、つい最近まで基本はジャガーと同様のAJ-8型のV8をベースにオリジナルエッセンスを加えて作っていたんだ。でも圧倒的な特別感と言えば、やっぱりV型12気筒だよ。これにかなうパワーユニットは存在しないよ。なんたってエンジンを回した時の滑らかさと、高回転域でのハーモニックな燃焼音が最高だしね。V12こそがラグジュアリーとハイパワーのエッセンスを併せ持っていて、それがブランドやプレミアムモデルの誇り高き雰囲気を伝えてくるんだと思うな。

 

アストンマーティン V12ヴァンテージS
アストンマーティン V12ヴァンテージS

——なるほど。でもV12を搭載したモデルって、それほどないじゃないですか。フェラーリはもちろん、ランボルギーニだってレヴエルトのようにスーパーカーとしての“砦”のように使っていますからね。

松本 でもそれって、ラグジュアリーカーではなくてスーパーカーとしてじゃない。エレガントかどうかとは、ちょっと違うと思うんだよね。そう考えるとアストンマーティンのV12こそが、エレガントな貫禄のようなものがあると思うんだ。

——アストンマーティンのV12ですか。例えばどんなモデルですか?

松本 この連載で2022年に紹介したヴァンキッシュなんかもいいけど、もう少しスポーティかつラグジュアリーな雰囲気のあるヴァンテージなんかいいんじゃないかな。ヴァンテージって優勢、優越といった意味だったと思うんだけど、1950年代のDB2から使われているネーミングでヒストリーは抜群。DB4 ヴァンテージはベーシックモデルより出力を向上させていたしね。ヴァンテージという名のモデルには特別感があるね。

——ならば、松本さんに見ていただきたい、2014年式V12ヴァンテージSがあるんですよ。

 

アストンマーティン V12ヴァンテージS

松本 いいじゃない! ヴァンテージは垂直水平アルミフレームをアストンマーティンで2番目に採用したモデルだね。これは接着剤を用いて接合しているんだ。フレームのみの状態を見せてもらったことがあるんだけど、このアルミフレームは思った以上にがっちりした押し出し材で、さらに使用しているエポキシ系の接着剤は、物性を変化させることなく接合部の強度を上げることが可能なんだ。アルミ合金って柔らかいイメージがあるかもしれないけど、実は剛性が高く振動も吸収するし、接着による製造はCO2削減にも貢献するんだよ。初めて採用されたのはDB9だけど、スポーツカーというカテゴリーでは約20年前に発表されたヴァンテージが最初になるね。

——松本さんはお乗りになったんですか?

松本 ヴァンテージにはV8モデルとV12モデルがあって、初期の4.3L V8はMTで乗せてもらったよ。フロントミッドシップは伊達じゃないね。トルクフルでとても乗りやすかったよ。こういうモデルをMTで乗るのって、スポーティなラグジュアリードライビングって言ったらいいのかなぁ。高級感だけじゃなく、ソリッドなシャシーで意のままに操れるアストンマーティンはDB5以来じゃないかな。デザインもいわゆるロングノーズショートデッキでエレガントなんだよね。ただ、初期型は油断できないハンドリングで、ダイレクトすぎるところがあるからちゃんとステアリングをコントロールしていないと危なさもあるね。

——V12はどんな車なんですか?

松本 その後、2009年に様々なアップデートが施され、V8エンジンにも改良が加えられたんだ。でも、トピックはV12エンジンを搭載したモデルが登場したこと。パワーは510psを発揮しているんだけど、特質すべきはV8モデル比で重量が約50kgしか増加していないことなんだ。ヴァンテージはアストンマーティンで最も小型なボディでしょ。そこに6L V12を押し込むなんてなかなかできないことだからね。エンジン長も変わってくるし重量も変わる。レギュレーションに合わせるのが相当大変だったんじゃないかな。アメリカでは、実際に1年遅れの2010年に登場しているんだけど、変更箇所が結構あると思うよ。たとえカスタマーが少ないモデルだとしても、そうやって提供していく姿勢は素晴らしいよね。

——では、V12 ヴァンテージSとはどんなモデルなんですか?

松本 V12 ヴァンテージSはさらに各部を強化したタイプだね。2013年に登場するんだけど、最高出力は510ps から573psまで引き上げてある。しかも運動性能に関わる部分にカーボンを多用することで軽量化も実現しているし、驚くことにブレーキはカーボンディスクが装着されているんだ。最高速も306km/hから330km/hまで向上させている。V12ヴァンテージSの生産台数は1190台だから思ったよりも少ないね。この滑らかでパワフルなビッグユニットをコンパクトなスポーツシャシーで乗れるモデルはもう二度と出てこないんじゃないかな。間違いなく今後はさらに価値が上がるよね。僕も一度は乗りたかったな……。

 

アストンマーティン V12ヴァンテージS

V8を搭載する2シータースポーツ「ヴァンテージ」をベースに、6L V12エンジンを搭載したハイパフォーマンスモデル。2013年には、ブランド量産モデル史上最速を謳ったSへと進化。最高出力を56ps向上、6速MTから7速セミAT(スポーツシフトⅢ)への変更、減衰特性の変更可能なアダプティブダンピングシステムが搭載された。また、フロントグリルをはじめ、内外装にはカーボンパーツが多数施されている。

アストンマーティン V12ヴァンテージS
アストンマーティン V12ヴァンテージS

※カーセンサーEDGE 2025年4月号(2025年2月27日発売)の記事をWEB用に再構成して掲載しています

▼検索条件

アストンマーティン V12ヴァンテージ× 全国
文/松本英雄、写真/岡村昌宏

【諸元・スペック表】
●S スポーツシフトIII

型式 不明 最小回転半径 -m
駆動方式 FR 全長×全幅×全高 4.39m×1.87m×1.25m
ドア数 3 ホイールベース 2.6m
ミッション 7AT 前トレッド/後トレッド 1.57m/1.58m
AI-SHIFT - 室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
4WS - 車両重量 1665kg
シート列数 1 最大積載量 -kg
乗車定員 2名 車両総重量 -kg
ミッション位置 コラム 最低地上高 -m
マニュアルモード
標準色

アリゾナブロンズ、セレーネブロンズ、ジェットブラック、メテオライトシルバー、ミッドナイトブルー、オニキスブラック、シルバーフォックス、タングステンシルバー、ボルケーノレッド、スカイフォールシルバー、チャイナグレイ、コンコースブルー、グレーブル、ハンマーヘッドシルバー、ハードリーグリーン、コピブロンズ、マダガスカルオレンジ、マコーブルー、マリアナブルー、マルーンブラック、クアンタムシルバー、シルバーブロンド、ストラタスホワイト、ビリジアングリーン、コバルトブルー、モーニングフロストホワイト、オーセラスティール、ストームブラック、サンバーストイエロー、イエロータン、ディバインレッド、ディアボロレッド、シーストーム

オプション色

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※諸元・装備情報は一部本国仕様の情報を掲載しております

型式 不明
駆動方式 FR
ドア数 3
ミッション 7AT
AI-SHIFT -
4WS -
標準色 アリゾナブロンズ、セレーネブロンズ、ジェットブラック、メテオライトシルバー、ミッドナイトブルー、オニキスブラック、シルバーフォックス、タングステンシルバー、ボルケーノレッド、スカイフォールシルバー、チャイナグレイ、コンコースブルー、グレーブル、ハンマーヘッドシルバー、ハードリーグリーン、コピブロンズ、マダガスカルオレンジ、マコーブルー、マリアナブルー、マルーンブラック、クアンタムシルバー、シルバーブロンド、ストラタスホワイト、ビリジアングリーン、コバルトブルー、モーニングフロストホワイト、オーセラスティール、ストームブラック、サンバーストイエロー、イエロータン、ディバインレッド、ディアボロレッド、シーストーム
オプション色 -
シート列数 1
乗車定員 2名
ミッション
位置
コラム
マニュアル
モード
最小回転半径 -m
全長×全幅×
全高
4.39m×1.87m×1.25m
ホイール
ベース
2.6m
前トレッド/
後トレッド
1.57m/1.58m
室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m
車両重量 1665kg
最大積載量 -kg
車両総重量 -kg
最低地上高 -m
掲載用コメント ※諸元・装備情報は一部本国仕様の情報を掲載しております
エンジン型式 AM28 環境対策エンジン -
種類 V型12気筒DOHC 使用燃料 ハイオク
過給器 - 燃料タンク容量 78リットル
可変気筒装置 - 燃費(10.15モード) -km/L
総排気量 5935cc 燃費(WLTCモード) -
燃費基準達成 -
最高出力 573ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm
620(63.2)/5750
エンジン型式 AM28
種類 V型12気筒DOHC
過給器 -
可変気筒装置 -
総排気量 5935cc
最高出力 573ps
最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm
620(63.2)/5750
環境対策エンジン -
使用燃料 ハイオク
燃料タンク容量 78リットル
燃費(10.15モード) -km/L
燃費(WLTCモード) -km/L
燃費基準達成 -